SaaSを利用する企業の9割が「データ連携に課題」 iPaaSは解決のカギになるか?
SaaSを利用する企業の約9割がデータ連携に課題を抱えていることがある調査で分かった。課題の具体的な内容は何か。多くの企業が選択しているデータ連携の手段とは。
BizteXは2024年6月13日、企業におけるSaaS(Software as a Service)のデータ連携に関する課題についての調査結果を発表した。
SaaSを利用する企業の9割が「データ連携に課題」
同調査は、SaaSを利用する企業のITサービスの導入や選定に関わる業務の担当者を対象として2024年2月に実施された(有効回答数:536)。データ連携に関する具体的な課題の他、データを連携する手段についても明らかになった。
SaaSのデータ連携において「何らかの課題がある」と回答した企業は全体の86.9%に上った。データ連携における具体的な課題を尋ねる設問に対する回答は、次のような結果になった。
「部門ごとに異なるSaaSを利用しているため、部門間のデータ連携ができていない」(39.9%)という回答が最も多く、「データ連携が複雑化し、全体像を把握できない」(35.4%)、「異なるSaaS間でのデータやステータス管理の一元化、同期ができていない」(35.3%)が続いた(複数回答可)。
データを連携する方法としては「iPaaSもしくは同様の機能」(47.9%)、「スクラッチ開発したプログラム」(46.5%)、「CSVのエクスポート、インポートなどによって手動で連携している」(26.7%)などが挙がった(複数回答可)。
データ連携のためにiPaaSを導入している企業は半数に満たず、26.7%の企業が手動でデータを連携していることが分かった。
企業規模別に見ると、従業員数が200人未満の企業と1000人以上の企業ではデータ連携手段として「iPaaSもしくは同様の機能」との回答が最も多かった。200人以上500人未満の企業と500人以上1000人未満の企業では「スクラッチ開発したプログラム」が最多だった。また、200人未満の企業では、「データ連携をしていない」と回答した割合が、200人以上の企業に比べて多かった。
iPaaSを選定する際のポイントは?
現在iPaaSを導入していない企業に、今後の導入を尋ねた設問に対しては「具体的に導入に向けて検討している」と「導入時期は未定だが検討している」が合わせて54.9%に上った。
企業規模別に見ると、200人未満の企業では「具体的に導入に向けて検討している」と「導入時期は未定だが検討している」の合計は39.7%にとどまった。「検討したことがない」は43.4%で、iPaaSの導入を検討していない企業の方が多く、小規模な企業ではiPaaSを導入している企業が一定数ある一方で、現在導入していない企業はデータを連携する手段としてiPaaSを選択肢に入れていないという実態が浮かび上がった。
今後導入を検討している企業がiPaaSを導入するに当たって重視していることとしては、「API連携に加え、RPAとも連携できること」(49.7%)や「プログラミングの知識がなくても操作できること」(48.4%)を指摘する声が多かった。
また、iPaaSの導入を検討していない企業が不安に感じていることとしては、「スキルを持った人材がいない」「コストがかかる」という回答が挙がった。
BizteXは同調査から、「人の作業を自動化するRPAと連携できること」「プログラミングの知識や専門的なスキルがなくても利用できること」「企業規模や目的、予算に沿った料金設定があること」などの条件を満たすiPaaSを選定することが、iPaaSのスムーズな導入やデータ連携の課題を解決する鍵になると分析している。
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