AI導入を阻むのは「あの技術」 意欲や時間を奪う“犯人”が調査で判明:CIO Dive
ある調査によると、多くの企業が抱える「ある要素」に膨大な時間がかかるばかりか、AIのような新技術を導入する妨げにもなっているという。この“犯人”は何か。
ソフトウェア企業のSnapLogicが750人の企業のITに関する意思決定者を対象として実施した調査(2024年7月18日《現地時間》にレポート発表)によると、2023年に「ある項目」にかかったコストが平均290万ドルに達したことが明らかになった(注1)。
AI導入を阻み、コストと時間を奪う“犯人”は?
さらに、その項目と関連の深いある技術が、AIなどの技術に取り組む意欲を低下させることも分かった。AI導入を阻むものは何か。
同社のレポートによると、企業の約3分の2がレガシーシステムの保守とアップグレードに200万ドル以上を投資しており、レガシー技術のアップデートに平均で290万ドルがかかっていることが分かった(注2)。
ITリーダーの5人中3人以上が、「古いコードなどの技術的負債により自社のデータスタックが中程度から重度の悪影響を被っている」と回答した。
業務の革新と合理化という野心的な目標に取り組んでいるにもかかわらず、企業はシステムのモダナイゼーション時に大きな障害に直面している。
ソフトウェア企業のSnapLogicのジェレマイア・ストーンCTO(最高技術責任者)によると、大規模な技術アップグレード、特にレガシーシステムのアップグレードには課題が付き物だという。
同社の調査によると、ITにおける意思決定者の4分の3以上が、「レガシーシステムのアップデートやパッチ適用に1週間当たり5〜25時間を費やしている」と回答した。レガシー技術は生産性を低下させ、収益に影響を与える可能性がある。
「メンテナンスと開発のコストは、導入段階以降も継続して発生する」とストーン氏は話す。レガシーシステムが既存のワークロードと密接に結び付いており、日常業務に不可欠なものになっている場合、企業は技術的負債を解消するのに苦労する。
レガシー技術は、新たな技術に対する意欲の低下にも影響する。調査によると、回答者の約3分の1が、「レガシーシステムの最大25%はAIツールやワークロードをサポートできない」と回答した。
「CIO(最高情報責任者)とCTOは生成AIの取り組みとプロジェクトを構築する際に、より少ないコストでより多くのことを実施する方法について創造的になるだけでなく、計算された投資によって競争優位に立つべきだ」とストーン氏は言う。「経営幹部は技術的負債を減らして新たな収益源を作り、技術を広く活用できるプロジェクトを優先すべきだ」(ストーン氏)
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