クラウド移行を後押しする「ある要素」とは 移行率回復の“立役者”が判明【調査】:CIO Dive
一度下落したクラウド移行率が回復している。クラウド移行を後押しする「ある要素」に、クラウド予算の一部を振り分ける企業が多いことが分かった。
市場調査会社のFoundryが2024年8月27日(現地時間、以下同)に発表した第11回年次報告書によると、一度下落したクラウド移行率が2024年に再び上昇している(注1)。
クラウド移行を後押しする「ある要素」とは?
同報告書によると、IT人材不足が続き、コスト上昇への懸念が高まっているにもかかわらず、企業は2025年にIT予算の4分の1以上をクラウドに割り当てる予定だという。クラウド予算の平均額は9500万ドルだ。
このクラウド移行率回復の背景には「ある要素」がある。また、多くの企業がこの要素にクラウド予算の一部を振り分けているという。「ある要素」とは一体何か。
Foundryは、企業がクラウドに注力しているのは、生成AIとML(機械学習)への需要を満たすためだと分析している。
同社の調査によると、「過去1年間でクラウドの導入が進んだ」と答えた企業の割合は、2022年調査に63%だったのが2023年調査では57%に下落したが、最新の2024年調査では2022年と同じ63%に回復した。また、約3分の2の回答者が、「クラウド予算はAIとMLプラットフォームにも使う予定だ」と回答している。
大手クラウドサービス各社はクラウド利用が急増する兆候を察知して準備を進めている。AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft、Google Cloudは2024年上半期にデータセンター建設ブームを巻き起こし、空き容量不足を解決した(注2)。
Synergy Research Groupが実施した最新の市場分析によると、クラウド市場は急成長しており、2023年11月〜2024年7月は前年同期比で約20ポイント増えた(注3)。IT専門調査会社のInternational Dataは、「この成長率は2028年まで続く」と予想しており、2024年の年間クラウド支出は8000億ドルを超える見込みだ(注4)。
Forrester Researchのトレイシー・ウー氏(主席アナリスト)は、最近のブログ記事で次のように述べた(注5)。
「クラウドの標準的な定義は、主要なパブリッククラウドプロバイダーによる基本的なインフラサービスから、インテリジェントな機能を備えたエッジや、運用からアプリケーション開発、生成AIを活用したサービスを含むところまで広がっている」
調査会社のForrester Researchが発表した2024年8月のレポートによると、2024年はクラウドベースのAI製品の普及がピークに達するようだ。
Foundryの調査によると、AIワークロードをどこで実行するかについて、回答者の意見が分かれた。30%が「パブリッククラウド」と答える一方で、「クラウドとオンプレミスのハイブリッド」を選択した回答者は約30%、「データセンターのプライベートクラウド」を選択した回答者も24%に上った。
ITリーダーの半数近くは、IT予算が増加しているにもかかわらず、クラウドに掛かるコストの制約に頭を悩ませている。Foundryによると、回答者の35%はセキュリティとコンプライアンスに懸念を抱いている。ITシステム統合の障害とクラウドエンジニアリングのスキル不足に悩む回答者も同程度いたという。
なお、Foundryが発表した報告書は、同社がクラウド調達の意思決定を担う世界のITリーダー821人を対象として2024年5月に実施した調査に基づいている。
(注1)Cloud Computing Study 2024(FOUNDRY)
(注2)Cloud, AI workload surge pushes data center vacancies to historic lows(CIO Dive)
(注3)Cloud Market Growth Stays Strong in Q2 While Amazon, Google and Oracle Nudge Higher(Synergy Research Group)
(注4)AI consumption to drive enterprise cloud spending spree(CIO Dive)
(注5)The 10 Most Important Cloud Trends For 2024(FORRESTER)
(初出)Businesses default to cloud for generative AI, accelerate migrations
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