KDDI、ラックを完全子会社化へ――サイバーセキュリティ強化に向けた一手:セキュリティニュースアラート
KDDIはラックを完全子会社化に向けて株式公開買付け(TOB)に合意した。これによって両社の経営資源が統合され、サイバーセキュリティ分野での協業を強化し、より迅速に市場変化に対応できる体制となる。
KDDIは2024年11月7日、セキュリティ企業ラックの完全子会社化に向け、ラックの株式公開買付け(TOB)に合意したことを発表した。この取引によって両社の経営資源が統合され、サイバーセキュリティ分野での協業を強化し、より迅速に市場変化に対応できる体制となる。
KDDIがラックを買収 両社のサービスはどう変わる?
AIやIoT、クラウドの普及によってサイバーセキュリティの重要性が増している。この他、生成AIを悪用した新たなサイバー攻撃の可能性が拡大する中、社会基盤を守るための高度なセキュリティ対策が求められている。KDDIとラックは2007年から資本提携を通じて関係を深め、サイバーセキュリティ分野における多様な協業を進めてきたが、今回の取引によってさらなる協力体制を築く。
両社は今後、ラックのサイバーセキュリティサービスとKDDIのネットワークサービスを統合し、コンサルティングから監視・運用までの一貫したセキュリティサービスを新規展開する計画だ。また、既存事業のサービス強化やリソースの最適化を図り、顧客ニーズに迅速に対応できる体制の構築を進め、収益拡大を見込む。
さらに、ラックが保有する運用・監視サービスや緊急対応サービス、診断サービスなどの脅威情報をKDDIのAIやデータ分析技術で処理し、サイバー攻撃に関する動向を可視化できるサービスを開発するなど、新たな価値の創出と生産性の向上を目指す。
公開買付けについては2024年11月下旬に開始する予定で、買付期間は30営業日とされている。1株当たりの買付価格は1160円、買付予定数は約2118万株で総額246億円に上る見通しとなっている。買付けが成立した場合、KDDIがラックの全株式を取得し、ラックの株式は上場廃止となる見込みだ。
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