NRIが「モダナイゼーションコンサル」開始 組織構築から支援：技術トレンド

NRIがレガシーシステム問題を解決するモダナイゼーションコンサルティングサービスを開始する。エンタープライズアーキテクト組織の構築支援を盛り込んだ。

[後藤大地，有限会社オングス]

　野村総合研究所（NRI）は、老朽化したシステムの変革を支援する「モダナイゼーションコンサルティングサービス」を2024年11月から提供開始すると発表した。

　エンタープライズアーキテクト（EA）モダナイゼーションフレームワークを基盤に、組織設計やアーキテクチャデザイン、ロードマップ策定、ガバナンス運営などを総合的に支援する点が特徴だ。生成AIも活用して保守性の高いシステム構築を実現し、日本企業の持続可能な成長を後押しする。

野村総合研究所、日本企業のレガシーシステム問題を解決するモダナイゼーションコンサルティングサービスを提供開始｜ニュースリリース｜野村総合研究所（NRI）（出典：野村総合研究所のWebサイト）

エンタープライズアーキテクト（EA）とは？　他のマイグレーションと何が違うか

　日本企業が持続可能なシステム変革を実現するには、5〜10年先といった中長期的な視点に立ち、全体構造を俯瞰（ふかん）して、ステークホルダーを取り残さずマネジメントしていくことが重要だ。欧米でも、EA組織がシステム全体の整合性と将来の姿を見据えて設計を概観し、エンタープライズアーキテクチャを管理して、レガシーシステムの問題解決を進めている。

　エンタープライズアーキテクトとは、ITシステムのアーキテクチャのみではなく、業務とシステムを共通のモデリング言語で整理し、最適化を図るシステムの設計手法やそれを担う人員を指す。ビジネスアジリティの向上やDX推進が重視されるようになったことで、近年、欧米を中心に注目を集めている。

　本サービスはNRIがこれまで培ってきたモダナイゼーションの経験とノウハウを基に開発した、エンタープライズアーキテクト（EA）モダナイゼーションフレームワークを使用する。EAモダナイゼーションフレームワークの構成要素は次の通りだ。

・組織設計支援：　モダナイゼーションをリードし、「システムのあるべき全体構成」を維持する役割を持ったEA組織を設計する

・アーキテクチャデザイン支援：　システム全体の目指す姿を示したグランドデザインと、モダナイゼーションなどの個別テーマごとに具体化されたアーキテクチャデザインの策定を支援する

・ロードマップ策定支援：　目指す姿への移行過程を明確にし、リソース配分の整合性を確保したロードマップを策定

・ガバナンス運営支援：　アーキテクチャデザインやロードマップに基づき、技術的な指導および評価を行う。ビジネスやITの課題解決に伴走したガバナンス運営を支援する

・モダナイゼーション実行支援：　レガシーシステム刷新に関係するステークホルダーマネジメントを行い、複数の大規模プロジェクトを推進する

　レガシーシステムのモダナイゼーション実行フェーズにおいては、NRIの生成AI技術を活用する。また、グランドデザインと方針を同じくする保守性を考慮したシステム構築を効率的に実現する。

　NRIは本サービスを進化させ、レガシーシステム問題に悩む顧客企業の課題を解決し、日本企業の持続可能な成長と競争力の強化を実現していくとしている。