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政府、データ利活用制度の方針策定へ 今夏めど
内閣官房が「第1回データ利活用制度・システム検討会」を開催した。2025年夏をめどにデータ利活用制度の在り方についての基本的な方針を策定する。
内閣官房は2024年12月26日、「第1回データ利活用制度・システム検討会」を開催した。2025年夏をめどにデータ利活用制度の在り方についての基本的な方針を策定する。メンバーには日立製作所の副社長やPKSHA Technorogyの代表取締役、大学教授、弁護士などが名を連ねている。
日本ではデータ利活用の促進に関する包括的な法制度が十分に整備されておらず、欧州連合(EU)との間で大きな差が生じている。特にEUは、データ保護と利活用を推進する関連法の両方を構築しており、日本の部分的な対応と対照的だ。検討会はこの課題を解消するルール作りを検討する。
検討会の議論の焦点はどこに?
例えばEUではデータ保護の法的強化として一般データ保護規則(GDPR)がすでに導入されている。データ利活用の法的強化として医療分野では欧州ヘルスデータスペース(EHDS)、金融決済分野でEU決済サービス指令第2版(PSD2、現在第3版であるPSD3検討中)といった先進的な法制度が導入または検討されている。一方日本ではデータ保護の法的強化として個人情報保護法が存在するが、データ利活用の法的強化に関しては分野ごとの包括的な枠組みの整備には至っていない。
検討会では次の5つの論点を中心に議論を進める。
- 社会起点のデータ共有: 社会全体の厚生を高めるためのデータの集積や共有、活用の在り方を検討。個人情報保護法との整合性やリスク対策が課題
- 個人起点のデータ共有: 個人が主体的、統合的にデータを活用できる制度設計を模索。競争促進や新サービス創出に向け、制度や体制の構築を進める
- 分野別のデータ利活用: 医療と金融、教育、産業の4分野を対象に具体的なユースケースや課題を検討。標準化やプライバシー対策が焦点となる
- 官民でのデータ利活用: 官民連携によるデータ共有の仕組みを模索。行政データの利用方法や技術的課題を整理する
- アーキテクチャとシステム: データガバナンスやプラットフォーム構築を通じて、データセキュリティや相互運用性を確保するための仕組みを設計
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