CISAのレッドチームが契約打ち切りで解散? 同機関は報道を否定:セキュリティニュースアラート
The Registerは、CISAのレッドチームが解散されたと報じた。イーロン・マスク氏が主導するDOGEによって契約が打ち切られた結果とされ、CISAに所属していた100人以上が影響を受けたとしている。一方でCISAは同報道は誤報だとしている。
英国のITニュースメディア「The Register」は2025年3月12日(現地時間、以下同)、米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)で活動していた100人規模のレッドチームが解散させられたと報じた。これは、イーロン・マスク氏主導の米国政府効率化省(DOGE)が契約を打ち切ったことによるものとされている。
CISAの100人超のレッドチームが、トランプ政権のコストカットで解散?
CISAのシニア・ペネトレーションテスターだったクリストファー・チェノウェス氏は「LinkedIn」で「2025年2月28日の午後4時にDOGEの決定によってCISAとの契約が終了し、100人以上のレッドチームメンバーと支援スタッフが影響を受けた」とコメントした。
その翌週にはCISAの別のレッドチームも解散させられたことも伝えている。なお、DOGEはこれまでに廃止した契約を「Wall of Receipts」として公開しているが、レッドチームに関連する契約が明示されているものは確認されていない。
DOGEはマスク氏が率いる政府改革ユニットで米国政府内のスタッフやプログラム、契約を精査し、削減すべき対象をホワイトハウスに提言する役割を担っている。この動きの一環としてCISAが支援する米国選挙インフラ情報共有分析センター(EI-ISAC)も閉鎖されている。
EI-ISACは米国の選挙管理者や投票機メーカーに対し、サイバー脅威への対策を助言する機関だったが、米国国土安全保障省(DHS)の資金提供が打ち切られたために運営を継続できなくなっている。さらにDHSが資金を提供していた多州情報共有分析センター(MS-ISAC)も存続の危機にあると報じられている。MS-ISACは20年以上にわたり、連邦・州・地方政府間でのサイバーセキュリティ情報共有を担っている。
CISAは本件についてレッドチームを解雇したという報道は誤りであり、効率化と重複排除の観点から契約を見直した結果であると説明し、契約の終了はCISA職員の雇用に影響を与えたわけではないと声明を発表している。
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