GoogleがWizを320億ドルで買収 Google Cloudの傘下で顧客が得るメリットとは?:セキュリティニュースアラート
GoogleはWizを320億ドルで買収し、Google Cloudに加えることを発表した。AIの進化とクラウドセキュリティの強化のための戦略的投資とされ、Wizの技術はGoogle Cloudのセキュリティ機能を強化する。
Googleは2025年3月18日(現地時間)、大手クラウドセキュリティプラットフォームであるWizを総額320億ドルで買収する正式契約を締結したと発表した。買収手続きが完了し次第、WizはGoogle Cloudに加わる。
大手クラウドベンダーと連携してきたWizをGoogleが買収 その意義は?
今回の買収についてGoogleはAIの進化とマルチクラウド環境の普及に伴い、クラウドセキュリティの強化が不可欠であるというGoogle Cloudの戦略的な投資の一環としている。Google CloudはWizの先進的なセキュリティ技術と統合することでクラウド環境における脅威の防御能力を向上させ、企業や政府機関に対して包括的なセキュリティソリューションを提供することを目指している。
Wizは、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Oracle Cloud」など主要なクラウドサービスと連携し、シンプルかつ強力なセキュリティプラットフォームを提供することで知られている。同社のソリューションはスタートアップから大企業、公共機関に至るまで幅広い組織で活用されており、特に近年の成長が著しい。Google Cloudとの統合により、Wizの技術はさらに拡張され、両社は、「より多くの企業に対して高度なセキュリティ機能を提供するようになる」としている。
Google CloudとWizの統合によって次のようなメリットが期待されている。
- セキュリティの設計や運用、自動化の方法を大幅に改善するとともにAI時代のあらゆる種類と規模の顧客に対してエンド・ツー・エンドのセキュリティプラットフォームを提供する
- 自動化されたセキュリティプラットフォームを提供することで、サイバーセキュリティチームを拡大
- 顧客のセキュリティ環境の導入や管理にかかるコストが削減される
- AIの進歩による新たな脅威から保護するとともに侵害を防止し、組織が侵害に効率的に対応できるようにする
- マルチクラウドセキュリティの採用を促進し、顧客が複数のクラウドを利用できるようにする
なお、Wizの製品は引き続きAWSやMicrosoft Azure、Oracle Cloudなどの主要なクラウド環境で利用可能とされている。Google Cloudも「Google Cloud Marketplace」で利用可能なさまざまなパートナーセキュリティソリューションを通じて、顧客に幅広い選択肢を提供し続ける。
同買収は規制当局の承認などの手続きをへた後、正式に完了する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ医療機関はランサム対策に乗り出せない? 地方病院が語る“根深い課題”
医療機関を標的にしたランサムウェア攻撃が激化している。これに対して多くの病院は危機感を覚えているが、そう簡単に対策を講じられないのは業界特有の“根深い問題”が関係している。地方病院の生々しいセキュリティ実態を明らかにしよう。
「C++」存続の危機? 生みの親が安全なプログラミング言語への転換を模索
C++の生みの親であるビャーネ・ストロヴストルップ氏はC++を安全にするためにコミュニティーの協力を呼びかけた。政府や企業は安全なプログラミング言語に移行しており、メモリ安全性の問題がC++の存続を脅かしている。
“あまりにもお粗末” 岡山県の病院で起きたランサム被害から得られる教訓
岡山県の病院が公開した「ランサムウェア事案調査報告書」に注目が集まっています。この報告書では“あまりにもお粗末なセキュリティの実態”が包み隠さず明らかにされていますが、これを笑える人は一体どのくらいいるのでしょうか。
脱VPNは夢のまた夢? 日本のゼロトラストの進捗状況が調査で判明
NRIセキュアテクノロジーズは「企業における情報セキュリティ実態調査2024」を発表した。同調査から日本企業の生成AI活用状況やゼロトラストへの移行状況が明らかになった。