AI時代にどう対応する? Google Cloudの「初期装備型」セキュリティの真価:セキュリティニュースアラート
AI・クラウド活用が当たり前の時代になった今、これに向けたセキュリティ強化も企業にとっては必須になっている。Google Cloudはこれに対してどのような支援をしているのか。各国リージョンの幹部がその取り組みを語った。
Google Cloudは2025年4月10日(現地時間)、年次イベント「Google Cloud Next '25」において、同社でCEOを務めるトーマス・クーリアン氏、アジア太平洋(APAC)プレジデントを務めるカラン・バジャ氏、グーグル・クラウド・ジャパンで日本代表を務める平手智行氏、Google Cloud Canadaでマネージングディレクターを務めるファーサド・ナセリ氏を囲むラウンドテーブルを開催した。同ラウンドテーブルでは日本を含むアジア太平洋(APAC)地域におけるGoogle Cloudの取り組みが説明された。
左からGoogle Cloud CEO トーマス・クーリアン氏、グーグル・クラウド・ジャパン日本代表 平手智行氏、APACプレジデント カラン・バジャ氏、Google Cloud Canadaマネージングディレクター ファーサド・ナセリ氏(筆者撮影)
「セキュリティは追加機能ではない」 AI時代のGoogle Cloudの戦略とは?
Google Cloudは、セキュリティをインフラストラクチャの中核要素の一つと位置付けており、AI・クラウド活用の促進に加え、国の主権的要件や産業ごとの機密性に応じた保護体制の強化を進めている。特に国家ごとの規制に対応するため多層的なセキュリティオプションを用意しており、金融や医療、防衛などの分野における活用を想定している。
日本市場においてもセキュリティ対策は重要なテーマとして捉えられている。Google Cloudは国内の規制や企業ニーズに即した形でクラウドサービスを展開しており、セキュリティとデータ主権を両立する信頼基盤として、確かな地位を築きつつある。企業のクラウド導入を後押しする中で、「どのように安全にAIを活用できるか」という問いに対する具体的なソリューションの提供が求められている。
サイバー脅威の複雑化に対応するため、Google CloudはAIを活用したセキュリティ機能の開発にも力を入れている。マルチエージェントAIによる脅威検出や自動対応、セールス活動における行動分析と連動したセキュリティ管理などが挙げられ、AIとセキュリティの融合によって、企業の防御能力を動的に強化する取り組みが進んでいる。
アジア太平洋地域全体では、各国のデジタル主権への配慮が必須であり、Google Cloudはこの点においても柔軟な対応を見せている。韓国では高度な金融向けのセキュリティ設計が進んでおり、オーストラリアでは政府機関との連携の下で国家安全保障に対応するクラウド基盤を構築している。こうした事例は、日本市場においても将来的なモデルケースとなる可能性がある。
Google Cloudはセキュリティの確保と並行して、インフラの拡充やAIモデルの提供、パートナーエコシステムの形成を進めており、セキュリティを含めた「全方位型のクラウド戦略」を展開している。特に生成AIの活用が企業のIT戦略に与える影響が大きくなる中で、データ保護やコンプライアンス、インシデント対応を一体化させたセキュリティ戦略が、クラウド基盤に求められている。
最後に、中小企業の背中を押す「頼れる守り」も見逃せない。Google Cloudはコスト効率の高いセキュリティ機能を含むクラウドサービスを通じて、中堅・中小企業のサイバー耐性強化を図っており、導入のハードルを下げ、誰もが使えるクラウドを目指している。AIやクラウドがもたらす新たな脅威に対応するため、セキュリティが「導入後の追加機能」ではなく「最初から備わる基盤」として提供される点が、同社の大きな特徴だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Fortinet製品群に複数の深刻な脆弱性 急ぎ対応を
Fortinetは、「FortiSwitch」「FortiAnalyzer」「FortiManager」「FortiOS」「FortiProxy」「FortiVoice」「FortiWeb」など同社の製品群に影響を及ぼす複数の重大な脆弱性を修正した。
Oracle CloudのSSOログインサーバへの侵害で新報道 「Oracleが隠蔽を図った」と主張
Oracle CloudのSSOログインサーバへの侵害を巡る一連の問題で、新たな報道があった。セキュリティニュースメディアの「DoublePulsar」はOracleがセキュリティインシデントを顧客に対して隠蔽しようとしていると報じた。
それぞれのCSIRT組織 各社はどんな体制で、どんな活動をしてきたか?
2024年はKADOKAWAのランサムウェア被害など、国内でも注目を集めたインシデントが発生した。各社CSIRT組織はこれらの問題からどんな教訓を得て、どう組織運営に生かしたか。体制が異なる4社の取り組みを聞いた。
Webブラウザ利用者が知らずに犯してしまう「ルール違反」とは?
インフォスティーラー(情報窃取型マルウェア)が流行しています。このマルウェアは基本的な対策だけでは防ぐのがなかなか難しい厄介なものです。特に従業員のWebブラウザの利用次第で感染を拡大させるリスクも……。詳細を解説します。