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メインフレームは「不死鳥」か? 延命を後押しするのは“あの技術”CIO Dive

クラウド移行が進む中で消滅の可能性がささやかれていたメインフレームだが、「ある技術」によって今後も利用するための選択肢が増えているという。どういうことか。

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CIO Dive

 一時期、メインフレームはいずれクラウドに全て置き換わるのではとの見方もあった。しかし、これまでメインフレームの継続利用を阻むハードルとされてきたものが、“ある技術”によって解消される可能性が出てきた。

メインフレームの継続利用を後押しする“あの技術”

 ITコンサルティング企業のCapgeminiは、2025年5月14日(現地時間、以下同)、「COBOLのアプリケーションのリファクタリングや老朽化したデータベースの更新を目的としたコード変換ツールキットを公開した」と述べた(注1)。

 また、35年間にわたりCOBOL関連製品を提供してきたRocket Softwareは2025年5月13日、メインフレームのモダナイゼーションを支援するサービス群を発表した。

 最近発表されたこれらの製品は、メインフレームを今後利用する上で障壁になると思われてきた課題を解消するものだ。具体的にどのような課題がどういう形で解消されるのか。見ていこう。

 Rocket Softwareが新しく提供するのは、メインフレームの異常検知を自動化するサービスや自然言語によるコーディングアシスタントを含むモダナイゼーションサービス群だ(注2)。

 ITに特化した調査会社のISGが2025年3月に発表した市場調査によると(注3)、大規模言語モデル(LLM)の技術によってアプリケーションのリファクタリング機能が強化された結果、多くの企業は、メインフレームで利用してきたアプリケーションをクラウドに移行するのではなく、メインフレームアプリケーションの再構築を選択するようになっているという。

 ISGでメインフレームコンピューティングのコンサルティングリードを務めるジョン・シック氏は、レポートで「サービスプロバイダーは、生成AIを活用してクライアントに新たな可能性を提供している。メインフレームがこれまで担ってきた機能は、今も多くの企業にとって不可欠であり、生成AIはそれらの価値を最大化する新たな方法を提供する」と述べた。

 2025年4月にIBMが「Z Systems」シリーズの最新機種であるメインフレーム「IBM z17」(以下、z17)を発表し(注4)、メインフレームのエコシステムはAIによる後押しを受けた。IBMのメインフレームファミリーに加わった同モデルには、高性能なAIプロセッサ「Telum II」が搭載されており、同年6月に一般提供が開始される予定だ。

 IBMのジェームズ・キャバノー氏(シニアバイスプレジデント兼最高財務責任者)は、2025年1月の決算発表で「旧モデルの『IBM z16』は収益面で歴史的な成功を収めた」と述べた(注5)。

 コンサルティング会社のAccentureのマイケル・アボット氏(シニアマネージングディレクター兼グローバルバンキングリード)は、2025年1月に「CIO Dive」の取材に対し、「LLMを活用して構築されたコーディングツールは、金融業界全体で既に価値を創出しており、今後さらに多くの価値を実現するだろう」と語った(注6)。世界有数の金融サービス企業であるGoldman SachsやBank of America、Citigroupは、生成AIを活用したコーディングツールによって明確な効率性向上を実現したと報告した(注7)。

 コンサルティング企業のPublicis Sapientによる最新レポートによると(注8)、生成AIを活用したコーディングはさまざまな業界に広がっているようだ。同社がITおよびビジネスの分野における600人のリーダーを対象に実施した調査によると、多くの経営層がモダナイゼーションを支援する生成AIの能力に自信を持っていることが分かった。

 回答者の5人に4人は、レガシーシステムの管理や老朽化したアプリケーションのリファクタリングやソフトウェアのテスト工程の自動化を支援する手段として、コーディングアシスタントの活用を検討している。

 Rocket Softwareのミラン・シェッティCEOは、「CIO Dive」に対して「われわれがAIに関して特に重視している特長の一つが説明可能性だ。メインフレームには専門的な操作が必要だが、AIの活用によってメインフレームの専門家ではない人にもシンプルな英語で説明できるようになった」と述べた。

 Rocket Softwareは、今後のメインフレーム領域における人材育成において、生成AIをトレーニングツールとして活用するだろうと強気の姿勢を示している。同社は「企業に存在するメインフレームのスキルギャップに対応し、エンジニアがz17の導入に備えられるように取り組みを強化している」と語った。

 調査企業IDCのスティーブン・エリオット氏(グループバイスプレジデント)は「企業のITチームが直面する喫緊の課題の一つは、コアシステムのモダナイゼーションと業務のスケールアップを進めながら、ITスキルのギャップに対応することだ。AIは、より高度なインサイトと効率性を提供することで、ITがビジネスに効果的に連携できるようにする強力なツールだ」と述べた。

 Capgeminiは、2025年5月14日の発表で「メインフレームからハイブリッドクラウドインフラへの移行を円滑に進めることに注力している」と述べた。同社のフランク・グレヴリ氏(チーフ・ポートフォリオ&テクノロジー・オフィサー)は「多くの企業が、メインフレームから移行するためにリホスティングなどのさまざまな手段を試しているが、どの方法を利用してもメインフレームから完全には脱却できていない」と指摘した。

 ITサービス企業Ensonoのリサ・ダイアー氏(シニアバイスプレジデント)は、「CIO Dive」によるインタビューで「生成AIモデルが成熟するにつれて、モダナイゼーションを実現するための複数の選択肢を生み出すだろう」と述べた。「これまでの傾向から、ミッションクリティカルなアプリケーションをメインフレームで運用しているクライアントは、実験的な姿勢を採用しない。しかし、生成AIはさまざまな選択肢を安全に試す道を作ってくれる」(ダイアー氏)

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