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Broadcomが「第二形態」へ “脱VMware勢”を横目に同社が打ち出す戦略は?CIO Dive

Broadcomは、VMware買収から2年を経て統合の第2フェーズに入ったと発表した。VMwareの顧客9割がVMware Cloud Foundationへ移行する中、同社は次の一手をどう考えているのか。

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 Broadcomの快進撃が止まらない。

 Broadcomのホック・タンCEOは、2023年11月に同社がVMwareを買収してから2年後の2025年第3四半期(5月〜7月)、決算説明会(注1)で「VMwareの統合プロセスは第2段階に入った」と述べた。

Broadcomの「第二形態」を支える戦略は?

 VMwareのライセンス体系が改訂され、事実上の大幅な値上げとなったことに不満を募らせ、「脱VMware」に動いた顧客企業もある。AT&Tをはじめとする顧客企業との訴訟も起きた(AT&Tとは2024年11月に和解)。

 こうした中でBroadcomが前年同期比22%増という大幅成長を実現した背景には何があるのか。また、「第二形態」として同社が描くポートフォリオとは。

 タン氏によると、VMwareの上位顧客1万社の9割以上は、従来の永続ライセンスからサブスクリプション型のプライベートクラウドサービス「VMware Cloud Foundation」(VCF)に移行した。

 「これからは、オンプレミスにプライベートクラウド環境を構築したいと考える顧客企業1万社と協力し、ユーザー環境での正常な展開、運用を支援する。これが2025年から2年間の課題となる」(タン氏)

 同社は、人工知能(AI)半導体の売上急増とVMwareの堅調な成長を受けて、2025年第3四半期の売上高を前年同期比22%増の160億ドルとした。VMwareを含むインフラストラクチャソフトウェア部門は68億ドルの売上を計上。前年同期比で17%増加、全体の43%を占めると、カーステン・スピアーズ氏(CFO兼最高会計責任者)は語った。

 豊富な製品ラインアップを誇っていたVMwareは、Broadcom傘下となったことを契機に、その製品群や販売方法が整理、統合された。2025年6月、Broadcomが一般提供を開始した「VMware Cloud Foundation 9.0」(注2)を筆頭に(注3)、数千のVMware製品を数個の大型バンドルにまとめたBroadcomに対して、一部のユーザー企業は不満を募らせた。

 「5000人以上の開発者が2年の開発期間を費やして、公約を果たすことができた。これによりパブリッククラウドに対する真の代替手段が提供される」とタン氏は述べている。

 Broadcomは、VMwareパートナープログラムを刷新し(注4)、大規模企業ユーザーに対して、従来の永久ライセンスからサブスクリプション型のプライベートクラウドサービスへの移行を重視する方針に切り替えた。2025年8月には小売業のWalmartを顧客に迎え入れ(注5)、VCFを活用して世界各地の拠点のインフラ、ソフトウェア、セキュリティの運用効率化を図っている。

 「データセンター内のハードウェア、サーバ、ストレージ、さらにはネットワークまでも商品化(コモディティ化)している。これにより、企業のハードウェア投資コストを削減できる」(タン氏)

 VMwareのBroadcom移行時、VMwareのライセンス改訂とそれに伴うライセンス価格の値上げは物議を醸した(注6)。AT&Tは2024年8月、契約違反を理由にBroadcomを提訴していた。その際AT&Tは、VMwareのコストが1050%増加すると主張。2024年11月、両社は和解に達した(注7)。

 第2段階の焦点はVCFへの投資利益の実現支援だとタン氏は説明する。「さらに高度なサービス、セキュリティ、ディザスタリカバリー、さらにはAI関連の製品の販売を開始する」(同氏)

 タン氏によると、「VMwareの顧客数は30万人で、そのうち上位顧客1万社はVCFに価値を見いだしている」という。上位顧客の次の規模の顧客に対しては、需要を見極めている段階だ。

 「対応は簡単ではない。まだ検討中で、今後どうなるか興味深い」(タン氏)

 チップやハードウェア事業について、Broadcomは小規模な市場セグメントに注力するのではなく、限られた数のハイパースケーラーに製品やサービスを提供する戦略に重点を置いている。

 Broadcomは7つの主要クラウド、AIサービスプロバイダーのうち3社と関係を持ち、最近4社目と100億ドル規模の契約を締結したとタン氏は説明する。「新たに4社目が加わり、2026年の見通しが変わった」と語る同氏は、AIとVMwareの堅調さが第4四半期の売上高24%成長をけん引するとみている。

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