Microsoft 365にClaudeが統合 Teams、Outlook、SharePointなどの横断検索に対応：AIニュースピックアップ

Anthropicは対話型AI「Claude」をMicrosoft 365と連携させ、企業内の文書・メール・チャットなどを横断検索できる「Enterprise Search」機能を発表した。組織内の知識活用を促進し、業務効率と意思決定の質を高める。

[後藤大地，有限会社オングス]

　Anthropicは2025年10月17日（現地時間）、対話型AI「Claude」を「Microsoft 365」と連携させる新機能を発表した。企業が利用する各種ツールに蓄積されている情報を横断的に検索できる「Enterprise Search」機能の導入も発表している。ユーザーは文書や電子メール、チャット、カレンダーなどに散在する業務情報を、Claudeを通じて一元的に参照できるようになる。

「Microsoft 365 connector for Claude」の機能詳細

　今回提供が開始される「Microsoft 365 connector for Claude」は、Anthropicが提供するMCPコネクターを利用し、Microsoft 365の主要サービスとClaudeを接続する仕組みだ。利用者は「SharePoint」や「OneDrive」「Outlook」「Teams」などと連携することで、業務データを個別にアップロードする必要なく、AIを介して必要な情報を検索・分析できる。

　SharePointおよびOneDriveとの統合により、サイトやライブラリーのドキュメントを横断的に検索し、プロジェクト仕様書や計画書などを即座に参照できる。Outlook連携において、過去のメールスレッドや通信履歴を分析し、顧客からの反応やチーム内の進捗状況を把握できる。Teamsにおいて、チャットやチャンネル内の議論、会議要約などを検索対象とし、意思決定の背景やチームのやりとりを容易に追跡できるようになる。

　Anthropicによれば、これらの連携により、利用者は情報収集に費やす時間を減らし、意思決定や業務遂行に集中できるようになるという。Claudeは文書や通信履歴から文脈を取得し、複雑な問題の整理や方針決定を支援する。

　新たに導入されている「Enterprise Search」は、組織内の知識資産を統合的に活用するための仕組みだ。企業ごとに専用の共有プロジェクトが生成される。管理者が必要な業務アプリケーションを接続し、カスタムプロンプトを設定することで、組織全体でClaudeを利用できるようになる。設定後は、同一組織のメンバーが自動的にアクセス権を得る。

　利用者がClaudeに質問すると、接続されている各データソースを横断的に検索し、組織全体の知識を統合した回答を提示する。これにより、個人のファイルだけでなく、社内全体の情報に基づいた応答を得ることが可能になる。勤務形態に関する社内方針を尋ねた場合、SharePointの人事関連文書、Outlookのやりとり、Teams内のチームガイドラインなど、複数の情報源を参照した詳細な回答を生成できる。

　Anthropicは、このEnterprise Searchが新入社員の教育や、顧客フィードバックの傾向分析、専門知識を持つ社員の特定などに役立つと説明している。組織内の情報をAIが適切に整理し、必要な知識に迅速にアクセスできることを目指している。

　Microsoft 365 connector for Claudeは、ClaudeのTeamプランおよびEnterpriseプランの利用者が即日利用可能だ。導入に当たっては、管理者が組織単位でコネクターを有効化し、ユーザーが自分のMicrosoftアカウントで認証を行う必要がある。Enterprise Search機能も同プランの組織に対し有効化されており、管理者がプロジェクト内容やデータソースを設定した後、チームが利用できるようになる。