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NVIDIAのCEO、オープンソースのAIモデルに熱視線 次なる成長の基盤になるかCIO Dive

NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン氏は「オープンソース型のAIモデルによって、大企業やSaaS企業、製造業、ロボット企業といった幅広い企業がAI革命に参加できるようになっている」と述べた。

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 NVIDIAのCEO(最高経営責任者)であるジェンスン・フアン氏は、2025年8月27日(現地時間、以下同)に開催された2026年第2四半期(同年7月27日までの3カ月間)の決算説明会で(注1)、オープンソース型のAIモデルの可能性を強調した。同社はGPU業界の大手企業として、大規模な計算能力を必要とする企業向け製品の市場を取り込もうとしている。

オープンソースモデルはNVIDIAのさらなる成長に貢献するか

 フアン氏は「オープンソース型のAIモデルによって、大企業やSaaSベンダー、製造業、ロボティクス企業といった幅広い企業がAI革命に参加できるようになっている」と述べ、さらに「世界中の企業がAIを採用する動きを推進しているのは、企業が自社専用の独自のソフトウェア基盤を作りたいと考えているからだ」と付け加えた。

 2025年8月の初めにNVIDIAは、企業向けのAI処理に照準を合わせて、GPUを搭載したサーバ「RTX PRO サーバー」を発表した(注2)。同製品はDisneyや、自動車メーカーのHyundai、製薬企業のLilly、SAPなどの大手企業に採用されている。

 NVIDIAのコレット・クレス氏(エグゼクティブバイスプレジデント兼最高財務責任者)によると、同製品は一般的なIT環境に対応しており、従来の企業向けITアプリケーションから、最先端のAIエージェントや実世界で動作するAIアプリケーションまで幅広く動かせるよう設計されているという。同氏は「企業がデータセンターを近代化する中で、RTX PROは数十億ドル規模の製品ラインに成長する可能性を秘めている」と述べた。

 AIブームは、NVIDIAにおいてニッチな事業であったゲーム向け半導体事業を、巨大なクラウド構築事業へと変貌させた。その結果、同社は2024年7月まで5回の四半期連続で前年比3桁の売上成長を記録している(注3)。さらに、ハイパースケーラーが主導する大規模言語モデル(LLM)向けインフラへのシフトによって、NVIDIAの四半期売上は直近3年間で約7倍に拡大した。

 NVIDIAの直近の四半期の売上高は467億ドルを記録した。前年比の成長率は56%と依然として高水準だが、前四半期の69%(注4)、2025年第2四半期の122%からは減速している。コレット氏によると、NVIDIAでは第3四半期においても同様の成長ペースが続くと見込まれており、成長率は50%台半ば、売上高は約540億ドルに達すると予測されているようだ。

 NVIDIAの成長を支えているのは、ハイパースケーラーによるAIインフラへの継続的な投資だ(注5)。2025年7月、Google Cloudは年間投資額を100億ドル増額し、850億ドルに引き上げた(注6)。MicrosoftもクラウドやAIサービスの需要増に対応するため、次の四半期に300億ドルを投じる予定だという(注7)。さらに最大手のAWSは、2025年の1年間で1000億ドルを投資すると表明している(注8)。

 大手テック企業から一般企業へと設備投資の波が広がる中、NVIDIAはハードウェア製造のパートナーネットワークを活用し、2025年7月からGPUを搭載した「DGX Spark」と「DGX Station」の出荷を開始した(注9)。

 IDCのデータによると(注10)、サーバ市場において販売の急増が既に確認されているという。2025年の最初の3カ月間でGPUに対する需要が爆発的に伸び、過去25年間で最大となる四半期成長を記録した。売上は134%増の952億ドルに達したとのことだ。

 アナリストたちは企業向け市場が拡大しているにもかかわらず、GPU販売に関する成長は全体的に鈍化すると予測している。これは、小規模なAIモデルの運用に必要な計算能力が比較的少ないためだ。調査企業であるOmdiaが2025年8月28日に発表した市場分析によると(注11)、AI向けのインフラ市場は2022年から2024年にかけて250%成長したが、2025年には前年比67%の成長へと減速する見込みだという。

 Omdiaで先端コンピューティングを担当するアレクサンダー・ハロウェル氏(プリンシパルアナリスト)は、報告書で次のように述べた。

 「小型で特殊化されたモデルへの移行や、AIモデルの世代が新しくなることによる効率向上によって、AIコンピューティングの需要は鈍化している。これらの効率化には、学習用データセットに対する精度の高い選別や基盤モデル設計の進歩、推論処理における運用上の最適化などが含まれている」

 NVIDIAは幅広いハードウェアとソフトウェア製品群を揃えることで、成長を持続させようとしている。

 「われわれはGPUを開発して同分野に投資してきたが、よく知られている通り、直近10年で本格的なAIインフラ企業へと姿を変えた」(フアン氏)

 NVIDIAは、AIの活用事例が増えるにつれて、ハイパースケーラーや企業のインフラ需要も拡大していくと見込んでいる。

 クレス氏は「私たちは、あらゆる産業を変革する産業革命の始まりを見つめている」と述べた。NVIDIAは今後10年間でインフラ投資が3〜4兆ドル規模に達すると見込んでいる。

 開示事項:『CIO Dive』を発行するInforma TechTargetの筆頭株主であるInformaは、Omdiaにも出資している。ただし、Informaは『CIO Dive』の報道内容に影響を及ぼしていない。

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