Accentureが“ChatGPT精通集団”に コンサル業務含め幅広く活用：AIニュースピックアップ

AccentureはOpenAIとの協業を通じ、エージェント型AIを中核に据えた企業変革支援を本格化させる。ChatGPT Enterpriseの社内展開やAI専門プログラムを活用し、顧客企業の業務革新と成長機会を広げるという。

[後藤大地，ITmedia]

　Accentureは2025年12月1日（現地時間）、AI分野での企業変革を支援する目的でOpenAIとの協業を発表した。企業の業務中核に高度なエージェント型AIシステムを導入する取り組みを進め、顧客企業における革新や成長の可能性を広げる方針を示している。

数万人のAI人材育成とエージェント型AIの導入支援

　Accentureは数万人規模の自社プロフェッショナルに対し、「ChatGPT Enterprise」を展開する。コンサルティングやオペレーション、デリバリー業務を含む幅広い場面で同ツールを活用し、OpenAIが提供する先端モデルへの理解を深める人材を育成する。併せて、OpenAI認定資格プログラムを通じたスキル習得者数を拡大し、同社技術に精通した人材集団を形成するとした。

　両社の協業において、OpenAIがAccentureの次世代AIサービスにおける主要パートナーの1社となる点も示されている。Accentureは、OpenAIの企業用製品や技術を自社サービスに組み込み、顧客への導入支援を強化する。OpenAI側は、Accentureのグローバルな展開力や業界知見を通じ、エンタープライズ領域での能力拡張を図る。

　この協業の一環として、新たなフラグシップAIクライアントプログラムも立ち上げられた。同プログラムは、OpenAIのエンタープライズ製品とAccentureのAI専門性や業界別・業務別の知識を組み合わせ、企業が実務にAIを組み込む支援をする構想とされている。実装手順に関する指針、業界別の活用事例、セキュリティや展開に関する知見、実践的なサポートが提供される。

　対象分野には金融サービスや医療、公共分野、小売などが含まれる。従来型の業務プロセスをAI活用型のワークフローに移行させ、組織全体への統合度を高めることが狙いとしている。OpenAIが開発するエージェント駆動型機能やモデルの進展、新しい業務設計を共同顧客が迅速に取り入れられる環境を整備する点が示されている。

　両社は顧客サービスやサプライチェーン、財務、人事などの主要業務機能を対象にAIを前提とした企業用ソリューションの共同開発も進める。Accentureは「OpenAI AgentKit」を活用し、顧客企業が独自のAIエージェントを設計、検証、展開する支援をする構えだ。業務自動化や意思決定補助を通じた変革の加速が想定される。

　社内面において、Accentureの各チームがChatGPT Enterpriseを使い、内部業務と顧客支援の双方を支える体制を整える。先端モデルへの直接的なアクセスを通じ、職種を問わないAIスキルの底上げを図ると説明した。こうした経験は顧客が自社でAIを導入する際のアドバイスにも反映される。

　Accenture会長兼CEOのジュリー・スウィート氏は、OpenAIの技術と同社の業界知識、グローバルな提供能力を組み合わせる意義に触れ、顧客の業務成果を加速させる考えを示している。OpenAIアプリケーション部門CEOのフィジー・シモ氏は、Accentureが多数のプロフェッショナルにChatGPTを提供する点に言及し、企業のAI活用を後押しする協業への期待を述べている。