部分最適はもう終わり AI時代に業務変革を成功させるポイントとは?:データとプロセスをつなぎ、人とAIが協働するプラットフォーム「TotalAgility」
全社規模の業務変革、事業変革を阻むのが業務プロセスの分断や非構造化データだ。AIエージェントとハイパーオートメーションの組み合わせによってこれらの課題をいかに解消し、業務変革や事業変革を実現できるのか。世界のトップ企業が利用している「Tungsten TotalAgility」の実力に迫る。
大企業を中心とした多くの企業が業務変革や事業変革を目的としてAIエージェントの活用を模索している。しかし、部門ごとのシステムやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入による業務プロセスの分断、紙・電子メール・Excelなどで個別管理されているデータといった非構造化・半構造化データが、データの活用やAIによる業務効率化を阻んでいる。その結果、多くの企業が業務変革や事業変革の手前で停滞している。
その解決の鍵が「ハイパーオートメーション」だ。ハイパーオートメーションとはOCRやIDP(インテリジェントドキュメント処理)、RPA、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)、AI、API連携などの技術を組み合わせて企業の業務プロセスを広範囲に自動化することを指す。全社規模の業務自動化による業務変革には、データとプロセスをつなぎ、人とAIが協働する自動化のためのプラットフォームが必須だ。
その選択肢の一つが「Tungsten TotalAgility」(以下、TotalAgility)だ。TotalAgilityは、ハイパーオートメーションとAIエージェントを組み合わせることで業務改善のサイクルを循環させ、ビジネスオーケストレーションの実現を図る。
全体最適を実現するTotalAgilityによって、業務プロセスの分断や非構造化データの散在といった課題がどのように解決するのか。Tungsten Automationのマシュー・トムソン(Matthew Thomson)氏とグレッグ・クラウル(Greg Crowl)氏に話を聞いた。
TotalAgilityはなぜ世界のトップ企業に選ばれているのか
Tungsten Automationの旧社名はKofaxで、KofaxのRPA「Kofax RPA」はオープン社が展開するRPA「BizRobo!」の元になった製品として知られている。Tungsten Automationのオートメーション関連製品は「Fortune 500」に選出された上位100社の約4割に選ばれており、世界2万5000社以上に導入されている。世界のトップ10銀行の8行、トップ10物流サービスの8社などにも採用されている。
同社の日本支社であるTungsten Automation Japanは2024年3月、「Tungsten RPA」(旧:Kofax RPA)やTotalAgilityなどのTungsten Automationのインテリジェントオートメーション関連製品について、日本ユーザーに対するライセンス提供と保守サポートをオープン社に引き継ぐと発表した。
TotalAgilityは大手自動車メーカーや金融機関、保険会社、製薬会社など世界中の名だたる企業で利用されている。「世界のお客さまに選ばれているのは、複雑で全社的な課題に対応し、業務変革と持続的な成長を支援するプラットフォームだからです」とトムソン氏は語る。
「人とAIの協働」 AIエージェントによる業務統制とは?
トムソン氏はTotalAgilityを通じて実現するビジョンとして、「ハイパーオートメーションの実現によって人を煩雑なオペレーションから解放します。業務の仕組みそのものを考えたり、刷新や仕組みづくりに注力したりといった人が本来やるべき仕事ができる状態にします」と語る。
TotalAgilityの最大の特徴は、AIエージェントによる業務統制だ。「TotalAgilityはAIを業務プロセスに柔軟に組み込み、生成AIやAIエージェントとビジネスプロセスを連携させ、オーケストレーションを実現します。これがTotalAgilityの強みです」(トムソン氏)
TotalAgilityは、「Quick AI Agent Builder」によってAIエージェントをノーコードで構築できる。また、強みの一つである文書に関する高い処理能力とAIを統合した「Intelligent Knowledge Discovery」によって膨大な非構造化データ・構造化データを横断的に検索して分析し、業務担当者の判断に必要な情報を引き出すことが可能だ。
さらに、AIを活用した開発支援機能「Copilot for Development」を使えば、自然言語や手書き画像の指示でプラットフォーム自体を構築できる。
そして他社製品を含めた複数のAIエージェントがさまざまな部門や業務に散在していても「司令塔」としてタスクに正しいAIエージェントを割り当て、各AIエージェントが「いつ、どこで、どう動くか」を統制できる。
「AIエージェントの統合は、プロセスオーケストレーションプラットフォームを提供している当社にとって当然で自然なことです。他社製品を含めた複数のAIエージェントを柔軟に組み込むという方法で、プロセス自動化のためにさまざまなAIエージェントを活用できます」(トムソン氏)
AIエージェントを業務プロセスに組み込むに当たって気になるのが、人が担う役割だ。TotalAgilityは、人が判断すべき業務ではAIが決断に必要な情報やコンテキストを提示し、人が迅速かつ正確に判断できるように支援する。人が決断した結果をAIに学習させることで、自動化の精度をさらに高める改善を実現する。
TotalAgilityはAIのトレーニングにユーザーの業務データは使われない。業務データはユーザーが所有してオンプレミスにとどまる仕組みになっている。「高いセキュリティ機能に加えてこうした仕組みを実装していることから、TotalAgilityはリスク管理や品質への要求が高い日本企業の皆さまにとって最適なAIを組み込んだ業務自動化プラットフォームだと考えています」(クラウル氏)
TotalAgilityが実現する「業務全体の可視化」と「さらなる改善」
2つ目の特徴がAIを活用して文書の全体の内容とコンテキストを理解し、必要なデータを自動的かつ正確に抽出する高度なIDP機能だ。Tungsten Automationは「Gartner® 2025年版インテリジェントドキュメント処理ソリューション部門のMagic Quadrant™」でリーダーの1社として評価された※1。Gartner以外にも複数の主要な独立系調査会社から高い評価を受けており、Kofax時代も含めると36以上のレポートで業界の主要プレイヤーとして認定されている。
「当社は創業以来40年にわたって機械学習と自然言語処理を活用し、非構造化文書からデータを抽出する技術を向上させてきました。爆発的に増加している非構造化データには、行動につながるインサイト(洞察)が隠されているのです」(クラウル氏)
3つ目の特徴は、ポイントソリューションではなくプラットフォームである点だ。「TotalAgilityはタスクではなく業務をエンド・ツー・エンドで自動化し、あらゆるテクノロジーを統合してコントロールするプラットフォームです」(トムソン氏)
「プラットフォームアプローチは、複数のツールをバラバラに導入・運用する場合よりもコスト効率が高いと言えます。個別のツールを使うことを前提とした構成では、他のツールと組み合わせたり統合したりする必要があります。ツール導入から数年が経過するとバージョンが変わったり新機能が出たりすることへの対応が必要になり、運用にかかるコストも増加します。ビジネスが複雑性を増して拡大すれば、個別ツールによるアプローチでは対応が困難になります。TotalAgilityは、こうしたツール群を一つのプラットフォーム上で統合・最適化してハイパーオートメーションを構築します」(トムソン氏)
ハイパーオートメーションとAIエージェントを組み合わせることによって人やデータ、AIが業務プロセスの中でつながる。このことで、業務プロセスだけでなく、人の作業内容や業務判断の基準、ステータスや判断の結果が可視化され、全業務の進捗(しんちょく)状況を把握できる。「可視化されたデータによって現状を単に把握するだけでなく、AIで分析することで継続的な改善が実現します」(トムソン氏)
こうしたハイパーオートメーションとAIエージェントの組み合わせによる業務改善のサイクルの好循環によって実現するのが、ビジネスオーケストレーションだ。
バックオフィス業務だけでなく、コア業務の効率化でも成果
TotalAgilityは実際にどう使われているのか。トムソン氏によると、海外のトップ企業はバックオフィス部門に限らず、さまざまな部署でTotalAgilityを活用しているという。
同氏が例として挙げたのが、保険金の請求処理や金融(ローン審査、KYC※2)、製造(出荷書類分離業務※3)、小売(契約管理)、給与管理、新人のオンボーディングなどだ。
保険業界における保険金の請求処理では、TotalAgilityは電子メールや郵便などさまざまなチャネルを通じて受け取った保険金請求に関する文書を取り込む。100〜200ページに及ぶ非構造化文書から、機械学習(ML)や自然言語処理(NLP)、大規模言語モデル(LLM)によって文章を正確に抽出し、構造化データに変換する。
文書が改ざんされていないことを検証したデータに対し、保険金支払いの判断に必要な情報やコンテキスト(文脈)を提示し、人が正確かつ素早く判断できるように支援する。処理された請求情報はデータベースに取り込まれ、データ分析機能によって業務プロセス全体の可視化や、人の判断結果をAIエージェントに学習させることによる改善を実現するためのレポートや分析データが生成される。
「これまで担当者は手作業で数百ページに上る文書を全て読んで判断を下していました。TotalAgilityを利用すれば、多くの時間と労力がかかっていた業務を秒単位で処理できます」(トムソン氏)
「コア業務の効率化にも活用され、大きな成果を挙げている背景には、当社が長年積み重ねてきたナレッジやユーザーのニーズに合わせて調整できるTotalAgilityの拡張性の高さがあります」とトムソン氏は胸を張る。
※2 KYC(Know Your Customer):マネーロンダリングや不正利用を防止するための顧客の身元確認と当人認証を指す。
※3 出荷書類分離業務:業務効率化や内部統制の強化のために、製造プロセスと出荷時の書類作成・管理プロセスを分離すること。ここでは出荷情報が含まれる書類の束(パケット)を必要な単位に分ける業務を効率化する。
TotalAgilityを活用して世界に打って出てほしい
ここまで、TotalAgilityが世界のトップ企業で全社的な業務変革、事業変革を支えるプラットフォームとしてRPAやAI、人などが関わるより高度な業務プロセスを自動化している様子を見てきた。データ活用やAIによる業務効率化が進まないことに悩む日本企業に向けて、トムソン氏は次のようにメッセージを送る。
「当社の顧客である海外のトップ企業はコスト削減や人手不足解消だけでなく、業務サイクルタイムの削減といった顧客満足度や従業員満足度の向上を重視しています。日本企業の皆さまにもTotalAgilityを活用してこれらを実現してほしいと考えています」
Tungsten Automationは、日本ではオープン社とのパートナーシップについて次のように語った。「オープン社とは何年にもわたって素晴らしいパートナーシップを築いており、大きな成長の余地やポテンシャルがあると考えています。事業譲渡は当社の技術力とオープン社が持つ導入・サポートの強みを掛け合わせたいと考えた結果です。日本の多くのお客さまがわれわれの技術を利用して事業を成長させ、世界に打って出てほしいと考えています」
※1 Gartner® Magic Quadrant™ for Intelligent Document Processing Solutions, Shubhangi Vashisth et al., 3 September 2025
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