AI特化の「ネオクラウド」市場が爆発的成長 前年比223%増を記録:IT調査ピックアップ
Synergy Research Groupは、AI需要急増によってネオクラウド市場が急拡大し、2031年に4000億ドル規模へ達すると発表した。GPU特化型の強みを生かし、供給不足が続く既存大手に対抗する存在として計算基盤の再編をけん引している。
Synergy Research Groupは2026年4月2日(現地時間)、AIインフラ需要の急拡大を背景に、ネオクラウド市場が急速に拡大しているとの調査結果を発表した。2025年通年の売り上げは250億ドルを超え、同年第4四半期には90億ドルに達し、前年同期比で223%増を記録した。今後も高成長が続き、2031年には市場規模が約4000億ドルに迫り、年平均成長率は58%に達するとの見通しを示している。
ネオクラウドは、AI処理に特化したGPU中心の計算基盤を提供する新たなクラウド形態。GPUaaSや生成AI基盤、高密度データセンターなどを主軸とし、高性能な処理能力を効率的に提供する点が特徴だ。主要な事業者としては、CoreWeave、Crusoe、Core Scientific、Lambda、Nebius、Nscaleなどが挙げられる。
AIインフラ需要がけん引する「ネオクラウド」の台頭、注目の事業者は?
この成長の要因には、従来型クラウドの供給制約がある。GPUを中心とした計算需要が急増する中で、ハイパースケーラーの供給能力が需要に追いついていない状況が続いている。その結果、ネオクラウド事業者はクラウド市場の中でも特に成長の速い領域で存在感を高めている。
競争構造にも変化が生じている。中でもCoreWeaveは、ハイパースケーラーに対抗する存在として注目されている。OpenAIやAnthropicは、基盤モデルや開発環境を提供するプラットフォーム型の立場で影響力を強めている。これらの企業群は、インフラ層とプラットフォーム層の境界を再定義しつつある。
新規参入企業や暗号資産関連から転換した事業者も増えているが、ネオクラウドの本質はGPU計算への特化にある。高密度な処理能力や迅速な導入、効率的な拡張を可能にする構造が、AI用途に適した基盤として評価されている。こうした特徴により、ネオクラウドはAmazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudといったハイパースケーラーの代替的な選択肢として位置付けられている。
Synergy Research Groupの創業者兼主席アナリストであるジェレミー・デューク氏は、「今回の動向について、単なる新しいクラウド形態の登場ではなく、計算基盤の構造的な再編と位置付けている。従来のクラウドは汎用(はんよう)的な柔軟性を重視して設計されてきたが、AI処理では並列性やデータ配置、計算資源の集中といった制約が強く求められる。この違いが、クラウドの設計思想そのものに変化をもたらしている」と指摘する。
AIの活用が実験段階から本格運用へと移行する中で、こうした基盤の差異はいっそう重要な要素となる。ネオクラウドは、その要件に対応した構造を備えることで、今後の計算基盤の進化に大きな影響を及ぼす存在となる可能性がある。
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