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「AI時代、後付けの対策では不十分」 HPEが示す、ネットワークとセキュリティの統合ITニュースピックアップ

HPEはエッジからクラウドまでを保護する包括的なセキュリティ対策を発表した。新製品SRX400の投入やAI統制機能の強化、ポスト量子暗号への対応によって、分散環境でのリスク低減とレジリエンス確保を支援する。

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 日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)は2026年4月15日、AI活用の拡大に伴い複雑化する分散IT環境の課題に対応するため、包括的なセキュリティ強化に向けた新たな取り組みを発表した。クラウドからコア、エッジまでを横断する一貫した保護を実現し、企業がAIを安全に活用できるよう基盤の整備を狙う。

コアからエッジまでを貫くセキュリティ基盤

 発表では新製品「HPE Juniper Networking SRX400 Series Firewalls」のリリースに加え、ハイブリッドメッシュ型のセキュリティアーキテクチャの機能強化、レジリエンスを重視した各種機能の拡張が示された。AI導入が進む中で、運用範囲の拡大やサイバーリスクの増大に対応し、全体を通じた統制と可視化の強化が重要課題となっている。

 同社SASEおよびネットワーキングセキュリティ担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのデビッド・ヒューズ氏は、AIの活用が進むシステム環境では、従来のようにセキュリティを後付けで実装する手法では不十分であり、ネットワークとセキュリティの統合が不可欠だ」と指摘した。その上で、ポリシーの標準化と全体適用を支援し、性能や運用性を維持しつつ信頼性の高いAI導入を可能にすると説明した。

 発表されたSRX400シリーズは、小規模拠点や設置制約のある環境にもキャリアグレードの保護機能を提供する点が特徴だ。コンパクトな設計ながら高い処理性能と運用効率を備え、遠隔拠点を含めた全体のセキュリティ水準を均一化する。改ざん耐性やデバイスの完全性確保も強化されており、分散環境における弱点を抑える役割を担う。

 ハイブリッドメッシュファイアウォールの強化においては、AI利用時における統制機能が拡充された。Ponemon Instituteの調査によると、調査対象となった企業の過半数がAIを活用している一方で、その裏で、機密情報の不適切な共有や不正アクセスといったリスクが課題となっている。これに対応するために、AIアプリケーションの利用状況の可視化やアクセス制御、未承認サービスの遮断機能が追加された。

 プロンプト単位での検査機能により、外部サービスへの情報流出を抑止する仕組みも導入された。ユーザーやワークロード単位でのポリシー適用を可能にするIDベースの保護も整備され、物理や仮想、コンテナ環境を含む統合的な管理を実現する。運用面では自動化機能やチャットbotによる支援が強化され、複雑な作業の簡素化が図られる。

 脅威対策においては、HPE Threat Labsの取り組みが強化された。同組織はネットワークテレメトリーと専門知見を活用し、リアルタイムの脅威分析能力を高めている。公開されたレポートでは、2025年に観測された1186件の攻撃キャンペーンを分析し、攻撃が高度化・組織化している実態を明らかにした。既知の脆弱(ぜいじゃく)性の悪用や基盤の再利用により、効率的に大規模攻撃がされている点も指摘されている。

 この分析では、防御の強化には単なるツール追加ではなく、全体の可視性と連携、対応力の強化が必要だと結論付けている。ゼロトラストの適用やAIによる検知、サプライチェーンや自宅環境を含む対策の拡張が重要とされる。

 製品面においては、ストレージやサーバを含むポートフォリオ全体でのセキュリティ機能の拡張も進められている。「HPE Zerto Software」ではサイバーリカバリー機能が強化され、復旧対象の拡充やAI関連ワークロードへの対応が進んだ。StoreOnceとの連携により、不変データからの迅速な復旧も可能となる。

 また「HPE Morpheus Software」には機密コンピューティング機能が追加され、処理中のデータも暗号化されたまま処理できる。ハードウェアベースの信頼実行環境と鍵管理を組み合わせることで、規制要件への対応とデータ保護を両立する。

 将来の脅威として想定される量子コンピューティングにも対応する。「Junos OS Evolved」(以下、Junos)にはポスト量子暗号(PQC)が導入され、今後はJunos全体へ拡張される予定だ。関連するサーバ製品にも適用が進み、暗号基盤の強化が図られる。

 これらのソリューションは、ソブリンITやエアギャップ環境を含む多様な運用形態に対応し、統制とコンプライアンスを確保する設計となっている。提供時期については、SRX400シリーズおよび関連機能が2026年第2四半期、Zerto Softwareの新バージョンが同年4月、機密コンピューティング機能が第3四半期、PQC対応は同年夏にそれぞれ開始される予定だ。

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