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大垣共立銀行が描く次世代IT基盤戦略 運用負担を抑え、DXを加速するモダナイゼーションとは単なる更改で終わらせない、リスクを抑えたインフラ刷新

仮想化基盤の運用負担の増大やライセンス体系の変化を受け、IT基盤の見直しを迫られる企業は少なくない。しかし、既存システムを止めずにモダナイゼーションを進めることは容易ではない。こうした課題に対し、大垣共立銀行は単なる更改では終わらせない選択をした。将来のDX基盤を見据えながら、運用負担とリスクを抑えたモダナイゼーションをどのように実現したのか。

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運用負担増とコスト不透明化により限界を迎えたIT基盤

 岐阜県大垣市に本店を置く大垣共立銀行は、岐阜県と愛知県を中心に店舗を展開する地方銀行だ。「地域に愛され、親しまれ、信頼されるOKBグループ」という経営理念のもと、地域密着型金融機関として、数々の挑戦を重ねてきた。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進とセキュリティ強化を経営の最優先事項に位置付ける。2025年7月にはシステム部門とIT統括部門を統合した「デジタル統括部」を新設し、AI活用を見据えたITリテラシーの底上げや人材育成にも力を入れている。一方で、セキュリティ強化や、AI活用への投資を進める上で課題となっていたのが既存システム基盤の運用管理負担だった。

 変化の激しい事業環境において、IT部門が運用維持に多くのリソースを割かざるを得ない状態は、将来のDX推進力にも影響しかねない。同社は今回の環境変化を、IT基盤の在り方を抜本的に見直す転機と捉えた。

中橋氏
大垣共立銀行の中橋啓太氏(デジタル統括部 DXセンター 課長)

 同社の広範な業務システムを支えているのが「VMware vSphere」をベースとする仮想化基盤だ。同社ではモダナイゼーションの一環として各種サービスの活用も進めているものの、依然として大規模なオンプレミス環境を維持している。BCP(事業継続計画)を考慮して複数拠点で分散運用とデータ保護をしており、本番系と開発系を合わせて数百台規模の仮想マシンを運用していた。運用における課題について、大垣共立銀行の中橋啓太氏は次のように説明する。

 「仮想化基盤を安定的に維持するためのパッチ適用やバージョンアップは不可欠ですが、機能の高度化に伴って運用の複雑性が増し、高い専門性が求められる状況となっていました。業務影響を考慮しながらの作業は慎重に進めていく必要があり、複数拠点に分散した環境のバージョンアップ対応には多大なリソースを要していました」

 この状況下で浮上したもう一つの課題が、VMware製品のライセンス体系変更であり、更新時の価格変動を含めた中長期的なコスト予測は従来よりも難しくなっていた。同社はこれらの変化を、長期的な視点でIT基盤の在り方を再検討する前向きな契機と捉え、仮想化基盤の刷新プロジェクトを本格的に始動させた。中橋氏は「本来注力すべきDX推進やシステムのモダナイゼーションにリソースの投資をシフトさせたいと考えました」と語る。

運用負担の軽減と将来の選択肢拡大を両立する基盤へ

 大垣共立銀行は仮想化基盤の刷新に当たり、同社の各種システム構築や運用支援を担い、長年のパートナーとして自社環境や運用体制を熟知するNECに相談した。NECは製品ありきではなく、将来のIT戦略や運用体制まで含めて複数の選択肢を多角的に比較検討。短期的な更改ではなく、中長期的なモダナイゼーションを前提とした議論を重ねた。

 その結果、移行リスクを抑えつつ、既存システムとの親和性が高く、将来のDX基盤を整備できる選択肢として、VMwareテクノロジーの継続利用をベースとしたモダナイゼーションを選択した。こうした方針の実現策として、NECは検討大詰めを迎えていた2025年6月、「NEC Private Cloud Infrastructure powered by VMware」〈以下、PCI(VM)〉を提案した。

図1
PCI(VM)のシステムイメージ(提供:NEC)《クリックで拡大》

 NECの濱野由芽氏によると、当時PCI(VM)はサービス提供の準備段階だったが、同社の要件に合致すると見定めて提案。今回の提案は、将来の事業変化を見据えてITロードマップを描くという、BluStellar Scenario「業務システム/IT基盤の最適で安全安心なモダナイゼーション」の考え方と重なるものだった。NECの知見を生かすことで、製品導入にとどまらず、顧客の将来像を起点とした提案につながる。

 PCI(VM)は、NECのデータセンター内の専用ベアメタルサーバで提供される「VMware Cloud Foundation」ベースのプライベートクラウドサービスだ。月額定額制で利用でき、運用管理も含めて提供される。同サービスは、サーバ仮想化プラットフォームに必要なハードウェア、ソフトウェア、マネージドが1つになったものだ。システム構成が非常にシンプルなため、導入が容易で取り扱いやすく拡張性に優れるという特徴がある。

 大垣共立銀行はNECの提案を検証し、PCI(VM)の採用を決定した。中橋氏は3つの選定理由を挙げる。1つ目は運用負担の軽減だ。ハイパーバイザーのパッチ適用やバージョンアップ作業などの運用管理をベンダーに委ねることで、維持工数の削減を見込める。2つ目はコストの予見性確保だ。同サービスは定額料金内にVMwareのライセンス料を包含するため、為替やサービス変更に伴う価格変動リスクを最小化し、中長期的な財務計画の立案を容易にする。3つ目は将来性だ。PCI(VM)のデータセンターは、「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Oracle Cloud Infrastructure」と低遅延かつセキュアに直接接続できるネットワーク基盤を備える。これは将来のシステム特性に応じて最適なクラウドを利用するマルチクラウド環境の実現に向けたインフラの準備に直結し、段階的なシステム移行の基盤形成にもつながる。

 導入までの道のりはNECの徹底的な伴走に支えられた、と中橋氏は語る。2025年5月頃から約半年にわたり、製品比較と検証を共に進めた。「構成をどうするか」「費用をどう最適化するか」といった議論を重ね、PCI(VM)の採用を決めた。NECは標準のサービスメニューをそのまま適用するのではなく、同社の運用ポリシーやコスト要件に合致するよう、物理ノードのスペック(CPUコア、メモリ、ストレージ)の構成単位を細かくカスタマイズした専用モデルを設計した。NECの山口智明氏は、「強固な信頼関係に基づく議論があったからこそ、最適解にたどり着けたのだと思います」と語る。また、バックアップのためのインフラには、NECのサーバ「Express5800」を月額制で利用できる「Express従量課金サービス」に加えて、同社のストレージを定額利用できる「iStorage定額課金サービス」を採用。中橋氏は「長年にわたり当社のシステムと運用体制を熟知したNECならではの提案として、業務とコストの双方に合致するインフラを設計していただきました」と高く評価する。

業務影響を最小化する移行計画、金融機関の運用ポリシーにも対応

 大垣共立銀行は仮想化基盤の移行に当たって、業務影響を最小限に抑えることを最優先事項とした。移行手順の策定に向けて綿密な協議を重ね、システムを稼働させたまま移行を進めた。実際の移行作業には「VMware HCX」のライブマイグレーション機能を適用した。複数拠点をつなぐネットワーク基盤の移行は、既存のセグメントをNECのデータセンターへL2延伸する手法を選択し、現行のIPアドレスをそのまま継承した。

丸田氏
大垣共立銀行の丸田貴理氏(デジタル統括部 調査役)

 厳格な運用ポリシーを持つ金融機関として、NECが提供するマネージドサービスの運用ルールとのすり合わせも、移行における重要課題だった。大垣共立銀行の丸田貴理氏は、運用を全てベンダーに任せるのではなく、役割分担や変更管理プロセスを事前に整理したと説明する。「これまでは当社が運用作業の全責任を負っていました。今後はバージョンアップなど専門性の高い作業をNECのマネージドサービスに任せられるようになり、大きな安心感につながっています。これまで運用に充てていた工数は、AI活用の推進など、戦略的な取り組みに充てていきたいです」

インフラ刷新を将来のIT戦略につなげる

 PCI(VM)の本格的な検討開始から約1年が経過した2026年7月現在は、開発系システムの移行が完了し、本番系システムの移行も順次進めている。丸田氏は「当初から目指していた方向に着実に進んでいます。PCI(VM)に移行できたことで、将来的なIT戦略の選択肢も広がりました」と手応えを示す。移行を終えたシステムにトラブルはなく、中橋氏は「ほとんどの銀行員が基盤の切り替えに気付いていないと思います。通常業務を安定して継続できていることが成果です」と評価する。

 今回の移行はゴールではなく、将来のDXとモダナイゼーションを見据えた基盤刷新のスタートラインだ。大垣共立銀行は、このプライベートクラウド基盤を共通基盤として位置付け、インフラの柔軟性と可用性をさらに高めるために、システムの特性に応じてパブリッククラウドを適材適所で組み合わせるハイブリッドクラウド環境の構築を目指す。

 NECは、各業務システムの特性を踏まえたSaaS移行や、コンテナ化を軸とするクラウドネイティブ技術の導入などを提案し、同社のモダナイゼーションを伴走支援する方針だ。中でもNECの鈴木雄貴氏は、この新たなインフラを土台として、銀行の将来的なDX推進や新たなIT戦略の実現に向けた中長期的な提案を見据えている。山口氏も、コンサルティングを起点とした同社の支援体制について、次のように強調する。「今回の取り組みはPCI(VM)の導入そのものではなく、その先のIT戦略までを見据えたロードマップを大垣共立銀行様と共に描いたことにあります。こうしたアプローチをBluStellar Scenarioとして体系化することで、個別の製品導入にとどまらず、お客さまの将来像を起点とした提案につながっています」

 中橋氏は「単に仮想化環境を更改するだけではなく、将来の事業成長を支える基盤をいかに構築するか――そこに、銀行の命運がかかっていると考えています。信頼するパートナーであるNECと協働したからこそ、ここまでこぎつけられました」と道のりを振り返る。丸田氏も「システムをPCI(VM)へ移行して終わりではなく、運用・保守フェーズに入ってからの『これから』が重要です。密なコミュニケーションを通じてより良い関係を維持し、次の一手を共に考えたいですね」と、NECの支援への期待を寄せる。

 大垣共立銀行の取り組みは、単なる仮想化基盤の刷新ではない。既存資産を最大限活用しながら、将来のDXやAI活用に向けた選択肢を広げるモダナイゼーションの実践例といえるだろう。

集合写真
左から、大垣共立銀行の中橋啓太氏、丸田貴理氏。NECの鈴木雄貴氏(ITサービス関係部門 金融ソリューション事業部門 金融システム統括部 地銀SI第一グループ 主任)、濱野由芽氏(同 金融ソリューション事業部門 第四金融ソリューション統括部 中日本ソリューション営業グループ)、山口智明氏(プロダクト&サービス関係部門 グローバル・マネージドサービス事業部門 マネージドサービス・クラウド戦略統括部 クラウドビジネス戦略グループ シニアマネージャー)

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年10月13日

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