国産メインフレーム移行を「計画できない」から「進められる」へ 現実的な移行ルートとは:既存資産を生かし、IBM Zで基幹業務を継続する
国産メインフレームを取り巻く環境が変化する中、企業は移行の検討を迫られている。しかし、システムのブラックボックス化や技術者不足が移行計画の壁となる。既存資産を可視化し、業務への影響を抑えながら現実的なモダナイゼーションを進めるには、何から始めるべきか。
メインフレームはクラウドサービスが登場する以前から製造や流通、金融、保険などさまざまな業種で基幹システムを担い、日本企業のビジネスを支えている。
オープン化やクラウドサービスなど新たな技術の波が次々に訪れても、根強く利用され続けてきた背景には理由がある。「メインフレームは高い堅牢(けんろう)性とセキュリティを備え、業務を止めないことが強みです」と、キンドリルジャパンの麻生亮氏は説明する。
加えて、高い性能も特徴だ。特に夜間バッチ処理のように、翌日への突き抜け(予定時間内に処理が終わらない状況)が許されない業務においても、定められた時間内での確実な処理が求められる。このようなミッションクリティカルな処理を安定して実行できる点も、メインフレームの強みとなっている。
しかし、こうした強みを持つメインフレームを取り巻く環境は変化しつつある。長年国産メインフレームを提供してきたベンダー各社が、相次いで事業縮小の方針を表明しているためだ。販売や保守の終了を見据えて移行を検討する必要がある一方、多くの企業がその具体化に向けた「壁」に直面しているのだ。
国産メインフレーム移行で直面するハードル
「長年にわたる改修によって、メインフレームのシステムは非常に複雑化しています。仕様書がなかったり、あっても実態と一致しなかったりすることもあり、ブラックボックス化して全体像の把握が困難です。ソースコードとデータベース、JCL(Job Control Language)との関係性もよく分からない状態になっています」と、SCSKの丸山広晃氏は指摘する。
長年の機能追加や改修を経たシステムでは、設計経緯や業務上の判断が文書として十分に継承されていない場合がある。加えて、メインフレーム技術者の減少により、既存資産の全体像やプログラム間の関係を把握する負荷も高まっている。
こうした要因から「移行を検討しようにも、移行に必要な工数や期間を見積もり、リスクを評価することができず、意思決定のための材料がそろいません。このため、何をどう移行するかの具体的な計画も立てられません」(丸山氏)
新たなインフラで一から開発するのも困難だ。メインフレーム上の基幹システムは、企業それぞれのノウハウや知見を反映してきた資産であり、それをまた作り直そうとするのは「コストや期間といった要因を加味すると、再構築というアプローチは難しいと言わざるを得ません」(麻生氏)
一方で国産メインフレームを取り巻く環境は転換点を迎えている。「メインフレームに限らず、システム移行は簡単にできるものではありません。早めに計画を立てて進めないと、期限が迫る中で行き詰まる恐れがあります」と丸山氏は述べる。「まだ時間はあるから」と先延ばしにするのではなく、今のうちから現実的な選択肢を検討することが重要だという。
その第一歩としてSCSKとキンドリルジャパンは、メインフレームで動かしている資産の把握から始めることを推奨している。「メインフレームの移行において最も難しいのは、変換や移行作業そのものよりも、その前段階の調査・分析のプロセスだと言えるでしょう。まずは現在の資産を把握し、影響範囲を可視化することが必要です」(丸山氏)
既存の業務資産を可視化し、IBM Zへのリホストを支援する「Caravel zShift」
国産メインフレームからIBM Zへの移行に向け、既存資産の調査・分析から変換までを支援するサービスが「Caravel zShift」だ。
Caravel zShiftは、IBM製のメインフレーム「IBM Z」への移行を前提に、「メインフレームtoメインフレーム」でのリホストを実現する。SCSK、キンドリルジャパン、スペインのIT企業BASE100、BASE100の日本総代理店であるトランスウェアの4社が共同で開発し、「現状が把握できず、計画も立てられない」という移行プロジェクトのハードルを乗り越えられるよう支援する。
「どのようなアプリケーションやデータベース、JCLが存在し、それらがどのようにつながっているかを整理できます。その上で、移行に必要な作業や確認事項を分析し、移行対象と個別対応が必要な範囲を明確にします。これにより、工数や期間、コスト、移行にまつわるリスクの見通しが立てやすくなり、移行計画を具体化できる点が価値です」と、キンドリルジャパンの麻生氏は語る。
Caravel zShiftは、BASE100が保有するモダナイゼーションサービス「Caravel」シリーズの資産解析技術「Caravel Insight」をベースに開発された。Caravel Insightによる資産分析・可視化の仕組みに加え、4社が持つメインフレーム移行の知見や変換ノウハウを組み合わせることで、国産メインフレームからIBM Zへの移行を支援する。既存資産を分析・可視化した上で、アセンブラやCOBOL、PL/Iで記述されたソースコードはもちろん、データベースやJCLもIBM Z向けに自動変換する。
「国産メインフレームには、特にデータベースの考え方にそれぞれ癖があります。われわれがホストのリライトで培ってきたノウハウを生かした『変換ルール』をCaravelの変換エンジンに追加することで、そうした国産メインフレーム独自の部分も自動変換できる仕組みを作り上げました」と、トランスウェアの水野一郎氏は話す。実際の国産メインフレーム資産を用いた検証も進め、変換精度と実用性の向上を図ってきたという。
もちろん、独自のミドルウェアを組み込んでいるなど、自動変換が難しい部分も存在する。その場合も、Caravel zShiftによって変換ルールを適用できる領域を自動変換し、個別対応や人による確認が必要な領域を明確にすることで、手作業の範囲を絞り込み、工数や費用の抑制につなげられるという。
メインフレームで動作する基幹システムの移行では、業務への影響を抑えながら品質を確保することが欠かせない。Caravel zShiftは、資産分析によって自動変換できる領域と個別対応が必要な領域を切り分けるため、人が確認・検証する箇所を把握できる。「ルールに基づく解析・変換を活用することで、品質を確認しながらIBM Zへの移行を進められます」(水野氏)
業務資産を引き継ぎ、IBM Z上で段階的なモダナイゼーションへ
国産メインフレームからのリホストは、移行自体が目的ではない。丸山氏は「重要なのはお客さまが培ってきた資産を生かしながら、基幹システムの継続性と安定性を確保し、その先の変革につなげることです」と強調する。
Caravel zShiftは、IBM Zを対象としたメインフレームtoメインフレームのリホストを前提としている。移行元と移行先がともにメインフレームであるため、全面的にオープン系へ再構築する場合と比べ、既存の業務ロジックや運用特性を引き継ぎやすい。加えて、IBM Zの高可用性や堅牢性、セキュリティ、性能といったメリットも享受できる。
「IBM Zは継続的に機能強化が行われており、国産メインフレームでは選択肢が限られていたオープン環境やクラウドとの連携、AI活用にも対応できるプラットフォームとなっています」(麻生氏)
最初から全面刷新を目指す必要はない。まずは既存資産を生かすことを重視し、移行リスクを抑えながらIBM Zへの移行を進め、システムの継続性を確保した上でモダナイゼーションを検討する。こうした段階的なアプローチも有効な選択肢となる。
既存の資産を可視化し整理することで、自社の事業戦略やIT戦略に合わせた本格的なモダナイゼーションへ踏み出しやすくなる。移行後の稼働基盤としては、SCSKのメインフレーム向けマネージドサービス「MF+」やキンドリルジャパンのクラウド型メインフレームサービス「zCloud」が選択肢となる。監視やセキュリティ管理を含む運用についても、移行先の環境や要件に応じて検討できる。
国産メインフレームからの移行は、移行先や方式を先に決めるのではなく、まず現在の資産とその関係性を正確に把握することから始まる。Caravel zShiftは、既存資産を生かしたIBM Zへの移行を具体化し、必要な作業や確認事項を明らかにすることで、実行可能な移行計画づくりを支援する。SCSKは、移行後の稼働基盤となるMF+も含め、基幹システムの継続性確保と、その先の段階的なモダナイゼーションを支える。
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提供:SCSK株式会社、キンドリルジャパン株式会社、トランスウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年11月25日






