各社の「ホームルーター」はどう違う? 5ブランドのサービスを比較・解説【2023年5月版】
「ホームルーター」を使えば、手軽に家庭内のWi-Fi環境を構築できます。ここでは、NTTドコモ、au、UQ WiMAX、ソフトバンク、楽天モバイルの5ブランドについて、提供されている製品・サービスのポイントを比較してみましょう。
携帯電話各社が販売している「ホームルーター」を使えば、手軽に家庭内のWi-Fi環境を構築できます。ホームルーターは光回線などの有線ではなく、スマートフォンのように4Gや5Gのモバイル通信技術を使って、インターネットに接続するからです。
従来のモデムやブロードバンドルーターの導入と比べると、配線工事やLANケーブルの引き回しの必要もなく、契約後に入手できるホームルーター本体の電源ケーブルを、コンセントにつなげるだけで済むため、新規契約や回線契約の見直しをする際には、有力な選択肢となるでしょう。
こうしたホームルーターは、大手通信キャリア通信プランとセットで提供されています。ここでは、NTTドコモ、au、UQ WiMAX、ソフトバンク、楽天モバイルの5ブランドについて、提供されている製品・サービスのポイントを比較してみましょう。
※ホームルーターの機種代金は適用キャンペーンにより割引されることが多いため、今回はサービス内容と製品スペックについて確認していきます。
井上晃
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
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NTTドコモ:home 5Gプラン
NTTドコモでは「home 5G」という名称で、ホームルーターを展開しています。提供している通信プランは、月額基本料金4950円の「home 5G」プランのみとなります。データ容量は使い放題です(直近3日間のデータ利用量が特に多い場合は通信が遅くなる場合があります)。
選択できる対応ルーターは「home 5G HR01」(2021年8月発売モデル)と「home 5G HR02」(2023年3月発売モデル)の2種類があります。
home 5G HR01はシャープ製で、基地局からルーターまでの最大受信速度が、5G対応エリアで4.2Gbpsに対応。4G LTE環境でも最大1.7Gbpsに対応します。ルーターから接続端末までは、Wi-Fi 6での通信が可能で、最大通信速度は1201Mbpsです。同時接続台数は65台(Wi-Fiで64台、有線LANで1台)。
home 5G HR02もシャープ製で、基地局からルーターまでの最大受信速度は、HR01と共通しています。一方、ルーターから接続端末までは、Wi-Fi 6での通信で、最大通信速度は4804Mbpsまでサポートします。同時接続台数は66台(Wi-Fiで64台、有線LANで2台)です。
au:ホームルータープラン5G
auでは「ホームルータープラン5G」という名称で、通信プランを提供しています。月額基本料金は5170円です。「スタンダードモード」では、一部の5Gと4G LTE、WiMAX 2+エリア内での通信を月間データ容量上限なく使用できます(一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合、混雑する時間帯の通信速度が制限される場合があります)。
一方、より広いエリアで通信が可能になる「プラスエリアモード」(無料)では、月30GBを超えると通信速度が128kbpsに制限されます。なお、通信料金が高額にならないよう注意する必要がありますが、容量超過時に通信量を2GBごと2750円で自動加算していく「エクストラオプション」も用意されてはいます。
対応機種は「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」(2021年8月発売モデル)と「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」(2021年11月発売モデル)の2種類です。
Speed Wi-Fi HOME 5G L11はZTE製で、基地局からルーターまで最大通信速度は、5G利用時で2.7Gbps。ルーターから接続端末までの通信速度は、Wi-Fi 6接続時で最大1201Mbpsです。最大接続台数は、Wi-Fiで30台、有線LANで2台です。
Speed Wi-Fi HOME 5G L12はNECプラットフォームズ製。基地局からルーターまで最大通信速度は、同じく5G利用時で2.7Gbpsです。ルーターから接続端末まではの通信速度は、Wi-Fi 6接続時で最大2.4Gbpsです。最大接続台数は、Wi-Fiで40台です。
UQ WiMAX:Speed Wi-Fi HOME
UQ WiMAXでは、「ギガ放題プラス ホームルータープラン」という通信プランを提供しています。月額基本料金は4950円です。
KDDIグループのUQコミュニケーションズが提供するブランドなので、スタンダードモードとプラスエリアモードに分かれ、スタンダードモードでは月間データ容量上限なく使用できるのもauと共通です(一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合、混雑する時間帯の通信速度が制限される場合があります)。
一方、「自宅セット割 インターネットコース」や「auスマートバリュー」などの適用がなければ、プラスエリアモードの利用には月額1100円のオプション利用料がかかります。
UQモバイルでは多様なルーター製品を展開していますが、WiMAX +5G対応のホームルーターとして提供している製品は、auのラインアップと同じく「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」と「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」の2種類です。なお、一人暮らしのワンルームなどを想定すれば、そのほかにモバイルルーター製品も選択肢に入ってきます。
ソフトバンク:SoftBank Air
ソフトバンクでは「SoftBank Air」というブランドでホームルーターの通信プランを提供しています。月額の基本料金は5268円です。データ利用量、大容量通信や長時間利用などに対しての制限はありません。
対応のホームルーターは、「Airターミナル4 NEXT」(2019年3月発売モデル)と「Airターミナル5」(2021年10月発売モデル)の2種類。前者はやや古く、5G通信をサポートしない機種ですので、今後契約するなら後者一択でしょう。
Airターミナル5はOPPO製、基地局からルーターまで最大通信速度は、5G利用時で2.1Gbps。ルーターから接続端末まではの通信速度は、Wi-Fi 6接続時で最大2.1Gbpsです。Wi-Fiの最大接続台数は128台。有線LANポートも2つ備えます。
楽天モバイル:Rakuten Turbo
楽天モバイルでは、「Rakuten Turbo(ラクテンターボ)」というブランドでホームルーターを提供しています。通信プランの基本料金は月額4840円です。
楽天モバイルでは製品の分割支払い料金を相殺する仕組みがないので、ここに製品代金が上乗せされていきます。合計料金が最も高額になるタイミングは4年目で、月5706円です。
データ容量は無制限となります(公平なサービス 提供のため速度制限する場合があるとのことです)。
対応のホームルーターは、「Rakuten Turbo 5G」。製造元は台湾のSercomm Corporation社で、5G利用時の最大通信速度は2.14Gbpsです。Wi-Fiの最大接続台数は128台で、有線LANポートも2基備えます。
最後に
この記事では割愛しましたが、契約から1~2年間などの一定期間は、基本料金が割り引かれることが多くあります。その場合、契約解除料のかからない更新期間が設けられていることもあるので、契約時に確認しておくと安心です。
また、ホームルーターの契約が、スマートフォンなどの回線契約と紐づくことで、割引が適用されるケースもよくあります。そのため、基本的には、自身や家族のスマートフォンの契約状況と関連させて検討していくのが良いでしょう。
一方で、導入のしやすさや機器のスペックなどを優先して、スマートフォンの契約先とは分けることももちろん可能です。またキャリアによって、5Gエリアの展開には違いがあり、実際の通信品質も異なります。それぞれの公式サイトはもちろん、口コミなども比較検討してみることをおすすめします。
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