時にはノートパソコン(PC)、時にはタブレットとして使える「2in1(ツーインワン)」と呼ばれるジャンルのパソコンがあります。その形は、本体とキーボードが分離できる「セパレート型」と、一般的なノートパソコンの見た目に近い「コンバーチブル型」の2種類に大別されます。
この記事では、セパレート型の2in1パソコンを選ぶ上で重要なポイントと、それを踏まえたおすすめ製品を紹介します。
セパレート型の2in1パソコンは、本体とキーボードが切り離せることが最大の特徴です。タブレットとして使いたいときにキーボードの分だけ重量を減らせることがメリットです。
それゆえに、キーボードが“別売”となるセパレート型2in1パソコンもあります。「これでは2in1ではなくてタブレットではないか?」というツッコミもありそうですが、以下のような理由からあえて別売とすることがあるようです。
購入前にキーボードは付属するかどうか、付属する場合はどのようなキーボードが付いてくるのか確認しましょう。
なお、キーボードが別売の場合でも、キャンペーンでキーボードがセットで付いてきたり、本体との同時購入時に限り大幅に割り引いて販売されたりすることもあります。キーボードがどうしても必要だという人は、キャンペーンの情報を聞き逃さないようにしましょう。
セパレート型の2in1パソコンを快適に使う上で欠かせないチェックポイントはいろいろありますが、特に使い勝手を左右するのが「CPU」「メモリ」「ストレージ」の3つのスペックです。
CPUはパソコンの頭脳に当たるもの。セパレート型の2in1パソコンには、主にIntel(インテル)製のものが使われています。Intel製のCPUは、「Core(コア)」を頂点に「Pentium(ペンティアム)」「Celeron(セレロン)」と性能レンジ別にブランドが定義されています。Coreプロセッサはさらに数字でクラス分けされていて、基本的には数字が大きい方が高性能となります。
ただ、セパレート型2in1パソコンではボディーの制約や省電力性向上の観点から通常のノートパソコンよりも性能を抑えたCPUを用いることがあります。特に動画や写真を編集する場合はよく吟味してください。
メモリ(メインメモリ)はPCの短期記憶に当たるもの。基本的には容量が多ければ多いほど、いろいろな作業で待たされず快適です。Officeを快適に使いたいなら、少なくとも4GB以上(できれば8GB以上)を最初から搭載する機種をおすすめします。
ストレージは、PCの長期記憶に当たるもの。容量が大きければ大きいほどたくさんのデータを保存しておけます。
セパレート型2in1パソコンでは「SSD(ソリッドステートドライブ)」か「eMMC(内蔵型マルチメディアカード)」のいずれかが使われています。SSDとeMMCを比べると、SSDの方が圧倒的にデータの読み書きが高速です。スピード重視の場合はSSD、価格重視の場合はeMMCを搭載するモデルを選びましょう。
2in1パソコンはタブレットのように使えることが特徴。当然、指によるタッチ操作には対応しています。それに加えて、ペンによる入力に対応していると、さらに使い道が広がります。例えば、写真や画像に直接文字を書き込んでメールなどで共有したり、文字では伝えづらいことを絵に描いて伝えたりできます。
最近では、ペン入力に対応するセパレート型2in1パソコンも増えています。ただ、単に「対応している」のをチェックするだけではなく、以下の点も合わせて確認することをおすすめします。
可能な限り、店頭などに展示されている実機で書き(描き)試してみてください。
繰り返しですが、セパレート型2in1パソコンは本体とキーボードを分離できます。本体だけで遣うことを前提にしているため、本体側に自立するためのスタンドを備えているモデルもあります。
しかし、一部に自立スタンドを備えないものも存在します。その多くはキーボード側に自立機構を設けているため、キーボードをつなげば自立するのですが、タブレットとして使っている時に自立させたい場合は。別途スタンドを用意しなくてはなりません。
本体だけを立てて使いたい場合は、自立スタンドがあるかどうかチェックしてください。
以上4つのポイントを踏まえた上で、おすすめのセパレート型2in1パソコンを3つご紹介します。
日本マイクロソフトの「Surface Pro 7」は、セパレート型2in1パソコンの定番の1つであるSurface Proの第7世代です。最新の第10世代Coreプロセッサを搭載していて、従来モデルよりも3Dグラフィックス性能がアップしています。
Surface Proシリーズとしては初めてUSB Type-C端子を備えていることもポイント。この端子はUSB Power Delivery(USB PD)対応の充電アダプター(別売)に対応しているので、手持ちのスマートフォンと充電アダプターを統一することもできます(全てのアダプターで充電できるとは限りません)。
タイプカバー(画面カバー兼キーボード)とペン(4096段階筆圧)は別売です。タイプカバーは標準タイプに加えて、指紋認証機能付きタイプのものや、アルカンターラ素材を用いた高級版「Signatureタイプカバー」も用意しています(第3世代以降のSurface Proと共通です)。
ボディーカラーはPlatinum(プラチナ)とMatte Black(マットブラック)の2つを用意。ハイスペックなものが欲しいという人はもちろん、本体とタイプカバーの組み合わせを楽しみたい人にもおすすめです。個人向けモデルは「Office Home and Business 2019」を付属しています。
日本HPの「HP Chromebook x2 12」は、日本HPのセパレート型2in1パソコンです。OSはWindows……ではなく、Googleが開発した「Chrome OS(クロームOS)」を採用しています。
その名の通り、Chrome OSはWebブラウザ「Google Chrome」を中心に据えたOSで、GoogleのクラウドサービスやAndroidスマートフォンやAndroidタブレット用のアプリも使える(一部を除く)ので、スマホに慣れている人にも使いやすいという特徴を持ちます。
本体にはキーボードとペン(2048段階筆圧検知)も付属。すぐに使い始められることも魅力です。プロセッサはモデルによって「Pentium 4415Y」「Core m3-7Y30」「Core i5-7Y54」のいずれかを搭載。世代が若干古めではありますが、その分コストパフォーマンスに優れています。
普段Googleのクラウドサービスを使っている人や、Webで利用できるサービスを中心に使っている人におすすめです。
マウスコンピューターの「MousePro P120B」は、主に法人向けに販売されているセパレート型2in1パソコンです。OSは、仕事で使う上で便利な機能を備えるWindows 10 Proをプリインストールしています。
CPUはCeleron N4100、メインメモリは4GB、ストレージは64GBのeMMCと、スペック的には若干低めではありますが、厚さは9mmとWindowsを搭載するタブレットとしては非常に薄い部類に入ります。
キーボードはカバーを兼ねたものが付属。本体を支える機構も備えています。このキーボードは若干重めではありますが、その分剛性をしっかりと確保されており、キータイプする機会の多い人にはおすすめです。ペン操作に対応していますが、ペンは別売です(Microsoft Pen Protocol対応の市販品を利用できます)。
メインのパソコンが別にあって、かつ安いWindowsタブレットを探している人にはピッタリです。
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