ノートパソコン(PC)が普及し、以前と比べるとシェアを減らした感もあるデスクトップパソコンですが、ノートパソコンよりも各種端子の数が多く、さまざまな周辺機器を取り付けられることが魅力です。
中でも、モニター(ディスプレイ)が一体になったデスクトップパソコンは、机の上に設置するのも簡単です。この記事では、Appleが発売するモニター一体型Mac「iMac(アイマック)」をどのように選べば良いのかポイントを解説しつつ、それを踏まえたおすすめモデルを紹介できます。
まず、画面サイズを考えてみましょう。最新のiMacシリーズでは、21.5型ディスプレイを備える「21.5インチ」「21.5インチ(Retina 4K)」モデルと、27型ディスプレイを備える「27インチ(Retina 5K)」モデルの計3モデルがあります。
21.5インチモデルはよりコンパクト。設置面積を取らない……のですが、普通の21.5インチモデルは1920×1280ピクセル(フルHDにプラスアルファ)、Retina 4Kモデルが3840×2304ピクセル(4Kにプラスアルファ)と、解像度が2種類あることに注意が必要です。
解像度は画面の縦横にどれだけの画素(ピクセル)が並んでいるかを示す値。数字が高ければ高いほど表示が細かくなります。その分、価格も若干高くなります。
一方、27インチモデルのディスプレイの解像度は5120×2880ピクセル(5Kにプラスアルファ)。ある程度大きい表示ときめ細かさを両立するには良い選択肢ですが、多少場所を取ります。
参考まで、以下に各サイズのモデルの寸法を記しておきます。買う前に、自分の机に置けるかどうか確認することをおすすめします。
パソコンの処理性能は「CPU」と「GPU」が大きく左右します。これはiMacシリーズも同様です。
CPUは「頭脳」に相当する場所。あらゆる処理のだいたいの速度を決めます。
iMacシリーズでは、CPUとしてIntelの「Coreプロセッサ」を採用しています。Coreプロセッサには、性能の良い順に「Core i9」「Core i7」「Core i5」「Core i3」という序列があります。
同じ世代で同じ序列なら、周波数が高ければ高いほど、コア(処理するチップ)とスレッド(チップで処理できる命令の数)が多ければ多いほど性能が良くなります。
GPUは「絵を描く腕」に相当する場所。グラフィックス(描画)の性能を左右する他、最近ではCPUと並んで動画・写真の編集速度を左右する要素です。
21.5インチのRetina 4Kモデルと27インチモデルでは、CPU内にあるGPUとは別に、より性能の高い外部GPUを搭載しています。普通の21.5インチモデルはCPU内蔵GPUのみですが、一般的なCoreプロセッサよりも性能が強化されています。
当然ではありますが、CPUやGPUは高性能なほど消費電力が大きくなる傾向にあります。発熱も多くなる傾向にあります。
iMacシリーズを購入する際には、「メインメモリ」と「SSD」の容量も要チェックです。というのも、iMacシリーズは、購入後のメモリとSSDの交換・増設に対応していないからです。
メインメモリ(RAM)は、アプリやデータを一時的に展開する場所で「短期記憶」に相当します。多ければ多いほど、1度に開けるアプリの数やデータ量、快適さが増します。やりたいことによって必要な容量は変わりますが、動画や写真を編集する機会が多い人は少なくとも16GB以上(できれば32GB以上)、それ以外の用途で使う場合も8GB以上はほしい所です。
ストレージはアプリやデータを長期的に保存する場所で「長期記憶」に相当します。特に、写真や動画をたくさん扱う場合は、できるだけ容量を大きくしておくべきです。
iMacシリーズの場合、「HDD(ハードディスクドライブ)」、「SSD(ソリッドステートドライブ)」か、SSDとHDDをセットにした「Fusion Drive(フュージョンドライブ)」を選択できます。
HDDには読み書きは遅いものの、たくさんのデータを保存できるというメリットがあります。一方、SSDは読み書きは速い反面、容量の割に値が張るというデメリットがあります。Fusion Driveは両方のメリットを最大限引き出したものといえます。
iMacシリーズの場合、27インチモデルはメインメモリを後から交換・増設できます。ストレージも同様ですが難易度が高く、Appleの保証も無効になってしまうためおすすめできません。ストレージはある程度決め打ちで購入することをおすすめします。
一方、21.5インチモデルはメインメモリを後から交換・増設できるものの、Appleの正規サービスプロバイダへの相談が推奨されています(≒自力での交換は困難)。ストレージについては27インチモデルと同様です。メモリもストレージも決め打ちで買うことをおすすめします。
iMacシリーズの店頭販売モデルは構成が固定されていますが、Apple Storeや一部の量販店ではメモリやストレージをカスタマイズして購入できます(その分納期がかかります)。
以上3つのポイントを踏まえた上で、おすすめのiMacを3つご紹介します。
無印のiMac 21.5インチモデルは、iMacシリーズでは一番手頃。税込み直販価格で13万2880円から購入できます。
CPUはCore i5プロセッサ(2.3G〜3.6GHz)で、メインメモリは8GB(カスタマイズで16GB搭載可)、ストレージは1TBのHDD(カスタマイズで256GB SSDまたは1TB Fusion Driveを搭載可)を搭載しています。
「手頃なiMacがほしい!」という人におすすめです。
先述の無印モデルと同じサイズ感に、4Kディスプレイを搭載しています。現行モデルは2019年版です。
CPUは第8世代Coreプロセッサで、店頭販売モデルはCore i3(3.6GHz、4コア4スレッド)またはCore i5(3G〜4.6GHz、6コア6スレッド)を搭載し、カスタマイズモデルはCore i7(3.2G〜4.6GHz、6コア12スレッド)を選択できます。
メインメモリは8GB(カスタマイズで16GBまたは32GB搭載可)、ストレージは1TBのHDD(カスタマイズで256GB/512GB/1TBのSSDまたは1TB Fusion Driveを搭載可)で、外部GPUとしてRadeon Pro 555X(GPU用メモリ2GB)を搭載しています。
無印モデルよりもパワフルな処理が求められる用途に最適です。
iMacシリーズで最も大きく、最も解像度の高いディスプレイを備えています。現行モデルは2019年版です。
CPUはモデルによって第8世代または第9世代のCoreプロセッサを採用しています。店頭販売モデルでは、第8世代Core i5プロセッサを2種類(3G〜4.1GHz、6コア6スレッドまたは3.1G〜4.3GHz、6コア6スレッド)と、第9世代Core i5プロセッサを1種類(3.7G〜4.6GHz、6コア6スレッド)を取りそろえ、カスタマイズモデルでは第9世代Core i9プロセッサ(3.6G〜5GHz、8コア16スレッド)も選択できます。
メインメモリは8GB(※1)、ストレージは1TBまたは2TBのFusion Drive(※2)で、外部GPUとしてRadeonシリーズのGPUを搭載しています。
とにかく大画面かつハイスペックが求められる用途におすすめです。
(※1)カスタマイズで16GB、32GBまたは64GB(基本周波数が3GHzの第8世代Core i5モデルを除く)を搭載可
(※2)カスタマイズで2TBまたは3TB(基本周波数が3GHzの第8世代Core i5モデルを除く)のFusion Driveや256GB/512GB/1TB/2TB(一部構成のみ)のSSDを搭載可
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