ルームエアコンが取り付けられない部屋でも、工事不要で設置して使用でき、すぐに涼しい風を出してくれる家電が「スポットクーラー」(スポットエアコン)です。比較的コンパクトなモデルが多く、家の中のさまざまな場所を冷風で快適にしてくれます。
便利なスポットクーラーですが、効率良く使うには注意しておきたいポイントも。ここでは、スポットクーラーの選び方とおすすめモデルを紹介します。暑い季節を乗り切る参考にしてください!
Fav-Log編集部員としてアウトドアや家電、ガジェット、車などを担当。ITmediaで長くITトレンドやネットの話題、業界事情、ガジェットなどを取材する一方、学生時代の野宿旅行から各地でキャンプを楽しんできました。キャンプのポリシーは「シンプルに」。最近は三浦半島に通って海釣り(主にライトゲーム)を楽しんでます。ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定AFP)。思い出のキャンプ地は大雪山・旭岳のテント場。最愛のガジェットはJornada 690。好きな魚はカサゴとオオモンハタ。
スポットクーラーは、扇風機やサーキュレーターなどと異なり、一般のエアコンと同じ「熱交換」方式によって冷風を送り出す装置です。
ルームエアコンは室内機と室外機に分かれていますが、スポットクーラーはこれが一体化したものというイメージです。室外機が不要で、固定して設置する必要もないため、工事不要でさまざまな場所に置けるのが特徴です。ハンドルやキャスターが付いたものなら、宅内の移動も簡単です。
構造はコンプレッサー方式の除湿機と同じ。このため、ほとんどのスポットクーラーは除湿機能も備えており、じめじめした季節や、洗濯物の室内干しにも活躍してくれます。
ちなみに、冷風を出す家電として「冷風扇」(れいふうせん)がありますが、これは水の気化熱を利用して冷たい風を送り出す家電です。ここで紹介するスポットクーラーとは原理が異なる別の家電なので、製品選びの際はよく確認してください。
どこにでも置いて使えるのがスポットクーラーのメリットですが、注意しておきたいのは「冷風と同時に熱も排出する(普通は背面から)」ということ。「エアコンの室内機と室外機が一体化したもの」というイメージ通りで、これは原理上避けることができません。
このため、閉め切った室内で排熱を室外に逃がさずに冷風運転を続けると、むしろ室温が上昇することになってしまうので注意が必要です。スポットクーラーのメーカーもその旨を説明しています。
多くのモデルには、背面に取り付けるエアダクト(ホース)が付属しています。ダクトを室外に通しておくことで熱を逃がせる仕組みです。
ダクトを窓枠に取り付けられるパネルが付属するモデルもあり、これを利用すれば屋外に排熱でき、室温の上昇を効果的に抑えられます。利用する部屋や設置環境に応じてチェックしておきましょう。
冷房能力は「kW」(キロワット)で示されています。家庭用では2kW〜2.2kW程度がスタンダードで、6畳前後の部屋をカバーできます。冷房能力は同じ機種でも電気(交流)の周波数によって違いがあり、50Hz地域より60Hz地域のほうが高くなります(消費電力も上がります)。
冷房能力や機種によりますが、スタンダードな2kW程度の機種で7〜9A(アンペア)程度が必要になります。使用してもブレーカーが落ちないかどうか確認しておきましょう。
スポットクーラーでは内部で水(ドレン水)が発生します。コンプレッサー方式の除湿機と同じ仕組みですが、スポットクーラーでは水を内部で蒸発させ、排水処理を不要にしている「ノンドレン」タイプの機種があり、排水の手間と労力が省けるのでおすすめです。
ただし、ノンドレンタイプでも湿気の多い部屋で利用する場合、処理が間に合わずにタンクに水がたまることがあります。この場合は手動で処分する必要があります。
除湿をメインにうたったモデルでは、取り外し可能な大容量タンクを備えることで、排水作業の頻度を減らしているものもあります。
また、スポットクーラーは動作音が比較的大きくなります。ルームエアコンでは室外機に搭載しているコンプレッサーを内蔵しているためです。就寝時など静かにしたい時に使いたいのであれば、運転時の音量も確認しておきましょう。
アイリスオーヤマのスポットクーラーです。標準的な冷房能力を持ち、4.5畳〜7畳の部屋に対応します。
冷風、除湿、送風の3モードを備え、風量切り替えやタイマー、おやすみ運転など便利な機能を備えています。
ドレン水を内部で蒸発させるノンドレン式。排気ダクトや窓枠用のパネルなどが付属します。
本体サイズは約31.5(幅)×39.5(奥行き)×77(高さ)cm、重さ約24kg。移動に便利なキャスターが付いています。
山善の「コンパクトクーラー YEC-M03」は、インテリアになじみやすいデザインが特徴のスポットクーラーです。
サイズは270(幅)×266(奥行き)×432(高さ)mm、重さは約10kgと小型軽量。ハンドルも付いており、さまざまな場所に持ち運びやすくなっています。
室温から7度低い冷風を出す能力があり、左右に自動で風を送るオートルーバーも搭載しているので、リビングなどで家族が使うのにも向いています。付属のダクトを使って室外への排熱も可能です。
除湿能力は1日4.5〜5.0L。容量1.7Lの貯水タンクを搭載し、洗濯物干しや冬の結露対策など、年間を通して活躍します。
家電メーカー、ハイセンスのスポットクーラーです。30(幅)×33(奥行き)×67(高さ)cmという、スタンダードな冷風能力のモデルとしてはコンパクトな本体(キャスター付き)で、置き場を選ばないシンプルなデザインも特徴です。
タイマーやおやすみモード、パワフルモード、温度感知システムの搭載など機能は豊富。付属のリモコンは夜間でも見やすいバックライト付きです。
水捨てが基本的に不要なノンドレン式。窓パネルと排熱ダクトが付属するのですぐに使えます。ダクトには防虫網が付いており、虫の侵入を防いでくれます。
冷暖房器具メーカー、ナカトミのスポットクーラーです。標準的な冷房能力を持ち、Amazonで評価の高いモデルです。
ノンドレン式で、冷風運転時はドレン水の排出が不要(除湿時はホースで排出が必要)。排熱ダクトと窓枠パネルが付属しており、背面からの排熱を室外・屋外に逃がせるようになっています。操作はリモコンで行えます。
移動に便利なキャスターが付いています。本体サイズは37(幅)×34.5(奥行き)×70.5(高さ)cm、重さは約22kgです。
ドウシシャから2023年に登場した新モデルです。左右に自動スイングするルーバーに加え、本体底部にターンテーブルが備えており、設置後も本体を回転させて風向きを変えやすくなっているのが特徴です。
冷風は強・弱の2段階切り替え。本体の高さを58cmとすることで、椅子に座っていても冷風が届きやすいようにしています。
1日当たり7〜8.5Lの除湿能力があり、3Lの貯水タンク(着脱式)を搭載。付属の排熱用ダクトは軽くて薄いポリエステル製なので、扉を開けすぎずに室外に熱を逃がせるのがメリットです。
7〜10畳に対応する標準的なスポットクーラーとして、実売価格が約3万円というコスパに優れたモデルです。
冷風、除湿、送風、スリープやタイマーなど機能を一通り備え、水捨てが基本的に不要なノンドレン式です。排熱ダクトと窓取り付け用パネルが付属しますが、窓パネルが4枚セットになっており、窓枠高が226cmまで対応できるとしてます。
本体サイズは32(幅)×31(奥行き)×69.5(高さ)cm、重量約20kgです。
デザイン性の高い家電製品を展開しているスリーアップ(THREEUP)の製品。冷房機能に加えて暖房機能も付いており、通年活躍してくれるスポットクーラーです。
冷風モードや除湿モード、温風モードなどを備え、夏はクーラーとして、冬はヒーターとして使えます。
本体サイズは32.5(幅)×29(奥行き)×70(高さ)cm、重量は21kg。水捨てが基本不要のノンドレン式です。排熱ダクトや窓用パネルなどが付属します。
アイリスオーヤマから2023年に登場した、コンパクトタイプのスポットクーラーです。27(幅)×24.7(奥行き)×49.8(高さ)cmと、1人用やキッチン、脱衣所などで使いやすいサイズです。
貯水タンクを本体前面に、排気口を本体上部に配置することで、狭いスペースでも壁際に近づけて置けるように工夫しています。キャスターとハンドルが付いており、重量は12.5kgと比較的軽いため、宅内を持ち運んで使いやすくなっています。
コンパクトですが、室温から8度低い冷風を出す能力があります。除湿機としても使用可能です(除湿能力は1日当たり2〜2.5L)。
生活になじむ親しみやすいデザインの家電製品を展開するシロカ(siroca)のコンパクトな製品です。
本体サイズは22(幅)×22(奥行き)×41.4(高さ)cm、重さは6.5kgと軽量コンパクトなのが特徴。ハンドルが付いており、持ち運びやすくなっています。
室温より7度低い冷風を出す能力があり、脱衣所などに持ち運んで冷風を得られます。
1日4.4Lの除湿機能も備え、水をためる容量1Lの貯水タンクも搭載。持ち運びやすさを生かし、洗濯物干しや冬の結露対策など通年で使えます。
ナカトミ「ミニエアコン MAC-10」は、サイズが29.5(幅)×29.5(奥行き)×44(高さ)cm、重さが約13kgというコンパクトなモデル。卓上での利用もできるとうたっています。
付属ダクトを冷風口に取り付ければ送風の向きを自由に変えられます。冷房能力は高くはありませんが、置き場所を選ばないため、キッチンやウォークインクローゼット、風呂上がりなど、さまざまな場所で利用できます。
ショッピングサイトではどんなスポットクーラーが人気なのでしょうか。以下のリンクからチェックしてみてください。
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