「ニコン(Nikon) Z」シリーズ解説 最新モデル「Z 5」が登場、ニコンのミラーレス一眼カメラ
カメラ各社が展開するミラーレスカメラ。「ニコン(Nikon)Z」シリーズは、一眼レフで実績のあるニコンが新規開発したミラーレス一眼カメラです。高性能なレンズ設計を可能にしたレンズマウントなどがその特徴。フルサイズのベーシックモデルとなる「Z 5」が発表された「ニコン Z」シリーズの特徴とラインアップを紹介します。
高性能なデジカメ(デジタルカメラ)の中でも人気になっているのが「ミラーレス一眼カメラ」。そのうち、大手カメラメーカー「ニコン」(Nikon)が展開するのが「ニコン(Nikon) Z」シリーズです。
2020年8月下旬には、フルサイズ撮像センサーを搭載するベーシックモデル「ニコン Z 5」が発売されます。ここでは「ニコン Z」シリーズの特徴やラインアップを解説します。
伝統のニコンが完全新規開発したミラーレス「ニコン(Nikon) Z」
ニコン Zシリーズは、ニコンが新規に開発したレンズ交換式ミラーレス一眼カメラシステムです。撮像センサーは「FXフォーマット」と呼ぶ35mmフルサイズ(約36×24mm)と、「DXフォーマット」と呼ぶAPS-Cサイズ(約24×16mm)の2種類を採用しています。
一眼レフカメラで高い実績を持つニコンですが、ミラーレスカメラとしては2011年から、小サイズな「CXフォーマット」センサーと専用レンズマウント「Nikon 1マウント」を採用する「Nikon 1」(ニコン ワン)シリーズを展開していました(既に生産を終了)。
その後、ソニーのミラーレス一眼カメラ「α」シリーズの台頭が著しい中、ニコンとしてもフルサイズに対応できる全く新しいレンズ交換式ミラーレス一眼カメラシステムの開発を決断。2018年9月、1号機となる「ニコン Z 7」を発売しました。ミラーレスの小型軽量というメリットを生かしながら、プロやハイアマチュアも満足させる高い性能を持つ「ニコン Z」シリーズの誕生です。
レンズ設計の自由度を高める新マウント「Zマウント」
システムの核となるのが交換レンズマウント「Zマウント」です。内径は55mm。銀塩フィルム時代からの伝統の一眼レフカメラ用マウント「Fマウント」(47mm)から8mm拡大し、ソニーのαシリーズ用「Eマウント」(46mm)、大口径で知られるキヤノンの一眼レフ用「EFマウント」・ミラーレス用「RFマウント」(各54mm)を上回ります。
レンズマウントからセンサー面までの距離であるフランジバックは16mm。キヤノンRFマウントの20mm、ソニーEマウントの18mmより短くなっています。マウントの大口径化とショートフランジバックの組み合わせにより、レンズ設計の自由度を高め、これまでなかったようなレンズも実現できるとしています。
レンズマウントは12ピンの電子接点を備え、高速で大容量の通信が可能に。高速連続撮影時や動画撮影時でもフレームごとに高精度な補正が可能になるなど、画質向上に貢献します。
フルサイズモデルに加え、APS-Cサイズセンサーを採用するエントリーモデルを用意しており、高性能システムを気軽に利用できるようになっています。
高性能なZマウントレンズ群 Fレンズを装着できる純正アダプターも用意
専用のZマウントレンズは、開放F値が2.8のズームレンズなど、高性能なものを中心にラインアップが進んでいます。
中でも目を引くのは「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」という、開放F値が「0.95」という大口径レンズ(MFのみ)。Zマウントの光学設計自由度の高さを生かした、ニコン史上最も明るいレンズです。50mmレンズながら望遠レンズ並みの大きなボケを得ることができ、浅い被写界深度による新しい表現が可能になっています。希望小売価格は126万5000円(税込)という価格も破格のレンズです。
このほか明るい単焦点レンズなどもラインアップされていますが、ズームを含め気軽に使えるレンズはこれからという印象です。
その分、豊富に出回っている一眼レフ用のFマウントレンズを装着できる純正のマウントアダプター「FTZ」も用意されています。絞りリングのない「Gタイプ」「Eタイプ」のレンズを装着すると、マウントアダプターが信号を高速変換し、Fマウントで利用する場合と同等のオートフォーカス(AF)性能を発揮するとしています。
絞りリングのある「Dタイプ」レンズも、マニュアルフォーカス(MF)ながら装着が可能(フォーカスエイドを利用できる)。レンズメーカー製を含め、数多くのレンズが出回っているFマウントレンズの資産を最新のZマウントでも活用できます。
ニコン(Nikon) Z:ラインアップを解説
「ニコン Z 5」 最新のフルサイズベーシックモデル
ニコンイメージングが2020年7月21日に発表した「ニコン Z 5」は、フルサイズ(FXフォーマット)の有効2432万画素CMOSセンサー(裏面照射型ではない)を搭載。実売予想価格(税込)はボディのみ18万2600円と、ニコン Zシリーズのフルサイズ機としては最も安いベーシックモデルです。発売は2020年8月下旬を予定しています。
下位モデルながら、5軸のボディー内手ブレ補正機能や常用ISO 51200の高感度、4K撮影、防塵防滴性能など、上位モデルのZ 7、Z 6から性能・機能を継承。SDメモリーカードダブルスロットはZシリーズ初となります。
同時に登場するZマウントの標準ズーム「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」(希望小売価格:税込5万8300円)は約195gと軽く、Z 5との組み合わせで合計約870gの軽快なフルサイズ撮影環境が手に入ります。
「ニコン Z 7」 プロ・ハイアマ向けの現行最上位機
「ニコン Z 7」はニコン Zシリーズの最上位機。フルサイズの有効4575万画素CMOSセンサーを搭載し、一眼レフカメラでは「D850」に当たるプロ・ハイアマ向けモデルです。
裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 6」により、常用感度ISO 25600の高感度や、フルフレーム4K UHD(3840×2160ピクセル)/30p動画の撮影が可能に。撮像素子に像面位相差AF画素を搭載し、像面位相差AFとコントラストAFを自動的に切り替えるハイブリッドAFにより高精度なピント合わせを行います。約5.0段の補正効果を発揮するボディ内手ブレ補正機構も備えています。
2020年7月現在、ボディのみの実勢価格は33万円前後からとなっています。
「ニコン Z 6」 フルサイズのオールラウンダー
「ニコン Z 6」はフルサイズの有効2450万画素CMOSセンサーを搭載するスタンダードなモデル。一眼レフの「D780」に相当する位置付けです。
裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 6」による常用ISO 51200の高感度、高精度なハイブリッドAF、約5.0段のボディ内手ブレ補正機構など、Z 7と同様の性能・機能を装備。画素数が少ない分、高速連続撮影は12コマ/秒と、Z 7の約9コマ/秒を上回ります。
2020年7月現在、ボディのみの実勢価格は22万円前後からとなっています。
「ニコン Z 50」 APS-Cサイズセンサーを採用するエントリーモデル
「ニコン Z 50」は、フルサイズセンサーではなく、APS-Cサイズ(DXフォーマット)の撮像センサー(有効2088万画素CMOS)を採用。画素数などはフルサイズ機に劣りますが、その分「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」とのレンズキットが実勢価格12万円前後から(2020年7月現在)と、安価にZシステムを活用できます。
ボディ重量(バッテリー、メモリーカード含む)は約450グラムと、Z 7、Z 6、Z 5の約675グラムと比べて軽く、取り回しやすいのも特徴です。4K動画撮影にも対応。
「マウントアダプター FTZ」
一眼レフカメラ用のFマウントレンズをZシリーズに装着できるようにする純正のマウントアダプターです。「AI NIKKOR」以降の約360種のレンズでAE(自動露出)撮影が可能で、モーター内蔵の「AF-P」「AF-S」「AF-I」レンズ計90種以上でAF撮影も可能になっています。
鏡筒と一体化した三脚座が付くデザイン(マグネシウム合金製)。Z 7、Z 6、Z 5と同等の防塵防滴性能も確保しています。
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