「auメール持ち運び」がスタート 格安SIM、UQ mobileやpovoに乗り換えてもメールアドレスそのまま 注意点もあり【2021年12月版】
au(KDDIと沖縄セルラー電話)が、回線の解約後も「@ezweb.ne.jp」「@au.com」のメールアドレスを継続利用できるサービスを開始しました。これにより、同社の「UQ mobile」「povo」や他社の携帯電話に乗り換えても同じメールアドレスを使い続けられるようになりましたが、注意点もあります。サービスの特徴と共にチェックしていきましょう。
大手携帯電話事業者が、携帯電話回線の解約後も「キャリアメール」を継続して利用できる“持ち運び”サービスを発表しました。これを使うと、携帯電話事業者(キャリア)を乗り換えても同じメールアドレスを使い続けられます。ドコモなら「ahamo(アハモ)」、auなら「UQ mobile」や「povo(ポヴォ)」、ソフトバンク/Y!mobileなら「LINEMO」へのブランド変更時もメールアドレスを継続利用できます。
この記事では、auが提供する「auメール持ち運び」に焦点を絞り、サービスの概要と気を付けるべきポイントを解説します。
おことわり
この記事における「キャリアメール」は、キャリアが提供する電子メール(Eメール)サービスのことを指します。
「auメール持ち運び」ってどんなサービス?
auメール持ち運びはauの携帯電話サービスを解約した後も「auメール」で使われている「@ezweb.ne.jp」「@au.com」アドレスのメールを使い続けられるサービスで、月額330円で提供されます。
従来、キャリアを乗り換えることは、長年使ってきたキャリアメールのアドレスを失うことを意味してきました。総務省などの調査によると、このことによってキャリアの乗り換えをためらう人が少なからずいるようです。新たに登場した持ち運びサービスを利用すれば、キャリアを乗り換えても引き続きメールアドレスを維持できるようになるため、MNPが活性化するのではないかと期待されています。
“持ち運び”はどうすればできる?
auメール持ち運びは、12月2日以降にauの携帯電話サービス(回線)を解約(MNPによる自動解約を含む)、またはUQ mobile/povoにブランド変更した個人名義の契約を対象に提供されます。申し込めるタイミングは、auの携帯電話サービスの解約、またはブランド変更が成立してから31日以内で、事前に回線契約とひも付いた「au ID」を用意しておく必要があります。
申し込みは(元)契約者向けのWebサイト「My au」から行えます。店頭や電話では受け付けていません。申し込み時に解約前の携帯電話番号とひも付いたau IDが必要なので、確認
解約後のau IDに関する注意点
電話番号をau IDとして利用していた場合、解約後のau IDは「電話番号_解約日(西暦を含む8桁)」に変更されます。電話番号が「090XXXXYYYY」だったau携帯電話を2021年12月1日に解約した場合の例は以下の通りです。
- 解約前ID:090XXXXYYYY
- 解約後ID:090XXXXYYYY_20211201
au IDを電話番号以外のものに変更していた場合は解約後もそのままとなります。変更したau IDでログインしてください。
au IDの「統合」について
au IDは、別の au IDと「統合」することができます。auメール持ち運びサービスとau IDの統合については、以下の注意点があります。
サービス契約前にau IDを統合した場合
サービスを契約する前にau IDを統合した場合は、統合先のau IDを使ってサービスを申し込めます。ただし、統合先のau IDで申し込めるサービスの上限契約数は「10件」となります。それを超える申し込みはできません。
サービス契約後にau IDの統合を検討している場合
auメール持ち運びの契約は、統合先のau IDに引き継ぐことができません。サービスの利用を継続したい場合は、元のau IDで利用してください。
サービスを利用するには、回線契約とひも付いていたau IDが必要です。IDが分からない場合、auのAndroidスマホなら「My auアプリ」から確認できます。他のスマホやタブレット、PCでもWebサイトから確認可能です
持ち運んだメールアドレスはどうやって使う?
auメール持ち運びで維持したメールアドレスはどのように使えばいいのでしょうか。使う端末によって状況が異なりますので、分けて紹介します。
Androidスマートフォン/タブレットで使う場合
2017年秋冬モデル以降のauスマートフォン/タブレットと、それ以前のAndroid 9以降にバージョンアップできる一部のauスマートフォン(※1)では「auメールアプリ」をそのまま使えます。ただし、アプリの「バージョン07.00.4」以降にアップデートしてください。
(※1)Galaxy S8+ SCV35、Galaxy S8 SCV36、AQUOS R SHV39、HTC U11 HTV33
他社が発売したAndroidスマホ/タブレット(SIMロックフリーモデルを含む)でも、Android 9以降を搭載する機種ならauメールアプリを利用可能です。
- →auメールアプリ(Google Playまたはau Marketに遷移します)
非対応機種(現時点でauメールアプリに対応していない機種を含む)で利用する場合、あるいは2つ以上のメールアドレスを利用する場合はIMAPプロトコルに対応する電子メールアプリで送受信を行ってください。Androidスマホ/タブレットにプリインストールされている「Gmailアプリ」もIMAPプロトコルに対応しています。
iPhone/iPadで使う場合
iPhoneやiPadでは、iOS/iPadOS標準の「メールアプリ」で送受信できます。サービスの申し込み時に設定に必要な情報(構成プロファイル)をダウンロードすれば、セットアップも簡単になります。
2つ以上のメールアドレスを利用する場合、2つ目以降のアドレスは手動設定してください。他のIMAPプロトコル対応の電子メールアプリも使えますが、プロファイルによる自動設定には対応しません。
auメール持ち運びの注意点は?
auメール持ち運びは、メールアドレスを維持したいがゆえにUQ mobile、povoや他キャリアに移行できなかったユーザーには“福音”といえます。一方で、無視できない注意点も複数あります。主な注意点を以下に列挙します。
機種を問わない注意点
- auブランドの個人名義契約のみが対象となるため、以下のアドレスは持ち運べません
- UQ mobileブランドのメール(@uqmobile.jp)
- ビジネスメール(@xxx.ezweb.ne.jp、@xxx.au.com)
- 「au Webメール」(Webブラウザを使ったメールの送受信)は利用できません
- 一時休止状態から解約した場合は申し込めません。一時休止している回線のメールアドレスを持ち運びたい場合は、回線を一度再開した後に解約してください
- メールアドレスは変更できません。メールアドレスを変更したい場合は、回線の解約前に変えてください
- メールの自動転送は利用できますが、以下の点に注意してください
- 転送先の変更は当面の間行えません。転送先を変更したい場合は、解約前に変更しておいてください
- 転送先の変更機能は、2022年春をめどに追加される予定です
- 迷惑メールフィルターは利用できますが、以下の点に注意してください
- アドレス帳受信設定(アドレス帳に基づくフィルタリング)には対応しません
- 個別設定は初期化されます。サービスの契約後、再度設定が必要です
- 回線解約前にサーバに蓄積されたメールは、サービスの契約後に閲覧できます
- 回線解約からサービス契約までの間はメールを送受信できません
- この間に送信されたメールはエラーによって届きません
- メールは全てサーバに保存されます
- 通常の保存容量は400MB(最大5000件)です
- 回線解約前にau Webメールと「auスマートパス(プレミアム)」を契約していたユーザーが、解約後もauスマートパス(プレミアム)を継続した上でこのサービスに加入すると、保存容量が1GB(最大2万件)に拡大されます
- サーバのメールは、容量または件数がいっぱいになると古い順に削除されます
- au IDの「連絡先メールアドレス」には登録できません
- 回線解約時点で連絡先メールアドレスから削除されます
- このサービスを契約した後も、連絡先メールアドレスとして登録できません
Android端末でauメールアプリを利用する場合の注意点
- 12月26日現在、auスマートフォンは順次対応を進めている状況です
- 対応が完了している機種はサポートサイトで確認できます
- リアルタイムの受信通知に対応しません(通知は約15分間隔で行われます)
- 新しい端末でメールを設定する場合は、古い端末でメールデータのバックアップを取ってから新端末で復元操作を行ってください
- メールパスワードを変更した場合は、メールアプリの再設定が必要です
- このサービスでは、送受信メールがサーバに保存されます
- サービス契約前(≒回線解約時)のメールは全て「過去メール」フォルダに格納されます
- フォルダ名やフォルダの振り分け条件は引き継がれません
- アプリで利用できるメールアドレスは1つのみです
- 2つ以上のアドレスを並行して利用したい場合は、IMAPプロトコルに対応する電子メールアプリを利用してください(利用設定はサービスのWebサイトで確認できます)
iOS/iPadOS標準メールアプリを利用する場合の注意点
- プロファイルによるセットアップを行いたい場合は、「Safari」を使ってサービスのWebサイトにアクセスしてください
- iPadOS 13.1以降を搭載するiPadでは、Safariの設定によってプロファイルのダウンロードが妨げられる場合があります。端末設定を開いて「Safari」→「デスクトップ用Webサイトを表示」と進み、「すべてのWebサイト」のスイッチが“オフ”になっていることを確認してください
- プロファイルで設定できるメールアドレスは1つのみとなります。2つ目以降のメールアドレスは手動設定してください
他の電子メールアプリを利用する場合の注意点
- auでは動作保証をしていません
- 設定に必要な情報は「マイページ」から確認できます(情報はユーザーによって異なります)
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