「新4K衛星放送(BS 4K/CS 4K)」を見るにはどうしたらいい? 必要なものをチェックしよう!【2022年3月版】
以前と比べると、「4Kテレビ」も手頃になってきました。その4Kテレビを生かせるコンテンツの1つが「新4K衛星放送(BS 4K/CS 4K)」です。受信するにはどうすればいいのか、注意点と共に解説します。
ハイビジョンテレビやフルハイビジョンテレビよりもきめ細かい表示ができる「4Kテレビ」。数年前まではその多くを上位(ハイエンド)モデルが占めていましたが、40インチ(型)台以上の画面サイズでは、エントリーモデルや中位(ミドルレンジ)モデルでも4Kパネルを搭載するテレビが増えて、以前よりも手頃になりました。
4Kテレビのきめ細かさを生かせるコンテンツの1つが「新4K衛星放送」です。BS(放送衛星)から受信するものは「BS 4K放送」、CS(通信衛星)から受信するものを「CS 4K放送」と呼ばれていて、これらを総称したものが新4K衛星放送……なのですが、全ての4Kテレビで受信できるわけではありません。また、受信に用いる機器によっては、一部のチャンネルを受信できないケースがあります。
この記事では、新4K衛星放送を受信するために必要なものをチェックしつつ、気を付けるべきポイントをチェックします。「4Kテレビをもっと活用したい!」という人の参考になれば幸いです。
おことわり
- 新4K衛星放送の一部のチャンネルは、別途受信契約が必要です。詳細は当該チャンネルのWebサイト、あるいは未契約の状態でチャンネルにアクセスすると出てくる案内を参照してください
- 新4K衛星放送の一部のチャンネルを受信するには、対応するチューナー(テレビ)以外の機器の新設/換装(取り換え)も必要になる場合があります。詳しくは本文で説明しますが「自力で新設/換装するのが難しい」という場合は家電量販店などに相談してください
- 記事で取り上げるチャンネルの情報は、2022年3月現在のものです
そもそも「新4K衛星放送」の特徴は?
その名の通り、新4K衛星放送は放送が4K解像度(Ultra HD/UHD:3840×2160ピクセル)で行われることが特徴です。地上波デジタル放送やBS/110度CSデジタル放送の約4倍の解像度(きめ細かさ)となるので、対応するテレビを用意すればよりキレイな映像を楽しめるというわけです。
デジタルテレビ放送の解像度について
デジタルテレビ放送において、放送局から送られてくる映像の解像度は以下の通りです。
- 地上波デジタル放送(地デジ):1440×1080ピクセル
- BS/110度CSデジタル放送:1440×1080ピクセルまたは1920×1080ピクセル
- 新4K衛星放送:3840×2160ピクセル
- 新8K衛星放送:7680×4320ピクセル
地上波デジタル放送や一部のBS/110度CSデジタル放送は、伝送する映像の容量を軽減するためにアスペクト比(縦横比)を「4:3」とした映像を伝送しています。ただし、デジタル放送では画面のアスペクト比を「16:9」と定めているため、伝送される映像は引き伸ばし(画素補完処理)されることを前提にしており、実際に表示される際はチューナー(テレビ)側の処理によって「16:9」に引き伸ばされます。
なお、一部のテレビでは表示設定を変更すると引き伸ばし前の「4:3」映像を確認できます。
最近のテレビでよく使われるパネル(表示部分)の解像度のイメージ図。4KはフルHDの4倍の解像度を持っているので、同じサイズのパネルなら4倍のきめ細かさで表示できることになります(クリックすると拡大します)
新4K衛星放送は単に映像の解像度が高くなっただけではなく、以下のような特徴を持っています。
- 「HDR(ハイダイナミックレンジ)表示」への対応(明暗差がより明確に)
- 利用できるカラーの範囲(色域)の拡大
- 利用できるカラーの最大数(階調)の拡大(約1677万色→約10億色)
- 1秒当たりに表示できる最大コマ数の拡大(最大30コマ→最大120コマ)
ただし、これらの特徴は「放送される番組」「受像機」「ディスプレイ(外付けの場合)」の全てが対応することで初めて実現されるものです。テレビを選ぶ際は、上記のスペックをよく見るようにしたい所です(今回は本題ではないので、説明は割愛します)。
新4K衛星放送を見るにはどうすればいい?
新4K衛星放送を視聴する方法には、幾つかのパターンがあります。テレビなど、自分の手持ちの機器や周辺環境を総合して、最適な方法を選んでください。
パターン1:チューナー内蔵の4Kテレビを買う
自宅にBS/CSアンテナがある場合、あるいは契約しているCATV(ケーブルテレビ)が4K衛星放送のパススルー伝送に対応している場合は、新4K衛星放送を受信できるチューナーを内蔵している4Kテレビを用意することをおすすめします。最近は中位モデルでもチューナー内蔵モデルが増えています。
ただし、既にある機器の構成によっては、一部のチャンネルの視聴をするために機器の換装が必要となる場合もあります。この辺の注意点は別項目で説明します。
BS/110度CS放送のパススルー配信(局で受信した電波を変換することなく配信する方式)をしているCATV事業者であれば、アンテナを取り付けることなく新4K衛星放送を受信できます。ただし、宅内の機器構成によっては、一部のチャンネルの視聴において機器の換装が必要なこともあります(詳しくは後述します)(出典:TOKAIケーブルネットワーク)
パターン2:外付けチューナーを買う
新4K衛星放送の規格が確定する前に発売された「4Kテレビ」や、現在でも低価格な「4Kテレビ」には新4K衛星放送のチューナーを内蔵していないモデルもあります。その場合は、外付けの新4K衛星放送チューナーをつなげることで新4K衛星放送を楽しめるようになります。パソコン用の4Kディスプレイを使って新4K衛星放送を視聴したい場合も、この方法で楽しめます。
ただし、チューナーを内蔵していないテレビやディスプレイで新4K衛星放送を楽しむ場合、つなげるテレビ/ディスプレイが以下の条件を満たす必要があります。
- 必須の要件
- HDMI入力が「HDCP 2.2」という著作権保護技術に対応していること
- より楽しみたい場合に必要な要件
- HDMI入力がHDMI 2.0規格に準拠すること(4K解像度で楽しむ場合)
- HLG規格のHDRに対応すること
- BT.2020(Rec.2020)の色域に対応すること
- 10bit(約10億色)表示に対応すること
ただし、チューナー内蔵テレビと同様に、既にある機器の構成によっては、一部のチャンネルの視聴をするために機器の換装が必要となる場合もあります。
ピクセラの「PIX-SMB400」は、新4K衛星放送のチューナーだけでなく、地上波デジタル放送のチューナーも内蔵しており、チューナーを備えないパソコン用ディスプレイをテレビとして使う際にも便利です。外付けのUSB HDDを用意すれば、番組の録画も可能です。OSとして「Android TV」を搭載しているので、「Netflix」なども楽しめます(出典:Amazon)
シャープの「4S-C00AS1」は、新4K衛星放送の受信に特化することで価格を抑えたことが特徴です。HDRについて、HLG規格に非対応のテレビ/ディスプレイにも対応できるように汎用(はんよう)的な「HDR10」規格に変換する機能も備えています(出典:Amazon)
パターン3:CATV/IPテレビのセットトップボックス(STB)を使う
一部のCATV事業者やIP(インターネット)テレビの事業者は、新4K衛星放送の受信に対応するセットトップボックス(STB:チューナー)を用意しています。自宅にBS/CSアンテナがない場合、STBを提供しているCATV、あるいはIPテレビに加入して、テレビやディスプレイにSTBをつないで見るという選択肢も取りやすいです。
CATVの場合、「トランスモジュレーション」(周波数変換)して伝送している事業者ではSTBを介した視聴が必須となります。視聴にSTBが必須のCATVを利用している場合、購入した4Kテレビが新4K衛星放送チューナーを内蔵していると「宝の持ち腐れ」となるため(※1)、あえてチューナーを内蔵しない4Kテレビを購入するという選択肢もアリです。
IPテレビでは、NTTぷららが提供する「ひかりTV」「ひかりTV for docomo」が新4K衛星放送のうちBS 4K放送の一部を再送信するサービスを提供しています。ただし、BS 4Kの再送信を受信するには、両サービスにおいて対応するSTBを購入するかレンタルを受ける必要があります。ひかりTVを契約していても、ひかりTV対応テレビでは直接受信できないので注意してください。
(※1)CATVに対応している集合住宅では、独自にアンテナを設置することでBS/CS放送のパススルー配信にも対応しているケースもあります。詳しくは物件の所有者や管理者に問い合わせてください
CATV大手「JCOM(ジェイコム)」のテレビ受信サービス「J:COM TV」において新4K衛星放送を含むBS/110度CSデジタル放送を受信するには、指定のプランやオプションを契約した上で、STBをレンタル利用する必要があります
ひかりTV/ひかりTV for docomoでは、指定のSTBを購入、またはレンタルを受ければ基本料金の範囲内でBS 4K放送の一部チャンネル(NHK BS4Kと主要なBS民放の4K放送)を受信できます
アンテナは「対応品」でないと全チャンネルに対応できない!
従来の衛星放送では「BS右旋」「110度CS右旋」の2種類の電波を使っています。それに対して、新4K衛星放送では「BS右旋」「BS左旋」「110度CS左旋」の3種類の電波を使っています。「右旋」「左旋」は電波の回転方法のことで、右旋は右回り、左旋は左回りということになります。
実は、この「右旋」「左旋」はものすごく重要な要素で、既にBS/110度CSアンテナを設置してある場合でも受信したいチャンネルによってはパラボラアンテナの取り換えが必要となります。
BS右旋の放送だけ視聴する:換装不要
BS右旋を使って放送される以下のチャンネルだけを視聴する場合は、パラボラアンテナの取り換えは不要です。BSを受信できる古いパラボラアンテナが設置されている場合は、そのまま使えます。
- NHK BS4K
- BS日テレ 4K
- BS朝日 4K
- BS-TBS 4K
- BSテレ東 4K
- BSフジ 4K
BS左旋/110度CS左旋の放送を視聴する:換装必須
BS左旋、または110度CS左旋を使って放送される以下のチャンネルを視聴する場合は、BS左旋や110度CS左旋の電波を受信できるパラボラアンテナが必要です。古いBS用パラボラアンテナや、BS/110度CS(右旋)兼用パラボラアンテナを使っている場合は、アンテナを取り換えて下さい。
- BS左旋を利用するチャンネル
- ショップチャンネル 4K
- 4K QVC
- WOWOW 4K
- 110度CS左旋を利用するチャンネル
- J SPORTS 1(4K)
- J SPORTS 2(4K)
- J SPORTS 3(4K)
- J SPORTS 4(4K)
- スターチャンネル 4K
- スカチャン1 4K
- スカチャン2 4K
- 日本映画+時代劇 4K
新4K衛星放送の受信のためにパラボラアンテナを新設する場合は、BS左旋/110度CS左旋に対応するものを用意しましょう。
新4K衛星放送を機にパラボラアンテナを新設する場合、取り付ける環境によっては「セット(キット)」品を購入すると別に金具やケーブル類を購入するよりも出費を抑えられます(画像はDXアンテナ「BC453CSK」)
場合によってはアンテナ以外の機器の取り替えが必要
先述の通り、BS左旋や110度CS左旋で放送されるチャンネルを視聴する場合、パラボラアンテナの換装が必要な場合があります。しかし、これらのチャンネルを受信する場合、場合によってはアンテナからテレビ(チューナー)に至るまでに介在する機器も換装が必要となります。具体的には、以下の機器がBS左旋や110度CS左旋で利用される周波数(3224MHz前後)に対応していない場合、受信が不安定になることがありますので、交換を検討してください。
- 混合器(複数のアンテナからの信号をまとめる機械)
- ブースター(信号を強くする機械)
- 分配器(アンテナの信号を分岐させる機械)
- 同軸ケーブル
- 直列ユニット/壁面端子
- 分波器(混合器で混ぜた複数の信号を分けるための機械)
パラボラアンテナと同様に、これらの機器をこれから新設する場合は対応品を用意することをおすすめします。
2.4GHz帯の無線機器を使っている人には追加の注意点も
さらに、BS左旋や110度CS左旋で放送されるチャンネルを視聴する場合、従来よりも利用する周波数帯が高いため、漏えいした電波が2.2GHz〜3.2GHz帯の無線機器の動作に干渉したり、逆に2.2GHz〜3.2GHz帯の無線機器が放送の受信に悪影響を与えたりする可能性があります。
自宅で2.4GHz帯の無線機器(IEEE 802.11ax/b/g/n規格の無線LAN、Bluetooth機器、ワイヤレスキーボード/マウスなど)を使っている場合は、アンテナからテレビ(チューナー)の間に介在する機器やケーブルについて、電波の漏えい対策がしっかりと施されたものを利用してください。特に「シールドのなされていない混合器/ブースター/分波器」や「芯線がむき出しな配線」には気を付けましょう。
BS左旋や110度CS左旋で放送されるチャンネルを視聴する場合、きちんとシールドされていない機器を使うと自宅にある2.4GHz帯を使う無線機器や電子レンジからの干渉を受けてしまう可能性があります(出典:総務省、PDF形式)
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