2024年の買い物のキーワード「セルフスキャン」とは? セルフレジに続いて普及本格化、イオンの「レジゴー」で考える【前編】
2024年はセルフレジからさらに進んだ「セルフスキャン」がキーワードになりそう。イオンリテールの「レジゴー」を例に、セルフスキャンの概要について説明します(前編)。
まもなく2024年を迎えますが、来年スーパーやコンビニでお買い物をする際、「セルフスキャン」というキーワードを耳にするようになるでしょう。
本稿では、イオングループで総合スーパーを展開する主力企業、イオンリテールの「レジゴー」を例に挙げながら、その概要について前・後編に分けつつ、順を追ってチェックしていきます。
井上晃
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
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「セルフレジ」は既に浸透してきた
ここ7〜8年、決済系サービスは凄まじいスピードで変化し、新しいトレンドが次から次へと登場してきました。スマートフォンやスマートウォッチでの非接触型決済が普及し、高倍率のポイント還元とともにコード決済サービスが乱立、各種クレジットカードのタッチ決済が使えるようになり、店頭にはセルフレジが増えて──と話題は尽きません。
例えば、すでに多くのスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにおいて、「セルフレジ」は当たり前に見かける存在になっています。事象の規模が大きく、詳細なデータも確認できているわけではないので、真偽の程度は確かめられませんが、この普及の理由について、インターネット上では「人件費の削減や、コロナ禍による接触機会の低減を目的に、ここ数年でセルフレジの導入が進んだ」──という説明が散見されます。
実際、筆者の生活圏において、セルフレジを見つけるのは簡単です。もちろん、ある程度の地域差はあるかもしれませんが、体感と照らし合わせても、「普及がかなり進んだ」という認識に異論はありません。
例えば、2022年3月にLINEリサーチが発表した調査データによると、セルフレジ(無人レジ)の認知率は全体で99%だったとのことです。22年末時点の情報で認知率99%なのだから、23年のそれは言うまでもないでしょう。
ちなみに、実はこうしたセルフレジの歴史は短くはありません。日本国内においては、03年11月18日にイオングループの「マックスバリュ」が初のセルフレジを導入したとのことです。この日を記念して、日本NCRは11月18日を「セルフレジ」の日に制定しています。本稿の本筋からはずれますが、20年前から考えられていた仕組みだと考えると、なかなか興味深いものです。
次は「セルフスキャン」に注目
さて、セルフレジが浸透してホッとしている間もなく、私たちの生活圏には新しいトレンドが現れ始めています。それが、セルフレジの発展系とも言える「セルフスキャンシステム」や「ウォークスルー方式」と表現されるレジ構成です。先進技術のキーワードとしては2020年頃からたびたび話題に上がっていましたが、これらがいよいよ多くの人の生活圏において目に見える形で普及してきています。
この背景には、総合スーパー国内最大手であるイオングループの中核企業、イオンリテールが「レジゴー」というサービスを展開し始めたことが大きく影響しています。
このサービスを利用する際は、スマートフォンのアプリを使って、商品をカゴに入れるタイミングで商品のバーコードを読み取り、レジでは決済だけを行う――という流れになります。
「レジゴー」自体は19年5月から一部店舗で小規模にスタートしていました。また、20年3月にはApp Storeで「レジゴー」のiOSアプリもリリースされているので、地域によってはとっくに身近な存在だったというケースもあるでしょう。
ですが、本格展開がスタートしたのは23年5月からだと言えるでしょう。この時点でイオンリテールは「レジゴー」対応レジを含むセルフレジコーナーを設けた「スマートモデル」と称する食品レジのレジ構成について、「24年2月末までに関東・北陸信越・東海・近畿・中四国の『イオン』『イオンスタイル』など約300店舗で展開する」ことをニュースリリースで発表しています。つまり、ちょうど現在、「レジゴー」の導入店が本格的に増えているタイミングということになります。
イオンリテールは国内で369店舗を出店しているので(23年8月末現在)、24年にはその大部分の店舗でスマートモデルの食品レジが導入されることになります。その全てに「レジゴー」が含まれるのかどうかは不明ですが、着実に普及が進むのは間違いないでしょう。
同ニュースリリースでは、22年に「スマートモデル」を導入した「イオンスタイル天王町」(横浜市)では、導入前と比べて生産性を30%改善できたとしており、実際の効果も伴っていることが分かります。
2024年、セルフスキャンの導入が本格化する
もちろん、技術系の展示会などでは何年も前からウォークスルー決済は定番の話題でした。また、すでに国内外のさまざまな企業がセルフスキャン・ウォークスルー方式の決済サービスを導入してきているので、業界知識に精通している方から見れば「何を今更」と思われるかもしれません。ですが、決済サービスの最新動向に関心のない一般の消費者にしてみれば、身近な大手スーパーにいきなりセルフスキャン・ウォークスルー方式のレジが新設されていれば、驚くのではないでしょうか。
一方で、同サービスの導入が一段落するであろう24年には、多くの方が「レジゴー」は見慣れたものになるでしょう。そういう意味で、いま注目しておきたいトレンドなのです。
身近になりつつあるセルフスキャン
本稿ではイオンリテールの「レジゴー」を取り上げていますが、同様のサービスをすでに提供している小売店は多数あります。
例えば、イオングループでマルエツとカスミ、マックスバリュ関東を傘下に持つユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)は「Scan&Go ignica(スキャンアンドゴー・イグニカ)」を展開していますし、同じくイオングループのマックスバリュ東海では「MaxGO(マックスゴー)」、マックスバリュ西日本などでは「My-Pi スキャン」を導入。コンビニエンスストアのローソンでは「ローソンスマホレジ」を18年にスタートしています(当初のサービス名は「ローソンスマホペイ」)。
さらにベンダー側からも寺岡精工の「Shop&Go」などが提案されており、現状ではセルフスキャンのサービス・システム名は企業・ブランド、小売やベンダーなどのレイヤーなどによってバラバラで、全体像が見えづらい印象ではあります。また、九州を地盤とするディスカウントストアのトライアルのように、ショッピングカーにレジのような端末を備えた「スマートショッピングカート」を用意している独自路線の企業もあります。
生活圏によって出合うサービス名は異なるかもしれませんが、このようなサービスを見かけたら「あ、これが『セルフスキャン』か」とトレンドを感じてもらえれば幸いです。
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