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「ママチャリの注油、チェーンの音が鳴ってからでいいの?」 自転車ジャーナリストが解説

ママチャリ(シティサイクル)はメンテナンスを怠ると寿命が早く訪れてしまいます。整備の第一歩は「チェーンへの注油」。注油を行うだけで走りが軽やかになります。ここでは注油のタイミングと潤滑油の種類について、詳しく解説しましょう。

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 ママチャリ(シティサイクル)はメンテナンスを怠ると寿命が早く訪れてしまいます。整備の第一歩は「チェーンへの注油」。注油を行うだけで走りが軽やかになります。ここでは注油のタイミングと潤滑油の種類について、詳しく解説しましょう

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大屋雄一

大屋雄一

モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。

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チェーンの動きを良くする潤滑油は少しずつ落ちていく

 自転車のチェーンは、ペダルを踏み込んだ力を後輪へ伝えるためのパーツです。外側と内側のプレート、ピン、ブッシュ、そしてローラーで構成されていて、これらは全て金属(スチール)で作られています。

 この金属同士の動きをスムーズにするのが潤滑油の役目で、専用品はチェーンオイルやチェーンルブなどと呼ばれています。

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 出荷時の自転車のチェーンには耐久性の高い潤滑油が塗布されていますが、走行距離を延ばすほどに少しずつ油分が落ちていきます。その度合いは環境要因によって大きく左右され、特に雨の中を走行している場合は落ちる勢いが増す傾向にあります。

 たとえ雨が止んだあとであっても、水たまりを通過すれば前輪が雨水を跳ね上げるので、地面に近い位置にあるチェーンはどうしてもぬれてしまうのです。

 油切れとなったチェーンはスチールのためさびやすく、しばらくすると前後の歯車(前側はチェーンリング、後ろ側はスプロケットと呼ぶ)まで真っ茶になってしまいます。こうなるとチェーンの動きが悪くなり、ペダルに込めた力がうまく後輪へ伝わりません。

 加えて、ここまでさびてしまうとチェーン自体を交換するしかないので、そうなる前に注油することをおすすめします。

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自転車メーカーではあえて注油のタイミングを明記していない

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チェーンオイルだけでこれだけラインアップしている潤滑油メーカーも

 前述したように、チェーンの油分の減り具合は環境要因に左右されるため、どのタイミングで注油すればよいのか悩みどころです。

 ロードバイクのようなスポーツ自転車の場合は、チェーンオイルの種類にもよりますが、走行距離200km〜300kmごとの注油を推奨していたり、雨天後は必ず注油すべきとパッケージに書かれていたりします。しかし、これをママチャリにそのまま当てはめるのは現実的ではないでしょう。

 主な自転車メーカーのサイトを見ると、チェーンに関して注油サイクルを明記しているところはほとんどなく、大手では唯一ブリヂストンサイクルが「チェーンから音が鳴り出したりさびたりしたら、自転車油を注油しましょう」と記載している程度です。

 これについて自転車販売店で尋ねたところ、注油してはいけない部分にもオイルを差してしまう人がいるらしく、詳しく書かないのはそうした事故を防ぐためではないか、とのことでした。

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潤滑油は専用品がベスト 覚えてしまえば作業は簡単

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チェーンオイルは滴下タイプとスプレータイプに分けられる

 チェーンへの注油自体は、一度覚えてしまえば簡単です。チェーンの汚れをウエスやペーパータオルできれいにしたあと、チェーンオイルを塗布し、余った油分を軽く拭き取るだけです。

 スポーツ用自転車の場合は、チェーンクリーナーという専用の脱脂剤できれいにするといった工程を加えることもありますが、ママチャリならそこまで神経質になる必要はないでしょう。

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チェーンオイルを塗布する前に、ペーパータオルなどで汚れを拭き取る
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滴下タイプはローラーの部分に一滴ずつ垂らしていく

 なお潤滑油メーカーの方に取材をしたところ、ママチャリは屋外で保管されるケースが多く雨ざらしであることから、さびを防いでくれる防せい剤入りのチェーンオイルがおすすめとのことでした。

 ちなみに電動アシスト自転車の場合は、スポーツ自転車よりも瞬間的に大きな力がかかることから、「パッケージに“電動アシスト自転車にも対応”と書かれた製品を使うと安心」と教えてくれました。

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右のパッケージには電動アシスト自転車が描かれている

注油タイミングは音鳴りやさびが一つの目安

 ホームセンターなどで安価で売られている潤滑剤の代表格が、クレ(KURE)の「5-56」ではないでしょうか。一時期「自転車のチェーンに5-56はNG」などという噂が流れましたが、製品自体の潤滑効果は非常に高く、クレも公式サイトで問題なしという見解を示しています。

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クレ 5-56(出典:Amazon

 しかも水置換性があるので、チェーンが雨などでぬれていても、その水分の下に潜り込んで金属面に皮膜を形成してくれます。耐久性こそ専用品に及びませんが、手始めに試してみてはいかがでしょうか。

 注油のタイミングは、音鳴りやさびが一つの目安になりますが、それはすでに油切れを起こしている状態なので、金属同士が接触して摩耗が一気に進行します。筆者としては、音が鳴り出す前にペダルを逆回転させて回転が重くなってきたと感じたら、注油することをおすすめします

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