iPad Pro(M5)は何が変わった? 着実な進化を4つのポイントでチェック(1/2 ページ)
M5チップを搭載する最新世代のiPad Pro(M5)を4つのポイントでチェックしていきます。
Appleは10月、「M5」チップを搭載した新しい世代のiPad Proを発売しました。基本的には、2024年春に発売された「iPad Pro(M4)」からのマイナーアップデートモデルであり、サイズや重量など、多くの仕様は踏襲しています。一方、搭載するチップセットが刷新されており、処理性能に関する構成や、通信仕様などは順当に進化を遂げました。ただし、「何が変わったのか?」と考えると、少々わかりづらいものです。
本稿では、そんなiPad Pro(M5)の主な進化点について、4つのポイントを追いながら、主要なアップデートを噛み砕きつつチェックしていきましょう。
井上晃
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
AI処理・ゲーミング処理が高速に
iPadシリーズの世代は、登載するチップセットの世代を併記して表されます。今回の新製品は、最新の「M5」チップを搭載したモデル。先述の通り、2024年春に発売された「iPad Pro(M4)」の後継機です。
一般的に、チップセットは演算処理を担う「CPU」や、グラフィック処理を担う「GPU」のコア数などが異なり、性能はベンチマークテストのスコアなどで表されます。しかし、そのほかにも、カメラで撮影した画像処理を担う「ISP」や、AI処理を担う「NPU」など、専門的な役割をもった部分の違いや、動画のデコードやエンコードを効率よく行える専用回路の有無などもユーザーの体験に影響してきます。
今回の「M5」チップの構成を仕様表で確認してみると、コア数については従来世代と同じく、ストレージ容量の小さいモデルと大きいモデルで若干異なるのがわかります。具体的には、256GB/512GBモデルで最大9コアのCPU(高性能コア×3+高効率コア×6)と10コアのGPUを搭載。1TB/2TBモデルで最大10コアのCPU(高性能コア×4+高効率コア×6)と10コアのGPUを搭載しています。要するに、上位モデルだと、CPUのコア数が1つ増えます。
特筆すべきポイントとしては、GPUのコアごとに「Neural Accelerator(ニューラルアクセラレーター)」と呼ばれるAI処理を効率化するアーキテクチャを採用したことで、AI処理を行う際にGPUがより効率的に稼働するように調整されていることが挙げられます。
そのため、昨今のトレンドである生成AIを活用した処理を、従来以上に高速かつ効率的に行えるというのが、M5チップのわかりやすい売り文句です。プレスリリースによれば、具体的には「M4」チップを搭載した世代のiPad Proと比較して最大3.5倍、「M1」チップを搭載した世代のそれよりも最大5.6倍高速な処理が行えるとされています。
ちなみに、ゲーミングや3DCG処理などで重要になるレイトレーシング(リアルな光源処理の手法)に対応するハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングのエンジンが、M3→M4→M5と世代を重ねるごとに進化を遂げ、第3世代になったこともポイント。そのため、レイトレーシングを使用する3Dレンダリングについても、M4世代のiPad Proの最大1.5倍、M1世代のiPad Proの最大6.7倍高速になったとされています。
マルチタスクや重めのアプリもサクサク動きやすく
こちらもM5チップや処理性能に関する特徴ですが、メモリの容量と帯域幅が増えたことも押さえておきたいポイントです。
まず、メモリの容量とは、コンピューターが作業するときの“机の広さ”に例えられることが多いスペックで、この数値が大きいほど、思い処理をスムーズに処理したり、同時に多くの処理を快適にこなせたりします。
iPadでは従来からメモリ容量はモデル(ストレージサイズ)によって異なっており、M4世代のiPad Proでは、256GB/512GBモデルで8GB、1TB/2TBモデルで16GBでした。これがM5世代のiPad Proでは256GB/512GBモデルで12GB、1TB/2TBモデルで16GBとなっています。つまり、ストレージの小さいモデルでも、メモリを多く使用しがちなAI機能や、定番のクリエイティブツールをスムーズに実行しやすいということです。
続いて、「メモリの帯域幅」は、プロセッサとメモリとでデータをやり取りできるスピードを表します。iPad Pro(M4)ではこのメモリ帯域幅が全モデルで120GB/秒でしたが、iPad Pro(M5)では約30パーセントアップの153GB/秒になりました。
また、iPad Pro(M5)ではストレージの読み書き速度も最大2倍にアップしています。動画編集など大容量のファイルを扱うクリエイティブな作業をするときなどにスピードアップが期待できるでしょう。
まとめると、CPUやGPUのコア数の表記には大きな差はなかったものの、これらのアップデートによって、ユーザーがより快適に重い処理をこなしやすくなっているというわけです。
充電速度や通信仕様の変化も
iPad Proシリーズでは、従来世代でもすでにThunderbolt/USB 4対応のUSB Type-Cポートを備えていて、M5世代でもこれを踏襲しています。そのうえで、iPad Pro(M5)では、新しい最大60W対応の40Wダイナミック電源アダプタを用いることで、約30分で最大50パーセントまでの高速充電が可能なことが強調されています(※過去世代モデルでの対応W数は公式には記載されていないので、充電速度の変化幅まではわかりません)。
また、単体でモバイル通信が行えるWi-Fi + Cellularモデルについては、Appleが設計した「C1X」モデムを搭載していることもトピック。iPad Pro(M4)と比べると、モバイルデータ通信が最大50パーセント高速になり、モバイルデータ通信使用時の消費電力も最大30パーセント少なくなるとしています。
Appleが設計したワイヤレスネットワークチップ「N1」も新搭載。Wi-Fi 6E対応からWi-Fi 7対応へ、Bluetooth 5.3対応からBluetooth 6対応へ、と対応する通信仕様のバージョンもアップデートされています。
外部ディスプレイへの120Hz出力に対応
そのほか、外部ディスプレイ接続時に対応するリフレッシュレート(画面表示の書き換え頻度)がアップデートされています。
具体的には、iPad Pro(M4)では外部ディスプレイへの出力が60Hz対応(最大6K解像度)でしたが、iPad Pro(M5)では、60Hz(最大6K解像度)または120Hz(最大4K解像度)に対応しました。外部ディスプレイに接続してゲームをする際により滑らかな表示で楽しめるでしょう。
まとめ:マイナーチェンジだが着実なスペックアップ
ざっくりとまとめると、iPad Pro(M5)は、その外観こそ前世代から変わっていないものの、最新チップセットを搭載したことで、AI処理や3DCGの処理、マルチタスク、大容量データの処理などが快適に行えるようになりました。さらに、外部ディスプレイ出力も120Hzに対応しており、よりプロフェッショナルな運用に適した一台となったと言えるでしょう。
そのうえで価格は11インチiPad Pro(M4)が16万8800円〜(税込、以下同)だったのに対し、11インチiPad Pro(M5)も16万8800円〜で据え置き。昨年の買い替えを見送った方にとってはうれしいアップデートです。
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