セキュリティを確保するために

 クラッカーの中には,特定の個人に狙いを定めて攻撃を仕掛けてくるケースもある。これは標的とするコンピュータのファイルの覗き見や,破壊などが目的で侵入を行うわけだが,侵入の際に必要なものが標的のグローバルIPアドレスだ。

 インターネット上ではチャットや掲示板への書き込み,そしてICQなど,さまざまな場面で自分の利用しているグローバルIPアドレスが漏洩する。常時接続となれば,「メールの安全性」でも紹介したように,メールヘッダから得たグローバルIPアドレスを元に攻撃を仕掛けることも可能となるだろう。多少なりともコミュニケーションを取った相手だからと安心していると,知らないあいだに侵入され,ファイルを破壊されている可能性もあるわけだ。

 前述したようなIPアドレスのスキャンによる,不特定のコンピュータを標的としたクラック行為も多いが,こういった特定のユーザーを狙った攻撃も少なくない。インターネット上のコミュニケーションは目に見えない相手とのやりとりだけに,細心の注意を払う必要がある。

 セキュリティといっても実際に被害にあわないかぎり,なかなか実感のわかないのも事実だ。しかし,自宅の鍵が開けられて侵入されることを想定し,出かける際には鍵をかけるように,インターネット接続する際も外敵に対する防衛意識が大切だ。

 今回は常時接続の危険性についてその概要について解説した。次回は具体的なセキュリティ対策(クラッキングの手法,パケットフィルタリング,ポートスキャンなど)について解説していく予定だ。

[TTS,ITmedia]

PREV 5/5