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Chapter 7:プレゼンテーション層の構築

head2.gif 7.9.4 まとめ
 本章はかなり長くなってしまった。これは,単なるサンプルにとどまらず,ある程度実務に沿った形式のアプリケーションを例示しようとしたためである。しかし,実際の開発と比較した場合,本章で作成したプログラムは,まだまだ小規模である。実際の開発では,本章で作成したような量ではまったくコード量が足らないと思うし,何よりもこのままではユーザーへの細かい配慮が足りない。特に伝票情報を表示するウィンドウは,ボタンが多数あって操作しづらいため,もう少しわかりやすくするよう努力すべきであろう。

 このように,本章で作成したアプリケーションには,ユーザーインタフェース面での問題がまだいくつか残っている。しかし,本稿の目的はユーザーインタフェース設計にあるわけではないので,ここでひとまずVisual Basicによるプレゼンテーション層の構築は完了とする。

 なお,本章の連載中には,いくつか前章に遡って修正を施す場面があった。これは,事前の設計が不十分であった失敗例である。とはいえ,実務においては,この手の出戻りは頻繁に起こり得る。開発者や設計者のスキル,および蓄積されている資産によって,どの段階でどの程度の出戻りが発生するのかは異なるだろう。しかし本稿中では,出戻りという試行錯誤の過程もあえて明示することで,注意しなければならないポイントや,現に問題が発生したときにどう対処すべきか(ビジネスロジックを変更するのか,それともユーザーインタフェースの実装で逃げるのか)を示したつもりである。もちろん,ほとんどの修正は著者ならびに編集者による完全なチェックミスなので,単なる自己正当化にすぎないのであるが,失敗事例は読者にとっても有意義であることを信じ,そのまま掲載させていただくことにした。お詫びするとともに,読者の寛容を期待したいところである。


One Point! ビジネスロジックを修正し,再コンパイルの必要がある場合には,[プロジェクト]のプロパティの[コンポーネント]ページにて,[バイナリ互換]を選択するとよい(「2.4.1 Visual BasicによるCOMコンポーネントの実装」」を参照)。そうすれば,プレゼンテーション層のプログラムは引き続き再コンパイルすることなく利用することができる。

 次章からは,IIS(Internet Information Services)のASP(Active Server Pages)を使い,Webアプリケーションとしてのプレゼンテーション層を構築してゆく。

DOWNLOAD

 本章で作成したプレゼンテーション層のアプリケーションは,以下のリンクからダウンロードすることができる。

BusinessUI_04.lzh(236,572バイト)

 また,本章では,Chapter 6で構築したビジネスロジックのうち,いくつかの不具合を修正したため,それらもまとめて以下のリンクからダウンロードできるようにしておく。

businesslogic_02.lzh(764,904バイト)

 プレゼンテーション層のアプリケーションを実際に動作させるには,ビジネスロジックをCOM+アプリケーションとして登録しておく必要がある。また,MSDEもしくはSQL Server 6.5においてbusinesssampleDBという名前のデータベースを作っておく必要がある。具体的な設定方法の詳細については,上記のbusinesslogic02.lzhに含まれるドキュメントを参照してほしい。

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