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Chapter 3:データストア層の構築

head1.gif 3.5 まとめ

 以上で,データストア層の構築は終了である。プログラム的な要素が特になかったために退屈してしまったかもしれないが,データストア層のデータ構造を当初段階でしっかりと決めておくことは重要である。データ構造をあまりよく考えずに開発を進めてしまうと,いざビジネスロジック層のプログラムを作るにあたり不整合が生じて,結局,大幅な作り直しを迫られることも少なくない。そのため,特に規模が大きくなればなるほど,設計段階でデータ構造の仕様を詰めておくことが重要となる。

 しかし,データ構造の仕様を決めるのは,生半ではない。知識はもちろん,慣れと経験も必要とされるので,はじめのうちは,どうしてもビジネスロジック層を構築し始めた段階でデータ構造の矛盾に直面することも多い。それ自体は,やむないことといってよいだろう。問題は,その先である。データ構造の矛盾が生じたとき,データ構造を直さなくとも,ビジネスロジックプログラム側で少し特殊な操作をすることにより,その矛盾を回避できることは比較的多くある。特に,データベースの正規化が足りないような場合には,ビジネスロジック層のプログラムの実装次第で対応できることが多い。しかし,このようにビジネスロジック層のプログラム側でデータ構造の問題を解消するようなことは,あまり望ましくない。基本的に,開発が進めば進むほど多くのプログラムができあがってゆくため,データ構造の変更は大幅なプログラムの変更につながってゆく。よって,データ構造に矛盾を感じたら,開発が進まないうちに,速やかにデータ構造を見直すよう心がけたい。

 次章では,本章で作成したデータベースを操作するビジネスロジック層をどのようにして構築するのかについて説明する。

  DOWNLOAD   データベーステーブル

 本節で作成したデータベーステーブルを作成するSQL文が下記のリンクからダウンロードできる。

   businesssampledb.sql(16,716バイト)

 このファイルは,SQL Server Enterprise Managerの「SQLスクリプト作成」の機能を利用してUnicode文字列としてデータベーステーブルを作成するSQL文を吐き出したものである。

 このSQL文は,次のようにosqlユーティリティを使って実行することで,データベーステーブルをMSDE上に作成することができる。

C:\MSSQL7\Binn>osql -U sa -i businesssampledb.sql

 上記の文を実行すると,MSDE上にbusinesssampleDBというデータベースが作成され,そのなかに,本章で作成した7つのデータベーステーブルが構築される(ただし,ダイアグラムについてはSQL文に含まれない。しかし,リレーションシップの設定や制約の設定はSQL文に含まれる)。

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