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Chapter 1:オブジェクト指向から見たCOM+

見出し 1.2.2 COM+
 Windows 2000には,コンポーネントサービスとしてCOM+1.0(以降,特に明記しない限り,「COM+」とはCOM+1.0を指す)が搭載される。COM+は,1993年に登場したCOMが6年間におよぶ道程で培った最新のコンポーネントテクノロジを集約したものと捉えることもできる。COM+は,COMと互換性を維持しつつ,そのアーキテクチャを拡張したものである。具体的には,MTS(Microsoft Transaction Server)と緊密に統合されたほか,QC(Queued Component)やイベントなどをサポートし,コンポーネントをサービスとして利用できるようにインターセプタ(割り込み)を搭載する。特に,Windows NT 4.0においてコンポーネントの管理と配置を担ってきたMTSが,Windows 2000でCOM+トランザクションサービスとなり,ビジネスロジック層におけるCOM+の中枢を司ることになる点を強調しておきたい。なお,COM+の詳細は,この連載のなかで詳しく説明する予定である。

  COLUMN   消えたCOM+のロードバランシング機能

 Microsoft社は,Windows 2000 RC2(Release Candidate 2:2番目の出荷候補)の出荷に伴い,最終出荷する製品版から,データアクセスを高速化するIMDB(In-Memory DataBase)と,COM+のロードバランシング機能を取り除く意向を表明した。IBDBやCOM+のロードバランシング機能が除去されたことは,分散アプリケーションプラットフォームとしてのWindows 2000にとっては影響が大きい。

 Microsoft社の戦略上は,COM+のロードバランシング機能をCOM+2.0と併せてAppCenter Serverに実装し,OSとは切り離して別途製品として提供しようという狙いがあるようだ。また,IMDBは次期SQL Serverなどに取り込まれる模様である。

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