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Chapter 1:NetBIOSの基礎知識
異なるネットワークアドレスを持ったコンピュータの名前を解決するには,LMHOSTSファイルを作成するか,WINSを利用する。ここではLMHOSTSファイルを作成する方法について解説し,WINSについてはChapter 2で解説する。
LMHOSTSファイルは,下記のような書式で記述することになっている。
●NetBIOS名の指定
IPアドレスとNetBIOS名のあいだは,空白(1バイト)もしくはタブで区切る。
IP-Address NetBIOS名
例)
192.168.2.1 anotherlily
192.168.2.254 anotherbiblo
●コメント
「#」は,コメントの開始を表す。ただし,次に説明するキーワードで使用される文字列が続く場合は,例外である。
●キーワード
Windows 95,Windows 98,Windows NTでは,Table 1-5のキーワードが追加されている。Lan Manager 2.xのLMHOSTSファイルでは,これらのキーワードは無視され,コメントとして扱われる。
Table 1-5 LMHOSTSファイルで利用可能なキーワード
キーワード |
#PRE |
意味 |
エントリの最後に追加すると,そのエントリは起動時にあらかじめキャッシュに読み込まれるようになる。LMHOSTSファイルを編集した場合は,コマンドプロンプトから「nbtstat -R」と実行することで,LMHOSTSファイルの内容をキャッシュに読み込むこともできる。#PREキーワードは最大100個まで指定可能であり,それ以上指定した場合はあらかじめ読み込まれることはない。また,#PREキーワードがない場合,LMHOSTSファイルの内容は起動時には読み込まれず,LMHOSTSファイルを参照したときに初めて読み込まれる |
例 |
192.168.2.1 anotherlily #PRE |
|
キーワード |
#DOM:domain |
意味 |
エントリの最後に追加して,このエントリに指定したコンピュータとdomainとを関連づける。PDCもしくはBDCを指定する |
例 |
192.168.2.1 anotherlily #DOM:DSL |
|
キーワード |
#INCLUDE filename |
意味 |
filenameで指定したファイルをインクルードする。UNC(Universal Naming Convention)で指定すると,LMHOSTSファイルを集中管理することができる。なお,UNCで指定する場合は,ファイルサーバーとなっているコンピュータがNullセッションをサポートしていなければならない。デフォルトではNullセッションはサポートされていないため,レジストリを変更する必要がある。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM
\CurrentControlSet
\Services\LanManServer\Parameters
\NullSessionSharesに共有名を入力する |
例 |
#INCLUDE c:\winnt\system32\drivers\etc\lmincl |
|
キーワード |
#BEGIN_ALTERNATE
#END_ALTERNATE |
意味 |
複数の#INCLUDE文をグループ化するために使用する。#BEGIN_ALTERNATE行と#END_ALTERNATE行のなかに,複数の#INCLUDE文を記述する。#INCLUDE文で指定されたファイルの内容はすべて同じものでなければならない。いずれかの#INCLUDE文に成功すると,グループ全体の実行が成功したものとみなされる。冗長化のための機能である |
例 |
#BEGIN_ALTERNATE
#INCLUDE \\primary\outgoing\lmhosts
#INCLUDE \\secondary\outgoing\lmhosts
#INCLUDE \\backup\outgoing\lmhosts
#END_ALTERNATE |
|
キーワード |
\0xnn |
意味 |
表記不可能な文字を埋め込む。一般的には,NetBIOS名の16バイト目の文字(後述)を埋め込むために使用される。このキーワードを使用する場合は,NetBIOS名全体を二重引用符で囲む |
例 |
192.168.2.4 "domainpdc \0x1b" |
|
異なるネットワークアドレスを持つサーバーと接続するだけであれば,以下のように記述しておけばよい。必要であれば,#PREキーワードを使用する。
192.168.2.1 anotherlily
また,異なるネットワークアドレス上にドメインコントローラがあり,ログオンする必要がある場合は,次のように記述しておけばよい。
192.168.2.1 anotherlily #PRE #DOM:DSL
「\0xnn」は,文字で表記できないもの(0x1Bのように文字が割り当てられていないもの)を指定する場合に用いる。nnは16進数表記である。NetBIOS名の16バイト目の文字を指定する場合に使用される。
Windows NT 4.0の場合に限るが,LMHOSTSファイルやWINSを使わずに接続する方法もある。それは,NetBIOS名ではなく,IPアドレスやDNS名で接続する方法である。この機能は,Windows NT 4.0にのみ実装されているNBTの拡張機能であり,具体的には次のようにすることで接続可能となる。
net use * \\192.168.1.1\share
net use * \\lily.dsl.private\share
dir \\biblo.dsl.private\data
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