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Chapter 1:NetBIOSの基礎知識

1.2.1 ブラウジングの基礎知識

 ブラウジングについて理解してもらうために,ブラウジングの仕組みについて簡単に説明しておこう。ブラウジングサービスは,クライアント/サーバー方式で実装されている。つまり,ブラウジングしたいクライアントはサーバーに対して問い合わせ,その時点で利用可能なコンピュータの一覧を得るのである。このコンピュータの一覧を「ブラウズリスト」と呼び,ブラウズリストをほかのコンピュータに提供するサーバーを「ブラウザ」,ブラウザのなかでも特にブラウズリストを管理しているものを「マスタブラウザ」と呼ぶ。

 ブラウザには3種類存在し,それぞれTable 1-8のような役割を持っている。

Table 1-8 ブラウザの役割
ブラウザの種類 役割
セグメントマスタブラウザ 通常のマスタブラウザである。Windows 95,Windows 98,Windows NTのどれもがセグメントマスタブラウザになることができる。マスタブラウザは,構成しているドメインや,所属しているワークグループ内のブラウズリストを保持する。また,ほかのドメイン名やワークグループ名の一覧も保持している([ネットワークコンピュータ]−[ネットワーク全体]をクリックしたときに表示されるドメインの一覧)。セグメントマスタブラウザが保持しているのは,同一ネットワーク上のドメインとコンピュータの一覧のみである。異なるネットワークアドレス上に存在するドメイン名は,ドメインマスタブラウザがブラウズリストを交換しない限り取得できない
バックアップブラウザ クライアントがブラウジングにあたって問い合わせるときは,マスタブラウザではなく,バックアップブラウザに問い合わせる。バックアップブラウザは,クライアントからの問い合わせに回答できるように,ブラウズリストのコピーを保持している。15分おきにセグメントマスタブラウザに対して問い合わせ,ブラウズリストのコピーを受け取っている。Windows 95,Windows 98,Windows NTのどれでもバックアップブラウザになることができる。バックアップブラウザは,ブラウズクライアント32台ごとに1台用意される
ドメインマスタブラウザ セグメントマスタブラウザは,同一ネットワーク上のコンピュータやドメインの一覧を提供する。これに対してドメインマスタブラウザは,セグメントマスタブラウザが生成したブラウズリストをWAN上に展開する働きを持っている。これは,ドメインマスタブラウザ同士でブラウズリストを交換することにより実現される。ドメインマスタブラウザはPDC上でのみ動作し,ブラウズリストを交換するためには,ブラウズリストを交換する双方がドメインとして構成されていなければならない。言い換えると,ワークグループは異なるネットワーク上にあるドメインやコンピュータをブラウジングすることはできない(Unix上で動作するSambaをドメインマスタブラウザにすることができる。その場合はワークグループでもかまわない)。ドメインマスタブラウザとなっているコンピュータは,セグメントマスタブラウザでもある

Fig.1-1 ブラウザの役割
fig.1-1

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