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Chapter 3:DNS(Domain Name System) 〜概要〜
3.3 DNSの動作 |
DNSサーバーは分散データベースであり,自分が管理するゾーン以外の情報は基本的に関知しない。クライアントは指定されたDNSサーバーに対して問い合わせを実行するが,DNSサーバーは自分が管理しているゾーンにかかわる情報でなければ,そのまま回答することはできない。もちろん,自分が管理しているゾーンにかかわる問い合わせに対しては,そのまま回答する。しかし,自分が管理していないゾーンにかかわる問い合わせを受けた場合には,DNSサーバーはルートネームサーバーに問い合わせを転送する。ルートネームサーバーとは,DNSの名前空間におけるルート(.)を管理しているDNSサーバーのことである。
すでに述べたように,DNSサーバーの管理境界はゾーンを単位として定められているが,そのゾーンを管理するDNSサーバーを決定するのは,その親ドメインを管理しているDNSサーバーである。つまり,親ドメインを管理しているDNSサーバーから管理を任された(委任された)DNSサーバーが,そのゾーンを管理する。たとえば,itmedia.co.jpドメインを管理しているDNSサーバーは,co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーから委任されたことになる。このようにして上位階層に遡ってゆくと,co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーはjpゾーンを管理しているDNSサーバーから委任されたのであり,jpゾーンを管理しているDNSサーバーはルートネームサーバーから委任されたのだということがわかる。以上のように考えると,ルートネームサーバーに問い合わせることで,最終的には検索したいドメイン名を管理しているDNSサーバーを探し出せることがわかる。念のため,「www.itmedia.co.jp」というドメイン名を検索する場合を,Fig.3-9に示しておこう。
Fig.3-9 DNSの動作 |
- クライアントは,自分の組織のDNSサーバーにwww.itmedia.co.jpというドメイン名の解決を依頼する。
- その名前を自分では解決できなかった場合,DNSサーバーは問い合わせをルートネームサーバーに転送する。すると,ルートネームサーバーは,jpゾーンを管理しているDNSサーバーのIPアドレスを回答する。
- DNSサーバーは,jpゾーンを管理しているDNSサーバーに再度名前解決を依頼し,今度はco.jpゾーンを管理しているDNSサーバーのIPアドレスを取得する。
- さらにDNSサーバーは,co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーに名前解決を依頼する。すると,itmedia.co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーのIPアドレスが回答される。
- itmedia.co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーに対してwww.itmedia.co.jpというドメイン名の解決を依頼し,ようやくwww.itmedia.co.jpというホストのIPアドレスを取得できる。
- クライアントに,ドメイン名www.itmedia.co.jpに対応するIPアドレスを回答する。
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