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  COLUMN   Windows 98からのアップグレード(その3)

 さて,アップグレードインストールの作業工程について理解していただいたところで,アップグレードインストールした場合の注意点をまとめておこう。

 Windows 95やWindows 98の設定情報のうち,引き継がれるのは次の内容である。

  • ユーザー名(パスワードは引き継がない)
  • デスクトップ
  • [最近使ったファイル]メニュー
  • [スタート]メニュー
  • Internet Explorerの[お気に入り]メニュー
  • Internet ExplorerのキャッシュファイルとCookie
  • [マイドキュメント]の設定と内容
  • ネットワークの設定(RASのユーザー名とパスワードは引き継がない)
  • アプリケーションの設定

 すでに何度か述べたように,アップグレードインストールの場合,ユーザー名は引き継がれるものの,パスワードは引き継がれない。アップグレードインストールが完了したあと,初回起動時に設定したパスワードが全ユーザーに共通して適用される。もしユーザーごとに異なるパスワードを設定したければ,管理者(Administratorsグループのメンバー)が別途パスワードを設定するか,管理者が仮のパスワードを設定しておき,各ユーザーがログオンするときに再設定してもらうことになる。

 また,デフォルトでは,Windows 98やWindows 95に登録されていた全ユーザーがAdministratorsグループのメンバーとなる(Fig.45)。この設定のままであれば,Windows 98やWindows 95とさほど変わりのない使用感を得られるが,半面,セキュリティ設定は緩くなる。つまり,すべての登録ユーザーがシステムを破壊するような行為も含めてあらゆる操作を実行できるようになるため,注意が必要である。アプリケーションのインストールやシステム設定の変更などを特定のユーザーに限定して許可したい場合には,各ユーザーの所属グループも変更しておくべきだろう。

Fig.45 Administratorsグループに参加しているユーザー

fig45.gif

 デスクトップや[スタート]メニュー,[最近使ったファイル]メニュー,[お気に入り]メニュー,Internet Explorerのキャッシュファイルに代表されるユーザープロファイルは,Windows 98やWindows 95から引き継がれる。ユーザーごとに異なる設定となるようにしていた場合でも,それぞれのユーザーの内容が適切に引き継がれる。Windows 98では,ユーザーごとに異なる設定にしていた場合,\Windows\profile\ユーザー名 フォルダの配下に各種設定ファイルが格納されていたが,Windows 2000では\Documents and Settings\ユーザー名 フォルダの配下に設定ファイルが格納される。

 注意していただきたいのは,[マイドキュメント]の設定である。新規インストールしたWindows 2000では,[マイドキュメント]に\Documents and Settings\ユーザー名\My Documentsフォルダが割り当てられる。しかし,Windows 98の場合は,[マイドキュメント]に\My Documentsフォルダや\Windows\profile\ユーザー名\My Documentsフォルダ(各ユーザーごとに別のフォルダを利用するように設定している場合)が割り当てられていたため,アップグレードしたWindows 2000でもこの設定が引き継がれる。つまり,[マイドキュメント]には,\Documents and Settings\ユーザー名\My Documentsフォルダではなく,\My Documentsフォルダや\Windows\profile\ユーザー名\My Documentsフォルダが割り当てられているのである。

 ここで問題となるのは,両者のセキュリティ設定の違いである。デフォルトで,\My Documentsフォルダや\Windows\profile\ユーザー名\My Documentsフォルダのセキュリティ設定は,\Documents and Settings\ユーザー名\My Documentsフォルダのそれよりも緩くなっている。そのため,アップグレードインストールした場合,Windows 2000の登録ユーザーであれば誰でも,各ユーザーの[マイドキュメント]の内容を参照できてしまう。各フォルダの具体的なセキュリティ設定の内容を以下に示そう。

  • \Documents and Settings\ユーザー名\My Documentsフォルダ
    • Administratorsグループ:フルコントロール
    • 当該ユーザー:フルコントロール
    • SYSTEM:フルコントロール
  • \Windows\profile\ユーザー名\My Documentsフォルダ
    • Administratorsグループ:フルコントロール
    • 当該ユーザー:フルコントロール
    • SYSTEM:フルコントロール
    • CREATER OWNER:フルコントロール(サブフォルダとファイルのみ)
    • Power Usersグループ:変更
    • Usersグループ:読み取りと実行
  • \My Documentsフォルダ
    • Everyone:フルコントロール

 以上のような設定のため,仮に各ユーザーをAdministratorsグループではなくUsersグループやPower Usersグループのメンバーとして登録したとしても,各ユーザーは各人の[マイドキュメント]の内容を参照できることになる。もし各ユーザーをAdministratorsグループに登録せず,UsersグループやPower Usersグループに登録してアクセス権限を制限するのであれば,できれば各ユーザーごとの[マイドキュメント]の設定を\My Docummentsから\Documents and Settings\ユーザー名\My Documentsフォルダに変更しておいたほうがよい。もちろん,\Windows\profile\ユーザー名\My Documentsフォルダに適切なアクセス権限を設定してもかまわないが,新規インストールしたWindows 2000と設定を合わせておいたほうが,混乱も少なくなると思われる。ただし,ユーザー全員で[マイドキュメント]の内容を共有したい(たとえば全ユーザーの[マイドキュメント]を共通の\My Documentsフォルダに設定したい)などの理由があれば,ここで推奨するような設定にする必要はない。

 ネットワークの設定も,Windows 98やWindows 95からそのまま引き継がれる。ただし,RC2で検証した範囲内では,ダイヤルアップネットワークのユーザー名とパスワードは引き継がれないようである(電話番号は引き継がれる)。Windows 98やWindows 95でパスワードを保存していた場合もパスワードは移行されないので,注意してほしい。

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