インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
>
ネットワーク設計事例
すでに述べたとおり,今日のネットワーク設計において,サーバーの集中化は重要な命題である。管理コストを削減するためにも,必要に応じてサーバーを集中化しておくことを検討したい。
-
業務システム
-
勤怠管理アプリケーションおよびSFAアプリケーションは,Webベース型として構築されているため,そのままの形態で集中化することができる。
-
イントラネット
-
全社向けのホームページで提供されているため,そのままの形態で集中化することができる。
-
ファイル共有
-
既述のとおり,ファイル共有は各拠点ごとにファイルサーバーを設置して対応すべきである。そのため,ファイルサーバーの集中化は実施しない。
拠点の数が少ないこともあり,この事例では,DFSを用いたバックアップ処理の集中化も実施しない。各拠点のファイルサーバーにオートチェンジ機能が搭載されたDAT装置を装着し,遠隔監視機能付のバックアップツールを使用すれば,十分対応できると考えられる。
-
電子メール
-
今回取り上げた事例におけるサーバーの集中化で問題となるのは,Exchange Server 5.5(以下,Exchange 5.5)の取り扱いである。この事例では,携帯電話からのアクセスを実現するため,東京本社のインターネットセグメントにExchange 5.5を接続する必要がある。Exchange 5.5に搭載されているWebベース型アプリケーションとしての接続機能は,多くの同時接続を処理することができないため,ターミナルサービスを用いてサーバーの集中化を図ることにする。ただし,ターミナルサービスを利用するのは,東京本社以外の利用者である。東京本社の利用者はOutlook 2000を使用し,通常どおりExchange 5.5にアクセスする。
本例では,人員900名が全員メールボックスを持つこととなる。この程度のメールボックス数であれば,1台のサーバーで賄うことも可能であるが,インターネット経由の電子メールは顧客や取引先との重要な通信手段となっており,特定ハードウェアの障害で全面ダウンすることは避けたいところである。そのため,Exhange 5.5用のサーバーは2台準備することとした。
ターミナルサービスを受ける利用者は,最大で320名である。1台のターミナルサーバーPCで100名程度の同時処理が可能として,3台のターミナルサーバーが必要となる。ターミナルサーバーは,3台でロードバランス(複数台のサーバーをあたかも1台のサーバーのように見せかけることで,処理能力と耐障害性を向上させる技術)を構成する。ターミナルサービスのロードバランス機能は,Windows 2000 Advanced Serverの標準機能である。
では,各利用者がExchange 5.5に到達する経路を確認しておこう。
社外からの利用者は,携帯電話を使用する。携帯電話からのアクセスは,インターネットを経由して携帯電話用のWebサーバーに至り,携帯電話用のWebサーバーからExchange 5.5に到達する。
東京本社以外の拠点の利用者は,ターミナルクライアントを使用する。ターミナルクライアントからは,フレームリレーおよびL3-HUBを経由してターミナルサーバーに至り,ターミナルサーバーからExchange 5.5に到達する。
東京本社の利用者セグメントを用いる社員は,Outlook 2000を使用する。Outlook 2000から東京本社のL3-HUBを経由し,Exchange 5.5へ到達する。
Fig.4-3 Exchange 5.5へのアクセス(図版をクリックすると拡大可能)
 |
7/8 |
 |