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ビジネスへの貢献度で評価するビジネスモデル実践! UMLビジネスモデリング(7)(2/2 ページ)

ビジネスモデルとシステム化が完成しても、現実のビジネスがこれで完結するわけではない。絶えずビジネスを発展させていくためには、新しいビジネスモデルやシステムを導入した結果をきちんと評価・分析する必要がある。

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新たにビジネスモデルとシステムを導入した結果……

 洋菓子店は、最初の3カ月はどこにでもあるビジネスモデルで運営していましたが、やはり無駄が多く利益が上がらないため、To beなビジネスモデルへ切り替えました。さらに4カ月後にはシステムも導入して、さらに効果を挙げることができました。

 その結果、最初の1年を無事に終えることができました。売り上げも目標だった1000万円をはるかに超えて、1340万円となりました。

 システムが果たした役割は大きく、2人だけで切り盛りをしていくために、フルに活躍しました。またそれ以外にも、会計パッケージソフトウェアを購入して、月次での会計状況が分かるようにしました。これは、計画管理システムの結果を月単位で会計パッケージに入力するだけで簡単に実現することができました。結果として計画管理システムは、計画を管理する以外にも売り上げの推移や売れ筋の分析などにも大いに役に立つことになりました。

ビジネスモデリングの結果を評価

 さて、こうして洋菓子店の開店から1年間がたちました。ここで、以前作成したスコアカードの目標値をどれだけ達成できたか、その結果を記入してみます。

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 ほとんどの戦略目標で、目標値を超えて目標を達成しています。別に最初から低く設定したわけではありません。

 さらに、システムの導入自体が有効であったのかどうかを見てみましょう。

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 最初は慣れないということもあって目標値を超えることが難しかったようですが、後半(残り2カ月)になって安定してきたようです。結局全体の目標も達成できて、最初の年にしては大成功でしょう。

 結果として、この洋菓子店のケースでは、新たなビジネスモデルとシステムの導入は有効であった、と評価することができるでしょう。

結果を評価した後の分析が重要

 今回のケーススタディではビジネスモデリングは成功裏に終わりましたが、うまくいかなかった場合は分析をしっかり行って、その原因を明らかにしておかなければ、また同じ失敗を繰り返してしまうことになります。もちろん成功した場合も、偶然うまくいったという可能性もありますので、本当に方法論が正しくて成功したかどうかをしっかり検証する必要があります。

 この洋菓子店のように新たに店を開くケースでは、大抵は最初の年は赤字覚悟で始めるようですが、今回のケースではビジネスモデリングをしっかり行った結果、このような良い結果を得ることができました。

 オーナー夫妻はさらに洋菓子教室の生徒さんの中でお店を持ちたいという人たちにフランチャイズ展開をしようと考えているようです。駅前広場への臨時出店も成功したので、本格的に駅前に2号店をとも考えているようですし、デパートなどへの出店も視野に入れ始めているようです……。

 夢はますます膨らんでいるようです。

 なお、本連載記事は書籍『戦略マップによるビジネスモデリング』(内田 功志、羽生田 栄一=著/翔泳社/2007年)の内容をベースに記述していますが、書籍の方では今回ご紹介したような、ビジネスモデリングの結果の評価については触れていません。従って、結果の評価を実践するに当たっては、書籍ではなく本記事を参考にしてください。

筆者プロフィール

内田 功志(うちだ いさし)

システムビューロ 代表。日立系のシステムハウスで筑波博に出展した空気圧ロボットのメインプログラマを務め、富士ゼロックス情報システムにてオブジェクト指向の風に触れ、C++を駆使して印刷業界向けのシステムを中心に多数のシステムを開発。現在、ITコンサルタントとして、システムの最適化や開発の効率化などの技術面、特にオブジェクト指向開発に関するコンサルティングやセミナーを実施してきた。最近ではビジネスに即したシステム化のコンサルティングを中心に活動している。


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