地球環境に配慮したIT製品やIT基盤のこと。あるいは環境保護や資源の有効活用につながるIT利用をいう。一般にIT機器の省電力化やリサイクル性向上などの「ITそのものの環境負荷低減」をいうが、ITを利用して生産や物流の最適化するといった「IT活用による環境負荷低減」を含む場合もある。
グリーンITという言葉は2006年ごろから、米国でさかんに使われるようになった。主として、IT機器の高密度化によってデータセンターやマシンルームの消費電力量・廃熱量が増加し続けていることに対応した各種対策のことで、省電力・低発熱型機器の導入、仮想化技術によるサーバ統合・ストレージ統合・利用効率の向上、給電方法の改善、サーバ冷却・空調システムの改善、それらを総合する運用管理ノウハウなどがそれに当たる。
日本でもITハードウェアベンダによる省電力型機器の開発・提供、データセンター運営事業者による省電力・熱対策活動のアピールが相次いでいるが、より広義の「IT活用による環境負荷低減」への動きも活発である。
2006年3月には、日本環境効率フォーラムがIT導入による環境負荷低減・環境効率を評価する統一基準「情報通信技術(ICT)の環境効率評価ガイドライン」を公表している。これは「テレビ会議によって出張が減った」「文書管理システムの活用で、用紙使用や輸送が削減された」といった、ITサービスによるCO2排出量削減効果を算出するときのガイドラインである。
2007年12月には経済産業大臣主催で「グリーンITイニシアティブ会議」(第1回)が開催され、グリーンITにおける産学官の連携の場として「グリーンIT推進協議会」の設立が表明されている。ここでもグリーンITはエネルギー・マネジメントシステムやプロセス制御技術、テレビ会議、遠隔医療、遠隔授業など、環境保護・持続型社会への変革を支える広範な技術として位置付けられている。
これらの動きは、米国においては原油高に伴う電気料金の高騰が深刻化する中、今後もIT需要の増加が見込まれることから、データセンターの効率化で電力使用コストの上昇を抑えたいという狙いが大きな原動力になっているようだ。
一方、日本では京都議定書の第1約束期間が始まる2008年を目前に、議定書が定める割当量を達成できない見込みであることから、従来はCO2削減の“自主行動計画”を要請されることのなかった「業務その他」の領域(IT利用はここに含まれる)に対しても、政府がプレッシャーを掛けつつあることを示すもので、今後グリーンITが実質的に義務化される可能性もある。各企業においても自社の具体的目標を立てる際に、IT部門に対してCO2削減目標を課すこともありそうだ。
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