検索
連載

仮想化技術、本当に“当たり前”と言えますか?システム管理入門(9)(2/3 ページ)

“仮想化によるサーバ集約”は多くの企業にとってもはや当たり前のものとなった。だが、実際に仮想化技術を活用する立場にあるわれわれは、その“当たり前”を疑ってかからねばならない。特に今、企業にとって不可欠な存在となりつつあるクラウドコンピューティングのコア技術となるものだけに、疑問点は確実に解消しておきたい。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

ホストOS型仮想化ソフトとは?

 さて、以上で仮想化ソフトの基本概念は復習できたでしょうか。次に仮想化ソフトの種類について振り返ってみましょう。これには大きく2種類あります。「ホストOS型」と呼ばれるものと、「ハイパーバイザ型」と呼ばれるものです。

 「ホストOS型」は、物理マシン上に WindowsやMacOS、Linuxといった通常のOS(ホストOS)をインストールし、その上に仮想化ソフトをアプリケーションとしてインストールするタイプのものを指します(図2)。主な製品としては、「VMware Workstation/Player/Fusion」「Microsoft Virtual PC」「Oracle VirtualBox」「Parallels Desktop」などがあります。また、Windows 7の上位エディションに装備される「XP Mode」もホストOS型の仮想化ソフトです。

図2 ホストOS型仮想化ソフトの基本概念。「ホストOS型」は、物理マシン上に WindowsやMacOS、Linuxといった通常のOS(ホストOS)をインストールし、その上に仮想化ソフトをアプリケーションとしてインストールするタイプのものを指す
図2 ホストOS型仮想化ソフトの基本概念。「ホストOS型」は、物理マシン上に WindowsやMacOS、Linuxといった通常のOS(ホストOS)をインストールし、その上に仮想化ソフトをアプリケーションとしてインストールするタイプのものを指す

 ホストOS型仮想化ソフトのメリットとデメリットは、次の通りです。

◎ホストOS型仮想化ソフトのメリット

  • ホストOSが対応していれば、ハードウェア環境にほとんど依存しない
  • 仮想マシンの管理は、原則としてホストOS上で行う。そのため、管理用のマシンを別途必要としない
  • ハイパーバイザ型の仮想化ソフトに比べて、比較的手軽に構築できる
  • 仮想マシンはホストOSが管理しているファイルシステム上にファイルとして構築されるので、仮想マシンのバックアップやリストアが容易である

◎ホストOS型仮想化ソフトのデメリット

  • ホストOS上で動作するため、ホストOSが別途必要である
  • 一般に、ハイパーバイザ型の仮想化ソフトに比べて、仮想マシンの動作速度が遅いと言われる。これは、物理マシンがホストOSも同時に動作させなければならない分のオーバーヘッドが主な理由である
  • 同様に、ホストOSを動作させるための物理リソースが必要である。例えばホストOSが Windows 7 の場合は、その Windows 7 を動作させるために 1ギガバイト程度のメモリが必要になるだろう。物理マシンに8ギガバイトのメモリが搭載されていたとしても、仮想化ソフトには理論上、7ギガバイト程度のメモリしか割り当てられないことになる

 ホストOS型仮想化ソフトのメリットは、何と言っても「手軽である」点です。普通のアプリケーションと同じように、通常のPCにインストールできます。その価値が最も発揮されるのは、テスト環境の構築でしょう。あるアプリケーションを開発し、その動作テストのために環境を作りたい、という場合にはうってつけです。

 筆者の個人的な話で恐縮ですが、筆者は普段持ち歩いているノートPCに8ギガバイトのメモリを積み、必要に応じて仮想化ソフトを使ってテスト環境を構築しています。使い終わったらその環境は簡単に捨てられますので、いつでも「まっさらな環境」が簡単に作れるのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る