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仮想化技術、本当に“当たり前”と言えますか?システム管理入門(9)(3/3 ページ)

“仮想化によるサーバ集約”は多くの企業にとってもはや当たり前のものとなった。だが、実際に仮想化技術を活用する立場にあるわれわれは、その“当たり前”を疑ってかからねばならない。特に今、企業にとって不可欠な存在となりつつあるクラウドコンピューティングのコア技術となるものだけに、疑問点は確実に解消しておきたい。

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ハイパーバイザ型仮想化ソフトとは?

 一方「ハイパーバイザ型」は、ホストOSを使わず、物理マシンに直接仮想化ソフトをインストールするタイプのものを指します(図3)。物理マシンには、あたかもOSであるかのように、ハイパーバイザ型仮想化ソフトを直接インストールします。仮想化ソフトそのものの管理は、仮想化ソフト上に存在している管理専用の仮想マシンから行うか、または管理用の別のマシンを準備して、そこに管理用ソフトウェアをインストールすることによって行います。主な製品としては、「VMware vSphere」「Microsoft Hyper-V」「Citrix XenServer」などがあります。

図3 ハイパーバイザ型仮想化ソフトの基本概念。ホストOSを使わず、物理マシンに直接仮想化ソフトをインストールするタイプのものを指す
図3 ハイパーバイザ型仮想化ソフトの基本概念。ホストOSを使わず、物理マシンに直接仮想化ソフトをインストールするタイプのものを指す

 さらに、ハイパーバイザ型仮想化ソフトは、モノリシック型とマイクロカーネル型に分けられます。この2つの大きな違いは、デバイスドライバの構成です。

 モノリシック型は物理マシンをコントロールするためのデバイスドライバを自前で持つのに対し、マイクロカーネル型は管理専用の仮想マシンにインストールされるゲストOSが持っているデバイスドライバを借りて物理マシンをコントロールします。VMware製品はモノリシック型、Hyper-VやXenServerはマイクロカーネル型です。

 ハイパーバイザ型仮想化ソフトのメリットとしては「一般に、ホストOS型の仮想化ソフトに比べて動作速度が速い」ことなどがあり、デメリットとしては「ハイパーバイザ型仮想化ソフトを稼働させるための物理マシンを用意する必要がある」こと、「仮想化ソフトが対応していないハードウェアにはインストールできない」ことなどが挙げられます。また、仮想化ソフトがモノリシック型かマイクロカーネル型かによっても、メリットとデメリットが違ってきます。

 このハイパーバイザ型の仮想化ソフトのメリットとデメリットについては、次回で詳しくご説明しようと思います。引き続き、どうぞお楽しみに。

著者紹介

▼著者名 谷 誠之(たに ともゆき)

テクノファイブ株式会社 阪神支社 ラーニング・コンシュエルジュ。IT技術教育(運用系/開発系)、情報処理試験対策(セキュリティ、サービスマネージャ、ネットワークなど)、対人能力育成教育(コミュニケーション、プレゼンテーション、チームワーク、ロジカルシンキングなど)を専門に約20年にわたり、活動中。「講習会はエンターテイメントだ」を合言葉に、すぐ役に立つ、満足度の高い、そして講義中寝ていられない(?)講習会を提供するために日夜奮闘している。

ディジタルイクイップメント株式会社(現:日本HP)、グローバルナレッジネットワーク、ウチダスペクトラム、デフォッグなどを経由して現職。

テクニカルエンジニア(システム管理)、MCSE、ITIL Manager、COBIT Foundation、話しことば協会認定講師、交流分析士1級などの資格や認定を持つ。近著に『高度専門 ITサービスマネジメント』(アイテック、2009年6月)

がある。


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