御三家とは一線を画すクオリティ――ソニー“シネザ”「VPL-HS50」:レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style (7/7 ページ)
ソニーが年末商戦に投入する家庭用プロジェクター“シネザ”「VPL-HS50」は、現在市場を牽引する松下、三洋電機、エプソンの20万円クラスの製品とは一線を画すクオリティを持つ。透過型液晶パネル搭載ホームシアタープロジェクター・トップエンドモデルの実力を探ってみた。
720p御三家よりもワンランク上が欲しいユーザーに
HS50が投影する絵は、現在ホームプロジェクター市場を牽引する松下、三洋電機、エプソンの20万円クラスの製品とは一線を画すクオリティがある。色純度の高さ、フォーカス感、色ムラの少なさ、階調の滑らかさなどの点で優れる。
黒沈みに関してもアイリスを固定した状態で、すでにかなり沈んでおり、アイリスモードをオートにしておけば、さらに高いコントラスト感を演出してくれるはずだ。本文中にも述べたように、アイリス制御は完璧ではない部分も存在するが、ほとんどの映像ソースで好ましい処理をしてくれる。アイリス固定時のコントラストも液晶プロジェクターとしては高い。
また内蔵されるビデオ回路の質も良く、SD映像入力時のI/P変換やスケーリングの質も高い。十分な解像感がある上、変にエッジを立てた雰囲気もなく優秀だ。もっとも、本機で一番感心したのはハイビジョンの映像だ。1080i信号を入れた時の品質は非常に高く、うまく720pパネルの解像度に縮小している。解像感の喪失も最小限。フルHDにはもちろんかなわないが、720pパネルなりに最大限の画質を提供してくれる。
問題は本機の価格だろうか。本機は先代モデル比で、レンズシフト装備、静音化、アイリス自動制御、RCPといった新機能を搭載し、レンズのフォーカス感も一皮剥いたようなシャープさを見せる。が、パネルサイズが小さくなり、解像度も下がっているにもかかわらず、実売価格は上がることが予想されている(予想販売価格は35万円。量販店でも30万を切ることは無いだろう)。
おそらく本機のライバルは、実売20万円クラスの液晶プロジェクターではなく、実売35万円のエプソンEMP-TW500、あるいは実売30万円前後のXGAパネルを採用したDLPあたりだろう。“液晶プロジェクターには”安いけどそこそこいい“というイメージがつきまとうが、本機は明らかにワンランク上のモデルと比肩する実力がある。
価格差は小さくないが、20万円クラス+αの実力に投資する気があるのならば、検討すべき製品である。
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