時速370キロの電気自動車から未来の“ステレオ地図”まで〜慶応SFC:っぽいかもしれない(3/3 ページ)
今年も、慶應義塾大学SFC研究所のオープンリサーチフォーラム(ORF)が開催された。SFCが誇る最先端技術あるいはなんだこれはな技術に接することができる発表会だ。わたしも行ってきた。
mPATH Framework
液晶ディスプレイに地図が表示されている。マシンには角度センサーと方位センサーが内蔵されていて、マシンをどっちに向けても、地図はちゃんと正しい向きで表示される。また、画面を傾けると、斜めの視点からの(俯角の)表示のマップになる。いまは、マップデータが2次元なので、本当に地図を斜めから見た感じだけど、3Dマップだったら、もっとリアルになりそうだ*5。
これだけで楽しい。意味もなく地図をぐるぐる回したり傾げてみたりしちゃう。ただ、センサーが敏感過ぎるのか、自分は静止しているつもりでも地図が微妙に震えている。これ、見ているとちょっと酔う。センサーに少し「あそび」があったほうがよさそうだ。
画面には地図のほかに、写真、自分の歩いた経路などの情報を重ね表示させることもできる。いや、mPATH Frameworkって名称を考えると、こっちこそが本領なんだろう。何を表示させるかは、別に用意された画面で、表示させたい要素の「部品」の入出力を線でつないでいくことで決められる*6。部品の中にはフィルタ動作をするものもあって、これを使うと、たとえば経路情報をもとに、しばらく立ち止まっていたポイントだけをピックアップして表示なんてこともできるようになる。部品をいろいろ考えていくと、その人なりのおもしろい地図が作れるわけだ。
3D MUSCLE
今回いちばんのお気に入り。
カメラつき携帯電話を2台並べてステレオ写真をとっちゃおうシステム。楽に見られるビューワーつき。そのままだとレンズが下を向いてしまうので、プリズムで前を向かせている。
このまま、カメラごしの映像をビューワーでのぞくと、リアルタイムステレオ画像。もともと3次元の風景を見て、おお立体だってよろこんでいるってのもまぬけなんだけど、意味もなくうれしい。ビューワーについているトリガーを押せば、その風景が撮影されて、サーバーに送られる。
このカメラ(?)をもって、あちこち撮影して回ったそうなんだけど、やっぱりちょっとばかり不審がられたらしい。六本木ヒルズみたいな警戒の厳しいところでよく大丈夫だったなと感心してしまう。
デモではもうひとつしかけがしてあった。SFCキャンパスの模型がおかれていて、その各個所に「A」とか「M」とか書かれた看板が置いてある。この看板をこのカメラで撮影すると、その文字とうつしている角度を認識し、それにあわせたリアルなSFCの画像(あらかじめパノラマ撮影したのだそうだ)を表示するのだ。movaの通信の調子が悪くて、ときどきタイムアウトしてたけど、これはご愛嬌だ*7。
かなり喜んであちこちのぞいたあとで、野暮は承知で聞いてみた。
「これ、何に使いましょう?」。
「みんなでこれを持って、街をどんどん撮影したい。GPSや方位センサーのついた携帯で撮影時の位置情報もわかるようにすれば、地図に写真を重ねていくことができる。そうやってフォトログみたいな感じで『ステレオ地図』が作れたらおもしろいなって」。
それは、かなり楽しみだ。わたしにも端末をひとつください。
*5ただし現状ではマシンスペックの問題で、簡単に3Dマップというわけにはいかないそうだ。
*6これもマシンスペックの問題で、現状ではネットワークでつながった別マシンで設定している。これも1台で全部できるようになるのが美しいはずだ。
*7どうしてFOMAにしないのか聞いたら、カメラの向きがいい端末がないんだそうだ。そうなんだ(よくわかっていない)。
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