開発者に聞いた「ビクターのDVDレコーダーはどこが違う?」:インタビュー(3/3 ページ)
アテネオリンピックのあった今年は、HDD+DVDレコーダーへの新規参入が相次いだ。その1つが日本ビクター。VHSの盟主であり、VHSビデオデッキでは強力なブランド力を維持しているが、DVDレコーダーでは後発組として数えられる。そのビクターは、HDD+DVDレコーダーにはどう取り組んでいるのか?
インテリジェント2passエンコードで録画した映像の静止画。魚の体の部分でブロックノイズが目立たず、グラデーションも綺麗に表現されている。上と比べ、エンコード回数が1回多いにもかかわらず、少なくとも画質が悪いという印象は受けない
「このフレーム構成の維持は、徹底しています。たとえばチャプターもフレーム単位で設定できるのですが、チャプターで構成されたプレイリストをダビングしようとすると、チャプターの開始位置がIフレームとは限りません。つまり再エンコード時にフレーム構成のつじつまが合わなくなります。
そこで、先頭がPフレームの場合はIフレームに、Bフレームの場合にはPフレームに差し替え、MPEG2規格を破綻させることなく、チャプターの開始位置以外ではフレーム構成を維持します。他社製品ではそもそもチャプターがGOP単位だったり、再エンコードダビング時にチャプターがずれたりすることもありますが、ビクター製品では、これがありません」。
再エンコード時のフレーム構成の維持を徹底しつつ、ユーザーの利便性を損なわないため、このような方法を採用しているわけだ。また、本当の意味での高画質エンコードのため、ビクターが業務用DVDオーサリングで得たノウハウも投入されているという。
「ビクターの場合、業務用DVDオーサリングも手がけてます。MPEG2に関する研究、開発という意味ではDVDビデオの出る前からですからもう10年を超えてますね。従って技術論だけでは得られないMPEGエンコードのノウハウは豊富です。たとえば2passエンコードでは、動きが激しい、情報が多い部分に十分なビットレートを割り振るのは比較的簡単なんです。むしろ、ビットレートを削らなければいけない部分で視覚的にいかに映像を破綻させないか、こちらの方がずっと難しく、まさにノウハウの世界です。このノウハウは当然インテリジェント2Passエンコードに活かされています」。
ビクターはHDD+DVDレコーダーとしては後発になるが、参入にあたって、あえて目立つ機能を搭載していない。というより、「時間差再生」(キャッシュ録画)や「オートCMスキップ」など他社に先駆けて搭載した機能がいくつかあるが、少しアピールが足りなかったように感じてならない。たとえば、ソニーが2003年秋に地上波EPGと“おまかせ録画”をひっさげて大々的に参入したのと対照的だ。
しかし、今回取りあげた画質へのコダワリは、そうした付加機能以上にビクターというAV機器メーカーを色濃く反映し、また使い勝手も競合製品を良く研究したうえで一歩踏み込んでいる。しっかりとしたポリシーを持った製品作りに、今後も期待したい。
関連記事
- 8倍速DVD-R対応の「快録LUPIN」新製品
HDD&DVDレコーダー2機種と、VHS一体型HDD&DVDレコーダー2機種の計4機種を発売する。 - VHS-DVDの多彩なダビングとWチューナーが特徴の「快録LUPIN」新製品
ビクターはDVDレコーダー「快録LUPIN」シリーズに新製品を追加した。VHS-DVDの多彩なダビング機能とWチューナー搭載が特徴。 - ビクター、DVDレコーダー「快録LUPIN」シリーズ3機種を発表
日本ビクターは5月18日、DVDレコーダー「快録LUPIN」(カイロクルパン)シリーズを発表した。新製品は、VHS&DVD&HDDの「DR-MX1」と、DVD&HDDのハイブリッドレコーダー「DR-MH30/50」の計3機種。EPGや高速ダビングなど、従来製品の弱点と言われていた部分を補いつつ、「インテリジェント2パスエンコード」など新しい機能を盛り込んでいる。 - DVDマルチでフル対応、画質にもコダワリを見せるVHS一体型
最初に取り上げる「DR-MV1」は、VHSの開発元でもある日本ビクターのVHS一体型DVDレコーダーだ。DVDマルチドライブを搭載し、DVD-RWはビデオフォーマットとDVD-VRフォーマットをサポート。さらに、画質にも一工夫がされている - デュアルチューナーをひっさげて登場した最後発機、その実力は?
ハイブリッドレコーダーでは最後発となる日本ビクターの「DR-MH5」。最大の武器は、ハイブリッドレコーダーとしては唯一のDVD/HDD同時録画可能なデュアルチューナー/エンコーダーだが、両者の連携という点では疑問も。 - DVD-RAM両面に16時間録画できるレコーダー ビクター
片面4.7GバイトのDVDメディアなら最長約8時間、両面9.4GバイトのDVD-RAMなら最長約16時間の長時間録画に対応したのが特徴。 - ビクターがDVDレコーダーに参入、第1弾はDVD Multi搭載
日本ビクターはDVDレコーダー市場に参入する。まず第1弾としてDVD Multiドライブを搭載した「DR-M1」を8月上旬に発売する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.