ソーシャルネットは他サービスへの誘導口――ライブドアのねらい
大手ポータルとして初めてソーシャルネット(SNS)に参入したライブドア。単体ではビジネスモデルが確立していないSNSだが、他サービスへの誘導口として利用するにはうってつけだという。人と人とのつながりがもたらす信頼感が鍵となる。
「ソーシャルネットは単体でやっても意味がない」――ライブドアが運営するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「livedoor フレンドパーク」を開発した、同社ポータルサイトグループの水波桂ディレクターはこう言い切る。SNSに期待するのは、同社サービスとユーザーをつなぐハブとしての役割。単体での採算にはこだわらない。
フレンドパークは、大手ポータル初のSNSとして1月17日にβ版がスタートした(関連記事参照)。参加には既存ユーザーからの招待と、ライブドアID(無料)が必要だ。プロフィールを公開して同じ趣味を持つユーザーとコミュニティを作ったり、写真付き日記を掲載するなど、先行SNSと同様の機能を備える。
実は、SNS構築の構想は昨年初めころからあった。ただ、同時期に出会いサイト「livedoor アミーゴ」をオープン。一昨年末には「livedoor Blog」も始めており、SNSは後回しになっていた。昨年末になって開発に本腰を入れ、スタッフ5人、2カ月で作ったという。
他SNSとの最大の違いは、総合ポータルの強みを生かした他サービスとの連携だ。「livedoor アバター」で作ったアバターを表示できるほか、プロフィールページの「Skype me」アイコンをクリックすれば、IP電話ソフト・Skypeによるメッセージングや通話が可能。livedoor Blogに書いたBlogも取り込んで表示できる。
近く「livedoor デパート」で購入した商品を公開したり、DVDレンタルサービス「ぽすれん」の作品レビューを掲載可能にする予定。フォトアルバム「livedoor フォト」の画像や、出会いサービス「livedoor アミーゴ」のプロフィールを掲載する、といった連動も考えている。
水波ディレクターは、SNSを他サービスへの導線と位置付ける。未知のサービスや商品でも、知り合いが使っていたら試してみようと思えるもの。SNSの“人と人とのつながり”がもたらす信頼感を、デパートやぽすれん、アバターなどの利用増につなげる。
SNSという形にこだわるつもりもないという。「ライブドアIDに友達リンクがついてくるイメージ」(水波ディレクター)。友達が使っているサービスや、興味を持っているものを参照できるサービスとして、機能拡張を進める。
ユーザー数の壁を破るには
課題は、伸び悩むユーザー数だ。開始初日、一気に1000人以上が集まったが、その後は徐々にしか増えず、1月26日時点では約3000人。1月中に1万人くらいは集めるつもりだったが、あてが外れた格好だ。「初めの1000人は、国内SNSに全部入っているようなヘビーユーザー。それ以外のユーザーが取り込めていない」(水波ディレクター)。
SNSは、複数を掛け持ち利用するのが面倒だ。複数のサービスに登録してても、積極的に使っているのは1つか、せいぜい2つというユーザーも多い。登録が30万人の「mixi」や、10万以上の「GREE」など、先行サービスからの乗り換えを促したいというのが本音だ。
ユーザー増の切り札は、完全招待制の廃止。1カ月後程度には、既存ユーザーからの招待がなくても、ライブドアIDを持っていれば簡単に参加できるようにする計画だ。発行済みのライブドアIDは200万〜300万。「1年後には、フレンドパークユーザーを100万人くらいに増やしたい」(水波ディレクター)。
ちなみに、フレンドパークという名前は同社の堀江貴文社長がつけたという。
関連記事
- ライブドア、ソーシャルネットに参入
ソーシャルネットワーキングサービス「livedoor フレンドパーク」β版がオープン。SNSを国内大手ポータルが展開するのは初めて。 - SNS「mixi」に初の有料機能 収益源多角化へ
広告とアフィリエイトのみだった収入源に、有料サービスを追加。月額315円払えば、フォトアルバムやアンケートなど付加機能を利用できる。収益はサーバや人員拡張にあて、サービス向上と安定運用を目指す。 - 「GREE」を株式会社にした理由
ボランティア運営で11万人のユーザーを集めたソーシャルネットワーキングサイト「GREE」が株式会社化した。GREEを長く続けるために、会社化する必要があったという。 - “ビジネスありき”のソーシャルネット「uume」
ソーシャルネット専門企業がスタートした「uume」。コミュニティをベースにしたビジネスモデルで、確実に収益を上げる計画だ。 - “ウケ狙い”のソーシャルネット「キヌガサ」の可能性
ログインページは「キルビル」風。サイト内にもクスリと笑えるネタ満載の「キヌガサ」。「GREE」や「mixi」よりも儲からないモデルを敢えて採っているが……。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.