ソニーは復活するか:麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(4/4 ページ)
不振にあえぐソニーが行ったトップ人事刷新が話題を呼んでいる。果たしてソニーは復活するのだろうか? “30年来のソニーウォッチャー”である麻倉怜士氏が、復活にかけるソニーの今後の方向性を語る。
――新しいソニー経営陣に、そのリーダーシップはあるのでしょうか?
麻倉氏: 私は1980年代後半に、仙台の磁気メディア工場の責任者だった中鉢氏によく取材していました。その時の中鉢氏は「温かい人柄で開発リーダーとして人をうまくまとめる力があり、しかも新しい取り組みにも積極的」という印象でした。私はソニーの不振が叫ばれ始めたときから「復活には技術系のリーダーシップしかない」と思っていました。そういう意味では、ソニーが持つ技術の表も裏も知っている中鉢氏には大いに期待しています。ソニーの社長は自分の言葉で商品が語れなければなりません。
「モノづくり」という言葉の「つくり」には、創、造、作の3つの意味があります。私はこれからのソニーには「デジタル時代の創」を期待しています。つまり、単に生産技術的(作)が強いとか、コラボレーション(造)ではなく、新しい市場を形成する画期的な創造物が求められているのです。新社長には、そんな観点で商品を語って欲しいです。
ソニーには絶対に復活してもらいたいですね。ソニーの復活なしに日本の将来はないのですから。
麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴
1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに"映像の鬼"。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNのCD12、JBLのK2PROJEST/S9500など、世界最高の銘機を愛用している。音楽理論も専門分野。
現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという"3足のワラジ"生活の中、精力的に活動している。
著作
「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)――ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く
「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)――プレイステーションの開発物語
「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)――ソニーのネットワーク戦略
「DVD――12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)――DVDのメディア的、技術的分析
「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)――記録型DVDの未来を述べた
「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)――互換性重視の記録型DVDの展望
「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)――プラズマ・テレビの開発物語
「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)――新しいディスプレイデバイスの研究
「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)――シャープの鋭い商品開発のドキュメント
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