マクロレンズを使いこなす――キヤノン「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」:レビュー:デジ一眼「2本目のレンズ」(5/6 ページ)
マクロレンズとは接写に強いレンズのこと。「“強い”ってどういう意味? 接写以外にも使えるの?」そんな疑問を持つ人もいるだろう。キヤノン「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」を使いこなし、マクロレンズの魅力を探ってみた。
風景やポートレート撮影にも生かせる
マクロレンズは、マクロに「強い」レンズであり、マクロ「専用」ではない。風景やスナップ、ポートレートなど通常の距離での撮影にも、もちろん対応する。この「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」の場合は、35ミリに換算して96ミリ相当の画角であり、「中望遠レンズ」としても活躍するだろう。
ただし、一般的な中望遠の単焦点レンズやズームレンズに比較すると、ピントリングの操作感はやや異なる。なぜなら、ピントリングの1メートル付近から無限遠までの間隔が比較的狭いので、リングを少しずらすだけで、ピントが大きく移動するからだ。中景や遠景の被写体を撮る場合、通常のレンズの感覚でマニュアルフォーカスを行うと、ピントがすぐにズレる点に注意したい。
またAFで撮る場合は、AFがうまく合焦しない被写体では、ピントリングが最短撮影距離から無限遠までの間を行ったり来たりすることがある。マクロレンズ以外でも、ピントが合わないときには同じ現象は生じるが、マクロレンズのほうがピントの移動量が大きいぶん、その移動がうっとおしく感じる。「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」には、ピントリングの回転を制限するフォーカスリミッター機構がないので、なおさらだ。
どちらも慣れれば問題ないが、最初のうちは少し戸惑うかもしれない。この2点さえ気にならなければ、「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」はマクロ域から無限遠までのシャープな描写力を堪能できる。マクロ専用レンズと考えるのは、もったいない。
「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」の作例
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