東芝・藤井氏に聞く――次世代DVD統一交渉“決裂”の理由(後編):インタビュー(3/3 ページ)
今回の次世代DVD統一交渉では、東芝はかなり積極的にアプローチしていた。しかし、4月下旬の新聞報道でやや態度が変化し、交渉最終週にはまるで180度方向を変えたがごとく、0.1ミリ統一から離れていったように見える。その背景にあったのは何か?
「DVDの事業がここまで大きくなったのは、映画産業で広く使われ、世界中でパッケージソフトが売れたからですよ。その映画産業が公平な目で見て、HD DVDが良いと判断しています(現時点で明確な判断を下している映画スタジオのうち、家電メーカーとの直接的関係がないスタジオはディズニーを除きHD DVDを支持している。20世紀フォックスは中立の姿勢)。ハードウェアを作る家電メーカーが、技術者の論理でベストだと思うものを作り、あとはハリウッドがそれを使えばいいという考えは、私には理解しにくい」
「そうした意識の近いも含め、映画スタジオを二分して北米でのプレーヤー/コンテンツの販売戦争になる可能性はあるかもしれない。われわれとしては、プレーヤーに関してHD DVDが9〜10カ月先行していると考えていますから、その間に認知をどこまで拡げるかが鍵になるでしょう。とにかく人気の出る誰もが見たいと思うコンテンツを、優先的にHD DVDで発売することで認知を拡げていきます」
「次に、弊社のRDシリーズが持つ高度な編集機能や、初級者を助ける番組オススメ機能など、録画機能の優れたところを活かしていきたい。HD DVD-Rの2層規格は、今年8月にDVDフォーラムに提案する準備を進めています。ここで規格を通し、来年3月の録画機発売時には2層HD DVD-R対応機として発売します。われわれの見積もりでは、-R媒体に関しては(当初は相変化からスタートと言われる)BD-Rに対してコスト的なアドバンテージが大きいと判断していますから、2層HD DVD-Rを安価に提供することで、録画機ユーザー、PC用ドライブユーザーに対してアピールしていくことになるでしょう」
「3番目は正義です。不合理な統一規格は消費者利益には繋がらない。彼らが0.1ミリにこだわる理由が全くわかりません。0.1ミリという構造にこだわるというのは間違っているでしょう。拘るべきなのは保護層の厚みではなく、ユーザーニーズに対してです。だからこそ、私は今でも0.1ミリでも構わないと言っているんです。録画といっても3時間と5時間の差しかありません。トータルのユーザーメリットを考えたとき、本当にBDに理があるのでしょうか?」
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