気軽に音楽ジュークボックス――ソニー「NAS-A10」:レビュー:ストレージ搭載オーディオ特集(3/3 ページ)
普及価格のHDD搭載オーディオシステムとして注目のソニー“ネットジューク”「NAS-A10」。エニーミュージック対応が売りだが今回はあえて触れず、音楽ジュークボックスとしての実用度をレビューで探ってみた。
HDDへ取り込んだ曲は、基本的にディスク単位で管理される。メニューはリスト表示形式で、「指定したモードによる分類」「ディスク」「曲(トラック)」という3階層の構造になる。モードは、フォルダ(自分で任意に作成し、録音時に指定可)、アーチスト、ジャンル、ランキング(アクセストップ50/アクセスボトム50/最近聴いた曲50)、お気に入りリストのいずれかが選べる。必ず3階層になるので、「ジャンル」→「アーチスト」→「アルバム」→「曲」という絞り込み方ができないのは残念だが、フォルダやお気に入りも積極的に利用すれば、まあ特に困らない。
再生音質に関しては、圧縮時のビットレートが最大132Kbpsという点には不安を感じ、またハードに関しても、価格を考慮すれば期待は持てないかなと思っていたのだが、製品トータルで見ると、意外にバランスがいい。高音・低音の伸びや豊かさも、抜群とは言わないが、なかなかのものだ。
圧縮の品質に関しては、ATRAC3の音質が気にいらなければPCMを選択すればいいのだが、HDDが40Gバイトしかないこともあり(それでもPCM録音でCD60枚くらいは入るが)、この製品で聴くかぎりはATRAC3/132Kbpsでいいと思う。多少、混入ノイズ類が強調される印象はあるが、前述のとおり、全体で考えて十分に楽しめる音質だと思う。仮にギャップレス再生がPCM記録時のみとなれば、迷うことなくPCMを選択するが、ATRAC3でもギャップレス再生が可能なので問題はない。
HDD内の曲を再生中の画面。ANY MUSICでダウンロードした曲の再生とは異なり、アルバムジャケットではなく音楽ジャンルごとに用意された画像が表示される。再生はATRAC3、PCMのいずれで保存した場合でもギャップレスとなるので、このアルバムのようにトラック間がつながっている作品でも非常に快適
また、「NAS-A10」では従来のVAIO Media対応に加え、DLNA準拠製品にも接続可能となり、そのサーバ内の音楽ファイルを再生できるようになった。今回はPCに「DiXiM Media Server」をインストールして試してみたが、特に問題はなく、MP3やWMAを再生できた。
HDD内のファイルは、PCを使わず「NAS-A10」のUSB端子に直接接続したストレージへバックアップできるほか、USBやメモリースティックを経由して、PSP携帯音楽プレーヤー(ATRAC3対応製品に限るが)への音楽データ転送も可能だ。
DLNA対応ではあるものの、この製品の場合は、PCと連携したいユーザーにはあまり向かないと感じる。むしろ、ATRAC3形式での保存でかまわないので、音楽はPCでは管理せず、この製品にすべて任せたいという人に最適だろう。
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